ラムゼイ・ワーツ(Ramsay Wartz)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
自由惑星同盟軍人・少将。宇宙暦794年の第六次イゼルローン要塞攻防戦にて、マルコム・ワイドボーン大佐を参謀長として分艦隊2500隻を指揮した。石黒監督版OVAにおける旗艦は標準型戦艦<シャムシュ>。
前哨戦となる小戦闘が多発していた時期の11月6日、帝国軍ラインハルト・フォン・ミューゼル少将(のちのラインハルト・フォン・ローエングラム)の分艦隊と対戦するが、中央突破戦法により部隊の中心部を直撃され戦死する。司令部が消滅した分艦隊は徹底的に殲滅され、残存艦艇は300隻未満であった。
まったくの余談ながら、原作登場人物の姓をあいうえお順に並べるとワイドボーンの隣に来る。
原作では、第六次イゼルローン要塞攻防戦の序盤、同盟軍相手に気ままに各種の戦術パターンを試していたラインハルトの前に敗れ、同盟軍総司令部が“無名の危険人物”としてラインハルトを警戒し始めるきっかけをつくった同盟軍指揮官のひとりとして名前が挙げられた程度の存在であり、むしろ参謀長ワイドボーンの戦死のほうが大きく取り上げられ、ワーツには何らの人物描写もない。
このため各メディアミックスにおいても、ヤン・ウェンリーと同期の秀才という背景と正攻法にこだわり戦死する優等生という人物描写を多少なりとも事前にもっていた(比較的)重要人物ワイドボーンに対する各作品のキャラクター解釈に照応するように、悪い言い方をすれば添え物、それぞれの酒精を引き立てる酒肴のようなかたちで独自の人物像が作られている。
石黒監督版OVAにおけるワーツは、謹厳ではあるがどうにも存在感が希薄で、主体性に欠けた退嬰的な初老の指揮官という雰囲気である。
実質的な判断は隣に立つワイドボーン参謀長にすべてゆだねてしまっているようで、ラインハルトの分艦隊の行動に対しても無言でワイドボーンを見遣るだけで、彼の進言する定石的な対応をそのままオウム返しに命令として発する。このためワイドボーンがラインハルトの動きを理解できず絶句すると、ワーツも呆然とするばかりで何もできず、そのまま戦死することとなった。
この点、石黒監督版OVAのワーツは「参謀長の立場で本来の指揮官が霞むほど積極的に指揮を主導するが、戦術面では形どおりのものに依存して奇策に対応できず戦死する」という、同作のワイドボーン解釈を成立させるための人物像となっているといえる。
藤崎版コミックでのワーツは、第六次イゼルローン要塞攻防戦におけるワイドボーンが原作の内容よりはるかに大きくフィーチャーされた影響を強く受けており、人物描写が拡張されている。
同作のワーツは、優秀で頼れる若い参謀ワイドボーンを高く評価してはいるものの、実質的な作戦立案を彼にゆだねてしまい、自身は中将昇進への野心に汲々とする中年の小人物として描かれている。そのため戦場の流動的な状況への理解力と警戒心にいちじるしく欠け、事前の想定を越えてきたラインハルトの術策をワイドボーンが看破してのけたにもかかわらず、即時撤退の進言に従うこともせずに説明と作戦会議を求めて対応が遅れ、なすすべなく戦死する。
こうした描写からは、「正攻法にこだわる気質はあっても間違いなく有能だが、参謀の地位ゆえに自身の理解と責任を越えた相手に敗北を喫し戦死する」という、藤崎版コミックのワイドボーン解釈に対応した人物像で描かれた藤崎版ワーツといえるだろう。
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2 ななしのよっしん
2024/03/29(金) 02:25:04 ID: EYw5ds8in4
乙、さらにキャボットもいかがでしょう
すみません無茶ぶりです忘れてください
フジリュー版は優秀な部下を使い切れに戦死する無能上官という位置付けである意味ムーア&ラップと重なってる
3 ななしのよっしん
2024/03/29(金) 07:32:02 ID: 2h/SsnsJ8z
本来原作の(1巻当初の)描写自体が、ワイドボーン自身の指揮と責任下で戦死したみたいな感じだったからなぁ……外伝で拾うにあたって、上官が必要だったのかと。
4 ななしのよっしん
2024/04/10(水) 22:30:29 ID: acf5xcmPDT
戦死者の中に(士官学校でヤンに負けたエピ持ちの)ワイドボーンがいた、という話の意外性を作るためのワンクッションとして用意されたキャラって感じだな。
作劇上のテクニックとしては、そんなにおかしな話でもない。
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最終更新:2024/04/28(日) 15:00
最終更新:2024/04/28(日) 15:00
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