レントゲニウムとは (レントゲニウムとは) [単語記事]

レントゲニウムとは、原子番号111の元素である。元素記号Rg。

概要

1994年 12月8日、ドイツ重イオン研究所(GSI)で発見された。ビスマス 209にニッケル64を加速器でぶつけ、²⁷²Rgの原子を3個見出した。

レントゲニウムの名称は2004年に正式決定された。ヴィルヘルム・レントゲンのX線発見から約100年後に発見されたことに因む。正式決定前は系統名でウンウンウニウム(Uuu)、またはエカ金と呼ばれていた。

同位体

全ての同位体が放射性で、寿命が短い。現在確認されている中で最も寿命が長いのは²⁸⁰Rgである。アルファ崩壊してマイトネリウムになる。中性子過剰領域には半減期のやや長い同位体も存在する可能性がある。

同位体	半減期	DM	DE(MeV)	娘核種	生成法	備考
²⁷²Rg	1.6ミリ秒	α	11.02 10.82	²⁶⁸Mt	²⁰⁹Bi+⁶⁴Ni (1994年, GSI) ²⁰⁸Pb+⁶⁵Cu (2004年, LBNL)	半減期は異説あり
²⁷⁴Rg	15ミリ秒	α	11.23	²⁶⁹Mt	²⁷⁸Uutの崩壊生成物 (2004年, 理研)	核異性体2種 (予想)
²⁷⁸Rg	4.2ミリ秒	α	10.69	²⁷⁴Mt	²⁸²Uutの崩壊生成物 (2006年, JINR-LBNL)
²⁷⁹Rg	0.17秒	α	10.37	²⁷⁵Mt	²⁸⁷Uupの崩壊生成物 (2003年, JINR)
²⁸⁰Rg	3.6秒	α	9.75	²⁷⁶Mt	²⁸⁸Uupの崩壊生成物 (2003年, JINR)
²⁸¹Rg	1分？	α	？	²⁷⁷Mt	²⁹³Uusの崩壊生成物 (2009年, JINR)
²⁸²Rg	4分？	α	？	²⁷⁸Mt	²⁹⁴Uusの崩壊生成物 (2009年, JINR)

化学的性質

レントゲニウムは周期表上では11族（貨幣金属）に当たり、銅・銀・金と性質が類似していると考えられる。金属の外見は銀に近く、銅や金のような独特の色を呈することはないと電子エネルギー計算から予想されている。

11族元素は貴金属で活性が低く、さらに周期表の下側ほど活性が低い。銀は酸素には反応しないが、硫黄や硫化水素と反応して黒ずむ。金はほとんどの化学的腐食に強いが、ハロゲンとは反応する。レントゲニウムは金よりさらに活性が低く、フッ素でないと反応しないと予想されている。金が王水に溶けるのは王水から発生する塩素に反応するためなので、金属レントゲニウムはおそらく王水にも溶けない。