ICE-TD 単語

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 ICE-TDとは、ドイツ鉄道及びデンマーク国鉄が保有・運行する高速特急電気式気動車である。

概要

 ドイツ内において、ICE(InterCityExpress)は一躍ドイツ鉄道フラッグシップとなり、内外を問わずそのネットワークを広げていた。そして非電化区間にも気動車タイプICEを導入し、速度サービスを向上させる事となった。そして完成したのがICE-TDである。形式はVT605

 体は先に完成していたICE-Tをベースとし、内の内装もほぼ同一の物となった。4両編成を基本とし、電気ディーゼルとして作られ、エンジンにはカミンズ社製の物を採用、最高速度200km/h、更にはICE-Tとの併合運用を前提とした設計となっている。体傾斜装置はICE-Tとは違い、SIEMENSオリジナル機械式制御振子装置を搭載、これは初の試みであった。1999年に出場、試運転が開始され、良好な結果を出した事から2001年に営業運転を開始、ニュルンベルドレスデン間及びミュンヘンチューリッヒ間で運行開始した。

 しかし、実際に営業運転を初めて見ると、トラブルが頻発した。特に制御振子装置の不具合は酷く、曲線情報コンピューターが処理しきれず、フリーズするトラブルが頻発した。その状態でも走行は可であったが、安全のため速度が30km/hに制限されてしまった。また、工場で検中の車両がジャッキから転落、2両がとなった挙句、更に軸折損という重大なトラブルにも見舞われ、運行中止に追いやられた。その後、何とか運行可な状態にはなったものの、制御振子機構のトラブルの改善が進まない為、元のダイヤで運行する事は不可能な状態であった。この状況にドイツ鉄道車両SIEMENSに返却する事まで考えたが、まだまだ新しい車両だった為何処か別の場所で使えないか検討する事となった。しかし、高速運転を前提とした列車である為、運行コストが高くつくことから、在来線での転用先は簡単に見つからなかった。

 転機が訪れたのは2006年の事、振子機構のトラブルも改善の処が立ち、漸くまともに走れるかもと言う状態になった頃、ドイツワールドカップが開催され、その為の臨時列車の増発が必要になった事から再び表舞台に立つ事になった。この運用の後、ハンブルグから車両航送でデンマーク首都コペンハーゲンまで運行している特急列車の後継車両を探していたデンマーク国鉄が、ICE-TDに運用で使用できないかとドイツ鉄道に打診してきた。これにより、ICE-TDはベルリンハンブルグコペンハーゲン(一部はオーフス)の渡り鳥ルートの運用に転用される事が決まった。奇しくも、このルートはかつて西ドイツを代表するTEE車両であるVT11.5型気動車(VT601)と、その車両であるLitra MAが走っていたルートであり、結果的には両国を代表する名の後を継ぐ事となった。現在でもこのルートの運用に就いており、振子機構のトラブルもあらかた解消され、順調に活躍している。また、ポーランドへの直通運転も検討されている。

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