580万
3119851 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 03:15:02 ID: WpIWlwyqBB
――その少女は、箱入り娘であった。
外の世界を見たこともない、世間知らずで常識知らずのお姫様。
しかしある日、少女は閉じた世界から飛び出したいと願った。
だから、馬を駆ってお国を飛び出し、外の世界へと旅立った。
だが世界はそう甘くはない。見事少女は現実に裏切られ、痛い目を見る――
周りから見てみれば、たったこれだけの話。取るに足りない、よくあるお話。
しかし当人からしてみれば、どうだろう?
……ある少女の話をしよう。取るに足りない、よくある話の裏話を。
3119852 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 03:20:07 ID: UW3IjvcNxC
長滝
3119853 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 03:22:38 ID: WpIWlwyqBB
……少女は、幸福であった。
亜人大陸、砂海地帯にぽつりと浮かぶ島国…そこで彼女は、『姫』として生まれた。
姫である彼女は、姫として望まれるままに振るまい、その愛らしい容姿で全てを魅了した。
家族は、国は、彼女の知る全ての世界は、彼女を蝶よ花よと愛でて育てた。
望むものは全て与えられ、裏切るものも居なかった。
彼女が成長するにつれ、愛らしさの代わりに美しさを得た。
凛々しい許嫁も出来、彼女の未来は明るかった。
3119854 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 03:39:24 ID: WpIWlwyqBB
……彼女は、優秀であった。
『姫』として求められる全てを、彼女は難なくこなした。
学ぶべきを全て学び、あらゆる知識を物にした。時に先達さえも彼女に教えを請うほどであった。
武芸においても、彼女は才能を遺憾なく発揮した。特に刀剣の扱いでは、右に出るものは居なかった。
礼儀作法も無論、姫に相応しいほどに美しかった。一つ一つの所作に欠けている所が一つとしてない、美術品のようであった。
使い方どころか、存在すらも教えていない魔の術も、彼女は当然のように扱えた。
天は二物を与えたもうた。そう思わずには居られないほど、彼女の才はあらゆる方面にずば抜けていた。
3119855 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 03:48:05 ID: WpIWlwyqBB
……彼女は、懇篤であった。
誰もが羨む容姿、天賦の才を持ちながら、彼女は決して驕らなかった。
姫としての立場もなく、全ての人に分け隔てなく優しく、暖かく、心地よく接した。
決して自分のためだけにその才能を、立場を利用することなく。
民のため、国のため、世界のために力を尽くし、愛を注いだ。
そんな彼女だからこそ、人は愛し、全てを与えた。
3119856 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 03:51:13 ID: WpIWlwyqBB
あーミスった 最初『少女は、』で始めてたけど途中から『彼女は、』になってる(素
うーん締まらんな まァいい
3119857 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 03:52:42 ID: DBvzI4OPeo
最終的に負けない強さを
3119858 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 03:59:32 ID: IZlxnB+1ZW
昨日のぬいぐるみ絵バニガお姉さんと同じほめ数まで伸びてて声だしてワロタ
3119859 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 04:01:05 ID: DBvzI4OPeo
3119860 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 04:02:03 ID: IZlxnB+1ZW
猾
3119861 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 04:02:25 ID: WpIWlwyqBB
少女の親も、もちろん限りない寵愛を彼女に注いでいた。
…だが、一つだけ。何度もきつく言いつけていたことがあった。
……決して、外の世界を見てはいけない。汚れぬまま、無垢なまま一生を終えよ。
この言葉が意味するところを、彼女は知らなかった。
何故そんなことを言いつけたのかも、見渡す限りの砂海の果てに何があるのかも。
だがそれが常識だと、彼女は信じて疑わなかった。私の親が言ったことなのだ、間違っているはずがない、と。
だから言いつけをしっかりと守り、閉じられた国で望まれるままに存在し続けた。
……あの日が来るまでは。
3119862 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 04:07:57 ID: DBvzI4OPeo
意味はあんまりよくないけど狡猾って言う字自体はかっこよくて好きだなぁ
3119863 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 04:16:56 ID: anlN+LjBSv
3119864 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 04:23:29 ID: DBvzI4OPeo
さむ
3119865 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 04:25:05 ID: DBvzI4OPeo
かつかつでかつ
3119866 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 04:27:05 ID: WpIWlwyqBB
ある日の夜。『お勤め』を終えて楼閣の自室へと帰ってきて、窓の外を眺めていた彼女は、ふと砂海で何かが泳いでいるのを見つけた。
砂魚であろうか、と思ったが、然しそれにしては大きい…というよりも、あまりにも人に似ている。
あんな存在は知らないし、さて何なのだろう…と考えを巡らしていると、その謎の存在がこちらに気づいたようで、笑顔で彼女に手を振ってきた。
彼女は、その存在…上半身は可愛らしい美少女、下半身は魚の尾という奇特な外見の生物に興味を持ち、楼閣から出て接触を試みた。
…これが、彼女の親友となる土の精霊王こと、サクラ・キュロィエルとの出会いであり、
そして……彼女の人生が大きく変わる原因でもある。
3119867 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 04:36:57 ID: DBvzI4OPeo
ああでもずる賢いかっこよさも存在するかもしれないな
3119868 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 04:45:37 ID: anlN+LjBSv
3119869 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 05:01:52 ID: WpIWlwyqBB
…少女は世界のことを醜いなどとは微塵も思っていなかった。
この、彼女の知る世界の全てである島の全ては美しいと思っていた。
そして、『見ると汚れる』と言われていた外の世界も、きっと美しいものだろうと信じていた。
見てはならないのなら、せめて話を聞くだけでも。
そう思い、『暇つぶしに包囲網をくぐり抜けて』お忍びで遊びに来たという、異種族の王を名乗る奇妙な存在と、少女はこっそりと深夜に密会を繰り返すこととなる。
3119870 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 05:11:29 ID: WpIWlwyqBB
……少女は、何も知らなかった。
自分がどういう存在か。
自分が何をしてきたか。
自分が何故ここから出てはいけないのか。
世界から見た自分は、どういう風に映っているのか。
そんなことを、何も知らなかった。知らないことさえ、知らなかった。
でも、何も知らないままでよかった。それでも幸せだったから。
それを、話を通じて知ることになることさえも、彼女は知らなかった。
3119871 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 05:22:29 ID: WpIWlwyqBB
……少女は、耳を疑った。
サクラから語られたことは、自分の存在の根底すらも覆すような真実。
常識とは何かを疑い、どれが嘘でどれが本当かも信じられなくなるような途方も無い話。
遠い世界の常識の話。『ここ』とは違う、世界全体で『当然だ』と受け入れられている話。
……自らの知る世界そのものが、『異常』なのだと。そう証明するかのような、おぞましい話。
そんな話を、彼女は聞いた。
3119872 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 05:51:46 ID: UlDIadMNtm
おはよぉ
3119873 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 05:54:43 ID: UW3IjvcNxC
3119874 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 06:01:13 ID: UlDIadMNtm
さいとーさんも小説やるんかー
・・・続きマダー?(・∀・)ノ
3119875 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 06:06:33 ID: meRzzPr+ao
支援...
.........
3119876 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 06:07:58 ID: yeFtSK7tR2
今来たにとなりー
3119877 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 06:09:14 ID: yeFtSK7tR2
ゆー
3119878 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 06:10:26 ID: yeFtSK7tR2
もー
3119879 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 06:11:37 ID: yeFtSK7tR2
うー
3119880 ななしのよっしん
2015/10/06(火) 06:11:55 ID: meRzzPr+ao
.....
ほめた!
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