立体感とは、つかの間の夢現である。
『プリパラ』以降のプリティーシリーズにおける、アイキャッチのテンプレコメント。『プリパラ』1クール目の、回転アニメーションだった上に揺れまで描写するほどの芸コマだったアイキャッチを懐かしむものである。
では、当時からそのようなコメントがあったかというと実はそんなことはない。実際に見ていくと後の祭りになってしまった後、失ったものの尊さがどれほどのものだったのか気づいて初めて、成立したものである。
※なお、今更ニコニコ生放送のコメントを掘ることはどうあっても不可能のため、時系列の完全な再現にはなっていないことをあらかじめ断っておく。
すべての始まりはプリパラ1話。アイキャッチで真中らぁらのプリパラ外、プリパラ内の姿の変化を回転運動で表したことに始まる。
このアイキャッチがだいぶ立体感あるよなめいたものであったのである。以後も、真中らぁら、南みれぃ、北条そふぃの変身要素を端的に表した芸コマさが、配信開始当初から褒められていたり、揺れに反応するコメントが多少見られはしたことから、アイキャッチを特別視する土壌が生まれた。
そして迎えた3話の配信。2014年8月1日20時39分に動画の10分17秒の箇所に、コメント番号2635の「アイキャッチの立体感ある作画割とマジで好き」という、初めてこれを立体感と表すコメントが投稿される。
ところが、そのコメントは3話では全く拾われなかったのであった。
次いで4話の配信。2014年8月8日21時8分に動画の10分38秒の箇所に、コメント番号2132「立体感あるよな」が投稿される。なお、説明不要かもしれないが、これは自重できてないシリーズで誕生し、後世本当に『忍者戦隊カクレンジャー』が公式配信されてしまったため、東映特撮ニコニコおふぃしゃるで以後様々なバリエーションが作られまくったテンプレコメント「重量感あるよな」の亜種である。
ところが、ここでもまだテンプレにはならず、無料配信期間中にアイキャッチを立体感と表現したコメントはこれを入れてたったの2つであった。
そして5話の配信。2014年8月15日20時22分に動画の10分54秒の箇所に、コメント番号896「立体感あるよな」が投稿。ここに来てようやく所謂「ここすき」コメントの一種として立体感すき的なコメントが無料配信期間中1日1回程度投稿されるようになる。
しかし、6話に至っては、唐突に家庭内でしょうもないことで裁判を始めた南家の人々に視聴者も突っ込むあまり、ほとんどアイキャッチに触れる者はいない。無料配信期間中に立体感に触れたコメントは皆無である。
さらに7話も、北条そふぃのファンシーモードネタバラシからのアイキャッチ解禁の流れで、立体感に触れたコメントはまたも皆無。
2014年9月2日にアイキャッチの耐久動画が投稿されたりもしたが、当時は誰もコメントしていない。
迎えた8話。真中らぁらの告白によって愛媛なおが怒り、4話の坂上栄子との展開を踏まえて視聴者も興奮しまくった状態でアイキャッチに突入したため、ほとんどアイキャッチはスルーである。2014年9月9日4時34分に動画の12分20秒の箇所に、コメント番号17058「この立体感のある腋!」がようやく投稿された程度である。
本当になかなかテンプレとして定着しないまま9話になる。2014年9月12日19時56分に動画の8分7秒の箇所に、コメント番号286「立体感のあるアイキャッチ」とコメントがあったものの、赤井めが兄ぃ初登場のインパクトといつもよりも尺が短めの濃厚Aすぎて、アイキャッチはほとんどスルー。
10話に至っては、坂上栄子の再登場と栃乙女愛の初登場のインパクトへのリアクションを表すあまり、ほぼほぼアイキャッチをスルー。
結局11話も真中らぁら、南みれぃのメンバー候補が面接に来た場面という、もはや誰もボケてすらいなかった場面だったにもかかわらず、アイキャッチにはもはやノーコメント。
そう、1クール目の終盤に至ってもテンプレコメントにすらなっていないのである。
しかし、12話ではストーリーの山場だったこともあって、ついに大盤振る舞いの真中らぁら、南みれぃ、北条そふぃの3連続のアイキャッチだった。このため、久方ぶりにアイキャッチに注目が集まる。かくして2014年10月4日13時32分に動画の11分24秒の箇所に、コメント番号9605「微妙に立体感たりてなくない?」が投稿された…のだが、みんな3連続の方ばかり注目して、無料配信期間中に立体感に言及したのはこれのみであった。
気づいたらすでに1クール目のラストである13話。当時ニコニコ動画での配信は2週遅れだったこともあり、すでに2クール目で立体感が消えることを把握していたリアタイ組も現れだした頃である。その中でニコニコ動画での配信が始まる。
かくして、そんなリアタイ組のコメントと思われる、2014年10月11日23時55分に動画の10分12秒の箇所にコメント番号10598「この立体感もなくなるんよな」が投稿される。しかし、配信当時は新しく仲間となった北条そふぃに振り回されて曇る南みれぃに注目が集まり、無料配信期間中に立体感に言及したのはこれのみ。
こうして、テンプレコメントとしてアイキャッチの立体感に触れるものなど存在しないまま、ついに2クール目に突入する。
かくして、主題歌も変わり、「DressingPafé」が鮮烈にデビューを飾った14話。ついにアイキャッチから立体感が消える。
14話の配信が始まると、ニコニコ動画での配信視聴組もアイキャッチから立体感が消えたことにさっそく気づき始め、まず2014年10月17日20時1分に動画の10分41秒の箇所にコメント番号474「アイキャッチ立体的じゃなくなった…」が投稿されたのを皮切りに、立体感ない、立体感ないよな、立体感返して、といったコメントが続く。
つまり、ここから、いつか立体感が返ってくる日々を夢見てであろう、立体感を惜しむコメントが以降の回でも続いていくことになる。
そう、「立体感は死んだんだ。いくら呼んでも帰っては来ないんだ。もうあの時間は終わって、君も人生と向き合う時なんだ」ということを目の当たりにしてしまった結果、ここでようやく「立体感は復活するんだ。悲しみの弔鐘はもう鳴り止んだ。君は輝ける人生の、その一歩を、再び踏み出す時が来たんだ」とでも言わんばかりに、立体感が以後テンプレコメントとしてアイキャッチの際に言われるようになったのである。
かくして、以後来る日も来る日も立体感は追想され続けた。
しかし、プリパラがアイドルタイムプリパラになり、キラッとプリ☆チャン、ワッチャプリマジ!、ひみつのアイプリに至ってもなお、立体感は帰ってこない。我々はそろそろ、立体感のない日々を受け入れる時が来ているのかもしれない。
のだが、ニコニコ動画で公式配信がなかっただけで、アイドルランドプリパラでは立体感が復活していたりする。
なお、プリパラのアニメ設定資料集の上巻の、プリパラシリーズでキャラクターデザインを務めた原将治のとプロデューサーの依田健の対談で、アイキャッチの立体感についても触れられている。オープニングに南みれぃの変身シーンが高頻度であったことを言及した流れである。
原将治は描いてて楽しかったので途中で無くなったことを残念がる。さらに、あのアイキャッチを全員やってたら死ぬと冗談を言いつつも、「DressingPafé」に変身要素がなかったことが、無くなった原因ではないかと言及している。
実はこの言及もアニメを描いてる側の推測である。よって、アニメーターに発注するメインスタッフや、そのさらに上位でコンテンツを差配している側がどう考えていたかはわからず、立体感が消えた真相は不明なままである。
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最終更新:2025/12/10(水) 21:00
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