メイショウドトウ
いつか振り返れば
やれることはやった その積み重ねを振り返るのはよそう
不運を嘆きたくなるからだが今度も同じだ
やれることをやるだけだ
メイショウドトウとは、1996年生まれのアイルランド生産・日本調教の元競走馬・元種牡馬である。
世紀末覇王テイエムオペラオーの古馬時代最大のライバルとして立ちはだかった…というよりむしろ蹂躙された馬。オペラオーさんマジ無慈悲な覇王。
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この記事では実在の競走馬について記述しています。 この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについては 「メイショウドトウ(ウマ娘)」を参照してください。 |
主な勝鞍
2000年: 金鯱賞(GⅡ), オールカマー(GⅡ), 中京記念(GⅢ)
2001年: 宝塚記念(GⅠ), 日経賞(GⅡ)
父はKingmamboと覇を競ったラストタイクーン産駒Bigstone、母はプリンセスリーマ、母父Affirmedという血統。なにげに母父はナリタトップロードと同じである。アイツに勝ち切れない理由はそういうことだったのか…
あまり語られることは少ないが彼はアイルランド産の外国産馬、いわゆる○外である。しかしその購入額はびっくり、なんと格安価格500万円。安い。○外としては格安の極みである。日高の馬でも500万円くらいの馬は相当血統・能力的にアレな馬が多いことを考えれば、安いけど結果として輸入賃とか考えたら大損な買い物の可能性もあったが、彼は収益的に言えば+である。しかも相当な。
1999年1月のデビューからはしばらくはダートを走り、5戦して2勝。いまいち。2着に敗れた新馬戦では安田伊佐夫調教師が馬主に「絶対勝てる馬がいるんで競馬場にいらしてください!」と言ったのに2着に負けたとか、後に相棒となる安田康彦(通称ヤスヤス。伊佐夫の子であり、以下調教師は「伊佐夫」、騎手は「ヤスヤス」とする)が高熱を押して騎乗し初勝利したり逸話はあるけど、地味であった。
6戦目以降は芝路線に転向したが、3連敗。こりゃダメダメだなあ…と思ったら安定し始め、年末にはオープン馬にまで登った。しかし1999年最終戦であるオープン初挑戦となった六甲ステークスでは最下位惨敗。この時点では同馬主の先輩のダート馬メイショウオウドウと名前がややこしいイマイチ君であった。
年明け一戦目、日経新春杯では8番人気ながら2着に食い込み実力をアピール。続く中京記念で見事重賞初勝利。続く日経賞でもステイゴールドに遅れを取るものの3着し実力を証明すると、メトロポリタンステークスと金鯱賞を連勝。宝塚記念に挑むが……。
そう、そこには春の天皇賞を僅差圧勝し、20世紀最後の最強馬として君臨し始めた後の世紀末覇王・皐月賞馬テイエムオペラオーがいたのである。無論ここでも貫禄の僅差圧勝。しかしドトウもクビ差の2着に食い込んだ。とはいえ、果てしなく遠いクビ差ではあった。
秋は○外開放された天皇賞(秋)に目標を定め、まずオールカマーから始動することになった…のだが、主戦のヤスヤスがオールカマーの少し前の札幌遠征中に道路交通法違反(34km/hの制限速度違反)で現行犯逮捕、2ヶ月の騎乗停止を食らうことに。ちなみに、ドトウのGⅠ初挑戦となったこの年の宝塚記念でも騎乗停止中であった(この時の鞍上は河内洋)。ダメだこいつ…早く何とかしないと……。
結局陣営は的場均を鞍上に迎えて挑みオールカマー快勝。満を持して天皇賞(秋)に向かうが、またも世紀末覇王にちぎられ2着完敗。ヤスヤスが復帰したジャパンカップでは僅差の戦いに持ち込むが、僅差圧勝こそ美学である世紀末覇王には悪手であり2着。
続く有馬記念では後続がブロックして閉じ込められたオペラオーが立ち往生している間に抜け出すも、覇王の奇跡のような末脚で断ち切られ2着。
とにかくテイエムオペラオーが倒せない。ただ、オペラオーのライバルである菊花賞馬ナリタトップロードなどはこてんぱんに負かしていたので実力はあるのは確かであった。なお、この頃負かした相手にはあのグラスワンダーも含まれている。マジで?さりとて世間的にはオペラオー自体が実績の割に評価されていないこともあり、彼はなおのこと評価が低かった。というか、何回も同じよう形で負け続けたため自ら自分の価値とオペラオーの価値を下げていた側面も否めない。悲しい。
翌年は日経賞を快勝し天皇賞(春)へ。一方のオペラオーは大阪杯で4着に敗れており千載一遇のチャンス。世紀末覇王はオワコン…と思いきや、世紀末覇王はまだ負けない。「馬鹿言うなよ、こっから先は俺の道だ」と言わんばかりの僅差圧勝劇の前にまたまたまた2着。ついには、宝塚記念で結果が出なければヤスヤスは自ら主戦降板すると言い出す事態になった。
