メジロダーリングとは、ダイタクヤマトの嫁1996年生まれの競走馬。メジロ牧場には珍しいスプリンターにして日本唯一の直線重賞の初代チャンピオンである。
主な勝ち鞍
2001年:函館スプリントステークス(GIII)、アイビスサマーダッシュ(GIII)
メジロダーリング Mejiro Darling 目白情人 |
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生年月日 | 1996年5月28日 |
馬種 | サラブレッド |
性・毛色 | 牝・鹿毛 |
生産国 | 日本![]() |
生産者 | メジロ牧場 (北海道伊達市) |
馬主 | (有)メジロ牧場 |
調教師 | 大久保洋吉(美浦) |
主戦騎手 | 吉田豊 |
登録日 | 1998年7月23日 |
抹消日 | 2002年10月10日 |
戦績 | 34戦8勝[8-5-4-17] |
獲得賞金 | 2億9235万2000円 |
競走馬テンプレート |
父Green Desert、母アイルオブグラス、母父Affirmedという血統。
血統を見ると母父はアメリカ三冠を始めとした中距離GIを14勝した馬だが、父はスプリントGIのジュライカップを制し産駒にもスプリント・マイルでの活躍馬が多い(日本では98年の高松宮記念を制したシンコウフォレストなどがいる)種牡馬、母もスプリント重賞を制した繁殖牝馬と分かりやすいスプリンター血統。長距離・障害に強いメジロ牧場らしからぬ血統である。
というのも中央競馬自体が世界全体の距離短縮の風潮とサクラバクシンオーの活躍などに合わせて短距離・マイル路線を充実させる方向にシフトしたため、従来とは異なる血統の基礎牝馬として新しく輸入した繁殖牝馬がこの母アイルオブグラスであり、その日本に来てからの第1仔が本馬である。
新しいメジロの血統として期待された本馬は1998年10月に東京競馬場の1400m戦でデビューし、サクッと逃げ切り勝ち。しかし次走のデイリー杯3歳ステークス(1600m)は道中沈んで9着、続く500万下(1600m)も6着と距離の限界を露呈する。年内最後の条件戦(500万下、1200m)は3着とある程度の健闘を見せて3歳を終えた。
4歳になり3か月の休み明けで1400m戦を2戦使うが9着、4着と勝ちきれない。じゃあ1200mだ、と思ったのかは分からないが次戦からは1200mのレースを中心に戦っていく。するとここから5戦連続連対を果たし一気にオープン馬に昇格。GIスプリンターズステークスへの参戦を果たして(レースでは先行するが最後沈んで12着)4歳を終える。
翌5歳になっても引き続き1200m戦を使っていくが、重賞でも好走はすれど勝ちきれず、5歳夏の賞金規定で1600万下へと降下されてしまう。しかしキーンランドカップ(当時オープン特別、現GIII)を勝利してオープン馬に復帰すると、アンドロメダステークス(当時は1200mのオープン特別)も制して5歳を終える。
年が明けて2001年、年齢表記が変わって再び5歳として本馬は走ることとなる。年初のオープン戦は1番人気を裏切る2桁着順に沈むも、2年連続での参戦となるGI高松宮記念では早々と先頭を奪うと直線でも粘って5着に食い込む健闘を見せる。次走のGII京王杯スプリングカップ(1400m)ではやっぱり距離限界を露呈して8着に沈むも、次走のGIII函館スプリントステークスはタイキトレジャーやブロードアピールら人気馬を尻目にしてやったりの逃げ切り勝ち、念願の重賞制覇を達成する。
次走はこの年が初開催となる、新潟競馬場夏の名物GIIIアイビスサマーダッシュ。日本で初めて(そして2022年現在唯一)の直線1000mのみの重賞レースである。この年新潟千直の誕生により、それ以前の日本における1000mのレコードが55秒9から54秒2まで縮められており、重賞競走ともなると果たしてどれだけのタイムが出るのかと注目が集まった。
1番人気はのちに本レースを2度制し今なお新潟千直のレコードを持つ「日本最速の馬」カルストンライトオ、2番人気は本馬、3番人気はこちらも重賞戦線で活躍したユーワファルコンで、この3頭が人気を3分する形になった。本馬は2枠2番、今の感覚だと「内枠終わった」といった感じもするが、当時は外枠の方が馬場が荒れてないしラチに沿って走らせられるので有利だということもわからない状態の話である。
レース本番、カルストンライトオと4番人気シンボリスウォードが飛び出していき本馬はそれを追う4、5番手。今とは違って全馬が比較的真っすぐに走らせていく(繰り返すが初開催なので距離ロスしても外ラチ沿いに走らせるのが優位だとか、芝の張り替え直後はあえて内ラチ沿いを突きに行くのもありだとか、その辺の経験値がない時代である)中、先を行く2頭の脚が先に鈍るのを本馬はきっちりととらえて見せた。重賞2連勝、そしてタイムは衝撃の53秒9! 上がり3Fは31秒9! なにしろ第1回ということで見ている側も十分に心と頭の準備ができていなかったので、あまりの時計に感情が追いつかず、もう笑うしかないといった感想だった。翌年にカルストンライトオがコンマ2秒縮めたが、20年以上が経った今でも53秒台の馬がなかなかでてこないあたり、本馬の激走ぶりが見て取れる。かくして本馬はアイビスサマーダッシュの初代チャンピオンとなり、牝馬が強いレースとして語られるきっかけになったのである。
この夏の連勝は、続くGIスプリンターズステークスにおいて本馬を3番人気にまで押し上げた。なんと同年の高松宮記念のチャンピオン・トロットスター(4番人気)を上回る人気である。そして田中勝春に乗り替わりで迎えたレース本番、本馬はいつも通りスタートを決めて先頭に立つ。そのまま飛ばして前半600mは32秒5の猛ラップ!しかし直線に入っても本馬は止まらない。2番手ユーワファルコンを競り落として必死に粘り、内を突いたトロットスター、外から襲い掛かった前年チャンピオンのダイタクヤマトとほぼ並んでゴール板を通過した。結果はトロットスターにタイム差なしクビ差の2着。驚くべきはそのタイム、1分7秒0!芝の状態の良い9月開催とはいえ、あのサクラバクシンオーの出したレコードをコンマ1秒上回り、2012年に龍王ロードカナロアがコンマ3秒上回るまでレースレコードであった。
