PhysX 単語

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PhysXとは、物理演算エンジンライブラリ及び、そのライブラリハードウェアで動作させる為の専用チップの名称である。

概要

開発元はカリフォルニア州に本拠を置くAGEIAだが、2008年に大手GPUメーカーの一つ、NVIDIAに買収されており、AGEIA買収後、PhysXはNVIDIA提供している。
公式情報によるとPhysX対応ゲームは、PC向けゲーム家庭用ゲームを含めて150タイトル以上(2010年時)存在する。

PC向けのPhysXは、NVIDIA3DグラフィックチップであるGeforce上でアクセラレーションを行うような仕組みになっているが、PhysXのアクセラレーションを利用する為には、Geforec8000シリーズ以上が必要である。
ただ、GeForce上でのPhysXの実行には、グラフィックス描画に使われるストリーミングプロセッサ(SP)の一部を使う為、グラフィックス描画のパフォーマンスが低下するという弱点を持っていた。なのでNVIDIAは、この弱点を補う為に一台のPCに複数枚のGeForceを挿す事の出来るSLI環境下で、180.48番以降のGeforceドライバにより、GeForceの一枚をPhysX専用として割り当てる事ができるようにした。また、GeForce GTX 275+GeForce GTS 250チップを一枚のグラフィックボード(VGA)に搭載し、GTS250側をPhysX用として割り当てる事ができるようにするものも現れ、一枚のボードGeForce GTX470+GT240を搭載するといった、GeForce世代をえてPhysX性を補う製品も販売されるようになった。

尚、GeForcePCに搭載されていない場合は、PhysXの物理演算CPUで実行するが、CPUでは物理演算に必要なベクトル演算性が低い為に、リッチな物理演算表現は難しくなっている。また、PhysXにCPUパワーを使う為、結果的に全体の描画パフォーマンスが低下してしまう。
以前はAMDRADEONシリーズなど、NVIDIA製以外のグラフィックボードと、PhysXに対応したGeforceを一つのPCに乗せ、メインボードとしてRADEONを使い、GeforceのPhysXの機だけをプラスして使うという事も出来ていたが、186番台以降のGeforceドライバでPhysXの機を強制停止させられてしまうようになり、公式にはこの使い方ができなくなった。(※非公式パッチなどを使用する事で、現在もこの使い方が可

PhysXソフトウェアライブラリ(PhysX SDK)

浮動小数点など、物理演算の為のライブラリ
慣性など物理学に沿った物体の挙動を演算する為に、物理解析やゲームなどで用いられる。

このライブラリは、PC向け(Windows/Linux)と家庭用ゲーム機向け(PS3/Xbox360/Wii)に、償でライブラリの一部が配布されている。

PhysXボード

PhysX SDKに対応する物理演算を、CPUではなく、PhysX用の専用チップ(PhysX PPU)が計算する事により、リッチな物理演算表現と描画パフォーマンスの低下を抑える事を的とした拡ボードのことで、AGEIA2008年2月NVIDIAに買収される以前に販売していた。
このボードは、2006年2007年中盤にかけて複数の有名メーカーから3万円後半~4万円台という高値で販売されていたが、対応するソフトウェアが少なかった為か、秋葉原をはじめとしたPCショップなどで2007年後半には6千円以下で投げ売られ、AGEIA社買収後2009年前半には秋葉原PCショップで2千円以下で処分される姿が見られた。

NVIDIAに買収された後、NVIDIAGeForce8000シリーズ以降の製品でSPを利用したPhysXアクセラレーションが利用できるようになった事で、AGEIAのPhysXボードよりもかに高い物理演算が出せるようになり、PhysXボードの存在意義はくなった。

ライバルの物理エンジンと、物理エンジンを取り巻く流れ

NVIDIAが推進するPhysXに対抗する物理エンジンには、ライバルATI(後にAMDに買収)とIntelが推進するHAVOK社の『Havok Physics』、(※ATIでは『ATI Stream Physics(後にAMD Stream Physics)』として提供)や、『Bullet Physics』などのオープンソース物理演算エンジンがあり、グラフィックス業界の物理エンジンサポートの足並みはそろっていない状況である。

代表的な物理エンジン 採用ソフト
PhysX Physicsexit BATMAN Arkam Asylum、Metro2033、CryostasisMafia IIMirror's Edgeなど
Havok Physicsexit ゲームBioshock、LA Noire、SkyrimAssassin's Creedなど
映画マトリックストロイハリー・ポッターと不死鳥の騎士団など
Bullet Physicsexit ゲームDisney’s Cars2、トイストーリー3Riptide GP for Androidなど
映画Megamind、シュレック4、How to train your dragonなど
3DCGツールMikuMikuDanceBlenderMAYAなど

PhysXだけに対応したソフトHavokだけに対応したソフトもあるが、Skyrimのように複数のPhysicsに対応したゲームもあり、対応状況は様々。

足並みがわなくなった背景には、2006~2009年に大きな動きがあった将来におけるCPUGPUの関係性問題で、IntelNVIDIAと敵対関係になった事や、HAVOKNVIDIAATI両社のグラフィックボードに対応したHavokFX開発中であったものの2007年9月IntelHAVOK買収により開発中止になった事、物理エンジンPhysXをアクセラレーションする汎用PhysXボード2006年頃から販売していたAGEIAが、2008年2月NVIDIAに買収され、NVIDIAライバル関係であるATIがPhysXをサポートできなくなった事などの複雑な業界の動きが関係している。
加えて、IntelCPUライバルであるAMDが、2大GPUメーカーの一つであったATI2006年に買収している事や、2008年にはAMDHavok最適化していく事を発表した事、IntelAMDとの間で長らく続いていた独占禁止法クロスライセンス問題が2009年11月和解するなどの事があり、会社では「NVIDIA VS Intel+AMD」、 物理エンジンでは「PhysX VS Havok」という構図が描かれる事となった。

ただし、物理演算物理エンジンネット上で話題になったのは2006~2009年頃までで、DirectX11世代のグラフィックボードが登場した2009後半~2010年以降、話題は単純なグラフィックス描画性に関する事や、テッセレーションなどの新たな描画表現に関する最新の話題シフトし、NVIDIAからもPhysXに関する立ったニュースくなっている。

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