通貨バスケットとは、2つ以上の外国通貨を一定割合で混合させて作り出す仮想通貨のことをいう。
通貨バスケット制とは、固定相場制や中間的為替相場制や「変動相場制のなかの管理変動相場制」の一種であり、通貨バスケットと自国通貨の名目為替レートの変動を抑制する制度である。
通貨バスケットを作り出すときは2つ以上の外国通貨を一定割合で混合させる。
どの外国通貨を「2つ以上の外国通貨」に選ぶのか、あるいは2つ以上の外国通貨の構成比率をどうするのか、といったことは貿易量などによって決めることが一般的である。
通貨バスケット制を採用したA国のことを考えてみよう。
A国はゼニーという通貨を採用していて、1ゼニーを通貨バスケット1単位と交換できるとする。
通貨バスケットの70%が米ドル、20%がユーロ、10%が日本円とする。
1月1日の通貨バスケット1単位を「70+20+10=100」と計算して100と表現する。
4月1日になるまでに米ドル安が進み、米ドルがユーロに対して5%安くなり、米ドルが日本円に対して10%安くなったとする。米ドルがユーロに対して5%安くなったというのは、「1ドル=1ユーロが1ドル=0.95ユーロ(1.0526ドル=1ユーロ)になった」ということと同じである。米ドルが円に対して10%安くなったというのは、「1ドル=1円が1ドル=0.9円(1.1111ドル=1円)になった」ということと同じである。このため4月1日の通貨バスケットは「70+20×1.0526+10×1.1111=102.1630」と計算して102.1630と表現できる。
A国通貨の1ゼニーと交換できる通貨バスケット1単位は、1月1日から4月1日にかけて100から102.1630に増加した。A国にとって2.163%の自国通貨高になった。
※この項の資料・・・日本経済新聞2010年6月22日記事
通貨バスケットと自国通貨の名目為替レートの基準値を発表し、そこからの変動を1%以内程度に厳しく抑制する制度を「通貨バスケット制による固定相場制」という。
通貨バスケットと自国通貨の名目為替レートの基準値を発表し、そこからの変動を1%を超える程度に緩く抑制する制度を「通貨バスケット制による為替バンド制」といい、中間的為替相場制の1つになる。これの採用例は2021年現在のシンガポールである。
通貨バスケットと自国通貨の名目為替レートの基準値を発表せずに秘密のままにして、その基準値から極端に変動することを抑制する制度を「通貨バスケット制による管理変動相場制」といい、変動相場制の1つになる。これの採用例は2014年11月以前のロシアである[1]。
通貨バスケット制を採用する場合、通貨バスケットが2つ以上の外国通貨で構成されているため、ある1つの通貨が急激に変動しても影響が緩和されやすい。
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最終更新:2024/04/27(土) 07:00
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