9.25けもフレ事件とは『けものフレンズ』を巡る一連の騒動である。2017年9月25日から始まり2018年9月現在も継続中である。pixiv上では「たつきショック」と呼ばれる。
2017年1月より3月までテレビ東京ほかで放送されたアニメ『けものフレンズ』は2017年を代表する大ヒットアニメである。ニコニコ動画で第1話が配信されてから1か月で100万再生を突破、同年8月には1000万再生を突破。同年7月末には2期制作決定も発表された。
そのような中、騒動は2017年9月25日午後8時ごろ、アニメ『けものフレンズ』の監督「たつき」氏のTwitterより端を発した。
突然ですが、けものフレンズのアニメから外れる事になりました
ざっくりカドカワさん方面よりのお達しみたいです。すみません、僕もとても残念です
https://twitter.com/irodori7/status/912270635610472448
けものフレンズ界隈は騒然となった。これに対して9月27日に株式会社KADOKAWAを含む製作委員会「けものフレンズプロジェクトA」(以下、KFPA)は、たつき監督が所属する株式会社ヤオヨロズ(以下、ヤオヨロズ)が情報共有などでの不備の是正を受け入れられないため辞退したのだと発表した。
制作会社と製作委員会の正面衝突である。
当然大炎上となり、関係各社やコラボ会社への問い合わせが相次いだ。10月3日にKADOKAWA代表取締役専務の井上伸一郎氏が調停に乗り出したことで一時的に炎上は沈静化したが事態は好転しなかった。結局12月27日にヤオヨロズの福原慶匡氏(以後、福原P)は降板が覆らなかったことをTwitterで報告し、ヤオヨロズに非がなかったことを主張した。
炎上は再開した。もはやコトはたつき監督の去就に留まらずKFPの責任や組織体制も問われるようになった。ファンは真っ二つに分かれた。ヤオヨロズ並びにたつき監督を支持するファンと「けものフレンズプロジェクト」(以下、KFP)を支持するファンは深刻な対立関係に陥った。KFPは次々と新しい企画を行ったが、その殆どが炎上の燃料となってしまった。事件から半年以上過ぎた2018年6月20日に行われたカドカワの株式総会でKADOKAWAがKFPの幹事会社でないことが明らかになり、ますます責任の所在がわからなくなった。このような中で法的な原作者であるコンセプトデザイン(総監督)を務める漫画家の吉崎観音氏の責任が問われてもいた。
そして2018年9月、アニメ『けものフレンズ2』制作が改めて発表された。その新ユニットオーディション台本でKFPの盗作が発覚してしまった。さらなる炎上のさなか、たつき監督も脚本費及び脚本印税を1円も受け取っていないとTwitterで発言。炎上は止まらない。
騒動開始当時、アニメ『けものフレンズ』の大ヒットは、ひとえに監督のたつき氏の功績であるとする風潮があった。というのもアニメに先行していたメルクストーリア風のアプリ版はアニメ版放送を待たずサービス終了してしまっており、漫画版もアニメ放送中の2月に最終回を迎えていた。間違いなくこのコンテンツは消えかかっていた。それを大幅に躍進させたのは紛れもなくアニメ版である。2017年7月下旬には2期制作も発表された。
このアニメは十人程度の非常に少ない人数で制作された3GCGアニメである。たつき監督は監督だけでなくシリーズ構成と脚本、コンテ、演出、美術デザインを兼ね、音響と声優以外の全てをこなしていた。たつき監督と同じヤオヨロズに所属する作画監督の伊佐佳久氏、美術監督の白水優子氏も同レベルの兼業をこなしていた(ガイドブック二巻より)。このような中で脚本家として招かれていたAGN所属の田辺茂範氏が関与できる範囲が少なくなり、放送後の5月には再放送などのクレジットから外されることになった。
たつき監督、伊佐作監、白水美監は三人で自主制作アニメサークル「irodori」を運営してもいる。簡単に言うと同人活動をしていたirodoriをヤオヨロズの福原Pがスカウトしたことでできたのがアニメ『けものフレンズ』である。たつき監督が元サンライズ社員であるなど三人はもともとプロではあったが、それでも同人作家の大活躍はアニメ業界では非常に珍しい話だった。
なおアニメ『けものフレンズ』のクオリティは正直言って同人にしてはすごいという程度である。ストーリーにも斬新な展開があるわけではない。しかしirodori作品は2Dアニメに寄せる温かみのある表現に重点を置いている点で画期的であり、ストーリーも確かに斬新ではないが逆に言えば昨今珍しい愚直なくらいの王道で優しい作風だった。一種の「癒し」をこのアニメによって得たと考える人も多かった。
