三槓子

三槓子（サンカンツ）とは、麻雀の役の1つである。2翻役。

概要

槓子（明槓か暗槓かは問われない）を3つ作ると成立する役。ローカル役を除いた役満以外の通常役ではおそらく最高の難易度を誇るであろう2翻役。実際に、四暗刻、国士無双、大三元という役満御三家より出にくいのは言うまでもない。これについては統計データを見てもらえると一目瞭然であろう。実戦で見かけることも難しい、というより上級者になればなるほど槓を行わなくなるため、ますます見かける機会は少なくなる。当然ではあるが、槓子なので、4枚使いは槓子とはならない。

これだけ難しい三槓子なのだが、更に上位役としては四槓子が存在するから困ったものである。四槓子となると、九蓮宝燈や天和と並んで出現率が低い役満となっている。

難易度が高い理由

三槓子の難易度が高い理由はいくつか考えられるが主に以下のことが挙げられる。

1. そもそも、3回槓出来る状況がほとんど無い
2. 大明槓の場合、門前が崩れる
3. 槓をすると（暗槓であろうと）防御力が落ちる　その為、振り込みやすくなる
4. 一般的なルールだとドラが増えるため、ドラ頼みのリーチや、裏ドラ狙いのリーチが放たれやすくなる
5. 他のプレイヤーがあと1回槓をすると流局する

まず、大前提として槓というのは同じ牌を4枚集めてカンを宣言する（暗槓）か、3枚持っている時に誰かが捨てた牌に対しカンを宣言する（大明槓）か、ポンした牌をツモって来た時にカンを宣言する（加槓、小明槓）かのいずれかであり、いずれにせよ暗刻を持っているか、ポンした牌と同じ牌をツモってくることが要求される。

麻雀を実際にやっていれば分かるが暗刻を3つ持っていれば三暗刻が成立するし、ポンした牌と同じ牌をツモるというのも実質同一牌3枚を持ってくる事と同義であるから、その確率はかなり低い。

事実、仮にカン出来る状況であれば必ずカンする（実際に雀荘でやると嫌がられるので注意）というプレイスタイルだったとしても、その局で1回できるかどうかという場合が多い。それを3回やる、ということなのだから難しい。

そして、仮に、三暗刻のような状態であった場合に大明槓をすると、当然門前が崩れるということである。次のような手を考えて欲しい。

例：

上のケースは聴牌の形によるが、三暗刻が見えている一向聴である。ここでが打牌されたとしよう。「この手で大明槓するだろうか？」といえば、おそらく多くの人は大明槓しないだろう。というのも、を大明槓すると三暗刻が崩れ、クイタンのみとなる。しかも門前ではなくなるためリーチも出来ない。オーラスで、トップと大きく点差が開いてしまっており、三暗刻（＋立直など）のみでは逆転不可能な状況でドラを狙って大明槓するか、そもそもがドラであるか、といった特殊な状況でなければ大明槓をしてもむしろ不利な状況に立たされることが多い。

先述した通り、大明槓にせよ小明槓にせよ自力で同じ牌を3枚はツモってこなければならない上、事前に暗刻が出来ていればわざわざ大明槓をして崩す必要も少ない。既に2回槓をしていて三槓子に移行する、という状況ならまだしも1度も槓していない状態から三槓子を狙って大明槓は非常に無謀といえる。

次に、いざ、3回槓が出来たとすると、自由に使える牌は4枚＋ツモ牌1枚で5枚となってしまう。上のケースで暗刻であるを全て暗槓した場合には

例：　　　

となり、門前にもかかわらず手牌の自由がほぼない状態となる。また、他のプレイヤーからは三槓子の他に三暗刻がもろに見えており、ドラなどが含まれていればより一層慎重な打牌をされることになるし、万一リーチがかかれば5枚の手牌から捨て牌を選択しなければならないため非常に厳しくなる。

そして、現在のルールでは槓をすると槓ドラが増えるというのが一般的（競技麻雀などでは採用されない）であるため、3回槓をした状態だと槓ドラを含め、ドラは4種類になる。これはつまり、リーチをかけたときの裏ドラも4種類になることを指すため、計8種類のドラを求めて安手でもリーチをかけるプレイヤーが出現することは想像に難くないし、逆にそれを恐れてベタオリするプレイヤーが現れることも容易に想像出来る。

一方で自身の槓子にドラが乗っている場合はともかく、そうでなければ、基本的には明槓が含まれているだろうから自身はリーチが出来ないため、結局裏ドラは他のプレイヤーが恩恵に授かることになりがちである。せめて、槓ドラなどが乗っていれば話は別だがその場合には他のプレイヤーがベタオリすることが多く、結果として和了しにくくもなる。

最後に、三槓子や、これらのドラ目当てのリーチを恐れたプレイヤーが適当な槓をする可能性がある、ということである。その結果、四開槓が成立してしまい、流局となってしまう。これは実際に、3回槓をしたプレイヤーがいたとすれば多くのプレイヤーが、可能ならば四開槓で流してしまうだろう、ということからも容易に想像がつく。

ここで示したような理由から三槓子というのは非常に狙いにくい役となってしまっている。にも関わらず2翻。多くの場合は対々和と複合するような形になるため、対々和＋三槓子で満貫は確定するだろうが、本当にドラが乗らず三槓子だけだと符数のやたらに多い2翻で止まってしまうことになる。

これだけ不遇なため、ローカルルールで三槓子を役満とする場合もある。もっとも、先述の通り、役満と比較しても十分に出にくい役であるため、こうしたとしてもインフレになる可能性はあまりない。このルールだと槓をする人が増えるのではないかと感じる人もいるだろうが、前述した通り狙っても3回槓することが難しいという前提があるため、さほどインフレ化はしないと思われる。もっともあくまでローカルなので、雀荘やゲームでの採用ケースは皆無といえる。

実演

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ちなみにこれだと大三元（ルールにより超三元）となる。

関連項目

• 麻雀の役一覧
• 四槓子……上位役