迎えた宝塚記念。オペラオーが徹底マークでうまく上がっていけなかったことを差し引いても、ドトウの生涯最高のパフォーマンスが炸裂。第4コーナーで先頭に立つと、ブロックを突き破って迫るオペラオーを抑え込み六度目の正直で悲願のGⅠ制覇。オペラオーのGⅠ勝利日本記録樹立の夢を断った。ついでにオペラオーの重賞8連続連対を超えて自身は9連対としている(先述の通り、オペラオーは大阪杯で連を外したため)。なお、これは馬主の松本好雄氏にとっても初のGⅠ制覇であった。何より、これまで一回も勝てず辛酸を舐めさせられ続けていたオペラオーを破ったことに陣営は歓喜し、ヤスヤスも主戦の座を守り抜いた。
しかし秋は再びオペラオーに勝てなくなってしまう。宝塚記念の激走後直行した秋の天皇賞では3着。オペラオーには完全にちぎり捨てられ、先に行ったライバルをねじ伏せた変態アグネスデジタルにも完敗。あの激走で力を使い果たしてしまったのだろうか。なお、前年の秋天以来続いていたオペラオーとのGⅠワンツー記録もここで途絶えている。
続くジャパンカップ。落日にはまだ早い!と雄々しく戦い、若き新星ジャングルポケットに敗れ去ったオペラオーの背中は遥か彼方に遠ざかっていた。初戦以来ステイゴールドにも先着される5着。掲示板確保がやっとであった。ついでにナリタトップロードにも初めて先着された。
オペラオーとそろって引退レースとなった有馬記念。前走で力を使い果たしたオペラオーにこそ先着したが、もう一頭の新星マンハッタンカフェの末脚には及ばず4着。
このレースを最後に引退し種牡馬入り。引退式はオペラオーとの合同で挙行された。珍しいことである。
現役時代の獲得賞金は9億2133万円にも及び、実に購入価格の184倍と馬主孝行の極みと言える。
もしオペラオーが居らず惜敗したGⅠレースを全て勝っていたとしたら、顕彰馬はドトウだったであろう。つくづく生まれた時代が悪かった。もっとも、オペラオーが小牧場産まれ・傍流血統・1000万落札であんな猛烈なマーキングに遭っていたため、○外・500万・ナニコレ血統のドトウが目立つと彼より酷い妨害に遭った可能性もなきにしもあらず。
北海道浦河町のイーストスタッドにて種牡馬入りしたものの、結果は芳しくない。中央だとシャインがクラシック戦線に少し顔を出している程度である。勝ち上がった後に頭打ちになるという若いころの彼っぽい性質が悪い方向に受け継がれているようで、人気もそんなにない。
……勝ち切れないのは、ドトウの父Bigstoneも同じであった(GⅠ12連戦して4勝。ただし欧州なのでGⅠの価値はレースによる)。それでもドトウ産駒はライジングウェーブが大井で重賞を勝つなどの活躍はあった。2017年を以ってドトウも種牡馬を引退。結果的には種牡馬としてもオペラオーの後塵を拝す結果になってしまった。
オペラオーはじめ同世代のライバルたちは先に逝ってしまったが、長生きとなったドトウは種牡馬引退後に引退名馬繋養展示事業の助成対象となり、NPO法人引退馬協会の顔「フォスターホース」として第三の馬生を過ごすことになった。実は彼、"怒涛"という猛々しい名前とは裏腹にとても穏やかで人懐っこい性格をしているのだが、この性格によって繋養先でほんわかした濃いエピソードたちを生み出すことになる。
去勢を経て2018年に日高町のヴェルサイユリゾートファームへ移動し、フォスターホースとしての任に就いた。彼は持ち前の社交性で先住馬たちともすぐ打ち解け、特に同じフォスターホース仲間であるタイキシャトルと親しい仲になった。同牧場では馬以外の動物も飼育しているのだが、彼は同じエリアで放牧されていたヤギに囲まれるも全く動じず、さりとて邪険にする様子でもない動画が投稿されたことから「ヤギの王」なる異名が付いた。誰が言ったかメェショウドトウ。さらに野生のタヌキに自らの馬房の一部を貸して居候を許す
という珍事まで発生。タイキシャトルと羊群"チーム・ウール100%"の組共々、小動物たちとの微笑ましい日々を送った。
2021年にはタイキシャトルと共に新冠町のノーザンレイクへ移動。こちらでも先住馬たちとすぐ打ち解け、牧場猫のメトとも仲良くしようと接近を試みている……が、接近すると巨体を怖がられてしまい想いは一方通行状態。現状自由すぎるメトに振り回されている感が否めないが、果たしてドトウの執念は通じるのか。おっとりゆるふわ癒し系GⅠ馬と気まぐれツンネコの動向に今後も目が離せない。
2022年にはついに、厩でメトが乗ってくれるまでに仲良くなった。馬は非常に視野が広いので背中であっても見えているが、嫌がるそぶりも見せない。さすがはヤギやタヌキとも仲良くなったドトウである。当該ツイートは3万RTを超え、今でも多くの人がドトウの優しさに癒されている。
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後年同じ馬主のメイショウサムソンが活躍したが、その父親はオペラオーと同じオペラハウスだった。こんなところでも何というか因縁を感じざるを得ない。ちなみにサムソンもドトウと同じくイーストスタッドで種牡馬時代を過ごし、その後引退馬協会のフォスターホースに就任している(繋養先はひだか・ホース・フレンズ)。