さて、引き続きGIタイトルを目指す本馬が次走に選択したのは…この年新設されたダートGIのJBCスプリント(この年は大井1200m)である。いやまあこの馬にマイルチャンピオンシップ(GI、1600m)やスワンステークス(GII、1400m)は長すぎるかもしれないが、いきなりダートはないだろう…。案の定ノボジャックやブロードアピールらダートを得意とする面々の前に13着と撃沈した。
これで歯車が狂ったのか、それともスプリンターズステークスで燃え尽きていたのか、香港スプリント(当時1000m、国際GII)に招待されて旦那ダイタクヤマトと出走するもそろって2ケタ着順に撃沈(ダイタクヤマト12着、メジロダーリング13着)した。優勝馬に騎乗していたオリヴァー騎手からは「走破タイムがおかしなことになってる馬がいる」と大変警戒されていたようだが新潟競馬場と沙田競馬場では同じ1000mでも時計が5秒近く違うので……。同年の香港ヴァーズをステイゴールドが、香港マイルをエイシンプレストンが、香港カップをアグネスデジタルがそれぞれ制しただけにより一層惨敗が目立つ形になってしまった。
翌2002年に入っても歯車は戻らず、高松宮記念は4コーナーで沈んで14着、続く新潟千直のオープン戦では1番人気に推されながらも先行できずに7着と惨敗、これを最後に引退となった。
引退後はメジロ牧場で繁殖牝馬となったが、障害オープン馬をだすにとどまった。その後メジロ牧場の解散に伴い後継となったレイクヴィラファームに移って繁殖牝馬を続けたが、第8仔の出産直後に死亡した。享年18。
さて、本馬を語るうえでしばしば引き合いに出されるのが2歳年上のスプリンターダイタクヤマトである。というのもこの2頭、ともに条件馬だったころから数えて9度にもわたる対決を行っているのである。しかも2000年高松宮記念からはお互い4戦連続で顔を合わせていた。(最終的な対戦成績はダイタクヤマト6勝: メジロダーリング3勝)
ダイタクヤマトの父がダイイチルビーとの恋人ネタで有名だったダイタクヘリオスであることもあり、この2頭の間にも恋人ネタが馬なり1ハロン劇場で描かれた。そしてダイタクヘリオスとダイイチルビー同様、この2頭が交配されることはなかった。残念。
ちなみに舞台になったのはラストマッチ(ダイタクヤマトにとっては引退レース)の香港スプリントを除き、すべて芝1200mであった。
年月日 | 競馬場 | レース名 | 格 | メジロダーリング | ダイタクヤマト | 勝ち馬 | ||||
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人気 | 着順 | タイム | 人気 | 着順 | タイム | |||||
1999.9.11 | 阪神 | 仲秋S | 1600万下 | 2 | 2 | 1:08.7 | 1 | 1 | 1:08.3 | ダイタクヤマト |
1999.10.9 | 京都 | 京洛S | 1600万下 | 2 | 1 | 1:07.4 | 1 | 2 | 1:07.6 | メジロダーリング |
2000.3.26 | 中京 | 高松宮記念 | GI | 10 | 14 | 1:09.4 | 13 | 11 | 1:09.1 | キングヘイロー |
2000.4.23 | 福島 | やまびこS | OP | 1 | 3 | 1:10.1 | 2 | 1 | 1:09.5 | ダイタクヤマト |
2000.6.10 | 中京 | テレビ愛知OP | OP | 3 | 14 | 1:09.3 | 2 | 5 | 1:08.8 | フェイマスケイ |
2000.7.2 | 函館 | 函館スプリントS | GIII | 8 | 3 | 1:09.2 | 6 | 2 | 1:08.9 | タイキトレジャー |
2001.3.25 | 中京 | 高松宮記念 | GI | 12 | 5 | 1:08.8 | 2 | 8 | 1:09.2 | トロットスター |
2001.9.30 | 中山 | スプリンターズS | GI | 3 | 2 | 1:07.0 | 2 | 3 | 1:07.0 | トロットスター |
2001.12.16 | 沙田 | 香港スプリント | GII | 1 | 13 | 0:58.8 | 7 | 12 | 0:58.3 | Falvelon |
Green Desert 1983 鹿毛 |
Danzig 1977 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Pas de Nom | Admiral's Voyage | ||
Petitioner | |||
Foreign Courier 1979 鹿毛 |
Sir Ivor | Sir Gaylord | |
Attica | |||
Courtly Dee | Never Bend | ||
Tulle | |||
*アイルオブグラス 1988 鹿毛 FNo.14-c |
Affirmed 1975 栗毛 |
Exclusive Native | Raise a Native |
Exclusive | |||
Won't Tell You | Crafty Admiral | ||
Scarlet Ribbon | |||
Liffey Lass 1982 鹿毛 |
Irish River | Riverman | |
Irish Star | |||
Play At Home | Round Table | ||
Stay At Home | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Crafty Admiral 5×4(9.38%)、Never Bend 4×5(9.38%)、Native Dancer 5×5(6.25%)
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最終更新:2025/03/20(木) 17:00
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