前述の通りドトウは非常に人懐っこい馬なのだが、人懐っこいあまりカメラを向けるとずいずい寄ってきてほぼドアップの写真しか撮れないという。その寄りっぷりたるや、カレンダー用写真の撮影のためにわざわざ遠くに曳いていっても手綱を離した途端カメラマンの方へダッシュし始めるほど。
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その一方で、「オペラオー」というワードを聞くとそっぽを向いてしまうという。ただ、その言葉が引退式で隣にいた栗毛の馬を指す言葉であるとは理解していない模様。「オペラオー」が聞こえるたびいつも陣営の人が落ち込んでいたからその言葉が苦手になったのではないかとの説もある。
同時期に活躍したオペラオー・トップロード・ドトウは若手騎手主戦にこだわり、その主戦騎手が悩み苦しみながら成長していくという側面もあった。
実際、オペラオーの主戦和田竜二は現在でもホースマン屈指のムードメーカーとして知られる一方、本業の騎乗においては関西の競馬場に強い腕利きとして存在感を放ち、2018年オペラオーが逝った直後にはオペラオーがドトウに初めて敗れた宝塚記念でオペラオーの天皇賞春2連覇以来の中央GⅠ勝利を果たし話題を呼んだ。トップロードの主戦渡辺薫彦も乗り馬に恵まれなかったり落馬事故の怪我に悩まされたりしたが、2012年限りで調教師を目指して引退するまでそれなりのポジションの騎手として長く現役を続けた。
…のだが、ドトウの主戦であったヤスヤスは、偶に人気薄の馬を持ってくる(例:2002年菊花賞でのファストタテヤマ)など西の「穴男」として名を馳せていたのだが、一方で旧5歳秋を前にした時期に起こした交通違反事件のくだりにもある通り、素行不良で特に酒癖のヤバさで悪評が高かったのだが、それを改めることもなく、酒酔いで調教に現れたかと思えば、いきなり栗東から姿を消して函館や東京で競馬と無関係な仕事をしようとするなど、ドトウ引退後はますます自堕落な生活を送り数年もしない内には騎乗依頼がめったに来なくなる。
そして2006年春、師匠であり父である伊佐夫に引退届を提出される形で引退させられて親子の縁を切られ、翌年には京都市内のコンビニで恐喝事件を起こし逮捕された。相前後して10年ほど連れ立った妻とも離婚し娘の親権も妻に移ることとなり、結果としてヤスヤスは競馬サークルから追い出されて仕事を失っただけでなく、家族もお金も、何もかもを失ってしまった。
その後は行方が知れなかったが、2013年と2017年の雑誌対談記事により生存が確認されている。
父との関係は死去直前で何とか修復し、株をやって失敗しただの、沖縄や東南アジアを渡り歩いただの、その中でタイ人の女性と新たな家庭を築いただの、現役時代アレほど言われ引退の原因となった酒癖も治ったと語っていた。現在彼はあいりん地区の日雇い労働者に落ちぶれてしまった。しかし、元号が平成から令和に変わる頃からはコラムも持つようになり、2020年にはYoutubeアカウントを公開、重賞の予想を中心とした動画をたまに投稿。解説者としての第2の人生を歩みたいとも語っている。
Bigstone 1990 鹿毛 |
*ラストタイクーン 1983 黒鹿毛 |
*トライマイベスト | Northern Dancer |
Sex Appeal | |||
Mill Princess | Mill Reef | ||
Irish Lass | |||
Batave 1982 栗毛 |
*ポッセ | Forli | |
In Hot Pursuit | |||
Bon Appetit | Major Portion | ||
Sweet Solera | |||
*プリンセスリーマ 1984 栗毛 FNo.4-p |
Affirmed 1975 栗毛 |
Exclusive Native | Raise a Native |
Exclusive | |||
Won't Tell You | Crafty Admiral | ||
Scarlet Ribbon | |||
First Fling 1977 栗毛 |
Nijinsky II | Northern Dancer | |
Flaming Page | |||
Fast Approach | First Landing | ||
Pinny Gray |
クロス:Northern Dancer 4×4(12.50%)
掲示板
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最終更新:2022/07/07(木) 11:00
最終更新:2022/07/07(木) 11:00
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