しかし改めて言うと『けものフレンズ』全体の法的な原作者はキャラクターデザイン及びコンセプトデザイン(総監督)を務めておられるKADOKAWA所属の漫画家、吉崎観音先生である。『けものフレンズ』というコンテンツは吉崎先生がデザインしたキャラクターや世界観をもとにたつきというアニメーション監督、その他多くのクリエイターを交えての様々なメディアミックスを前提として作られている。テレビアニメ版はその中で、あくまで「複合的なプロジェクトの中で展開されるコンテンツのひとつ」として制作されている。
その中でたつき監督はファンサービス精神も旺盛で最終回の一週間後にはニコニコ動画、Youtubeに12.1話となる短編動画「ばすてき」を投稿し、コラボ動画やイラストの作成、没資料の同人誌としての配布も半ば定期的に行っていた。上質なファンサービスであったものの著作権法上は危ういものであった。
まとめると以下の通りである。
1、アニメ『けものフレンズ』は極端な少人数制作でスタッフの作家性がかなり強い。
2、アニメ『けものフレンズ』の大ヒットは同人作家のサクセスストーリーの意味合いがあった。
3、アニメ『けものフレンズ』の作風によって「癒し」を得たと考える人が多かった。
4、アニメ『けものフレンズ』に原作はないが、法的な原作者は漫画家の吉崎観音先生である。
5、そのうえで、たつき監督たちは著作権法ぎりぎりのファンサービスを行っていた。
このような中でアニメ版2期制作が発表され、そして炎上事件は発生したのである。
トップにある9月25日のたつき監督によるツイートから二日後となる9月27日深夜、「けものフレンズプロジェクトA」名義での発表が公式HPよりなされた(ほぼ同時刻に、KADOKAWAオフィシャルページからもリンクが張られた)。
以下、その全文を引用する。
けものフレンズプロジェクトA
「けものフレンズ」に関しまして、すでに新規映像化プロジェクトの制作を発表させていただいておりますが、発表当初より同体制での継続か、新体制での新たな表現かも合わせて検討中で、現時点においてもまだ何も決定していない状況です。
そのような中、今年1月~3月に放送されたTVアニメーションと同様の体制を優先として、視聴者のご期待に沿えるべく調整をしておりましたが、アニメーション制作会社であるヤオヨロズ株式会社より8月に入った段階で辞退したい旨の話を受け、制作体制を一から模索することになっているのが現状です。
「けものフレンズ」は動物ファーストの理念のもと、関わってくださったすべての方々の手によってゲーム、コミック、アニメ、舞台と展開して参りました。広く門戸を開放し、理念に賛同していただける方々のお力添えをいただき、世界を広げていきたい。そのために誰のものでもないプロジェクトとして、動物のための「けものフレンズ」として活動を重ねて参りました。
しかし、アニメーション制作を担当していただきましたヤオヨロズ株式会社には、関係各所への情報共有や連絡がないままでの作品利用がありました。映像化プロジェクトとしては次回の制作を引き続きお願いしたかったため、情報は事前に共有してほしい旨の正常化を図る申し入れをさせていただきましたが、ヤオヨロズ株式会社からは、その条件は受け入れられないので辞退したい、とのお返事でございました。
「けものフレンズ」の映像化プロジェクトに関しては、上記のような経緯で一部滞っておりますが、「けものフレンズプロジェクト」は今後も御協力をいただく皆様と共に作品を守り、ファンを守り、動物たちのことをもっと知ってもらう活動をこれからも初志貫徹、続けていく所存です。映像化に関しましても、改めて、そしてできるだけ早くご報告できるよう進めて参ります。
今後とも様々な「けものフレンズプロジェクト」をよろしくお願いします。
つまり非があったのはたつき監督を含む株式会社ヤオヨロズ側であり、KFPA(KFP)側としては是正を求めたがヤオヨロズは受け入れられないと突っぱね辞退したと主張したのである。KFPA(KFP)とヤオヨロズの正面衝突が表ざたになった瞬間である。
たつき監督並びにヤオヨロズのファンはヤオヨロズ側が自発的にアニメ制作を辞退したというのはたつき監督の発言とは食い違うと声を上げた。また「情報共有や連絡がないままでの作品利用」とあるが具体的にどの作品を指すのかが不明瞭だとも主張した。
一方でKFPAの発表こそが真実と捉える人たちもおり、基本的な報告・連絡・相談もできないヤオヨロズの非常識さが明らかになったとヤオヨロズを非難した。また各種まとめサイトをもこれを支持し「多くのファンが手のひらを返した」と記事にした。
ヤオヨロズ派は関係会社やコラボ会社に問い合わせを行い、反ヤオヨロズ派はこれを非常識な迷惑行為であると糾弾した。
騒動の中で10月3日午後1時半頃、KADOKAWA代表取締役専務の井上伸一郎氏が、Twitterで今回の騒動について発言した。「けものフレンズ」におけるたつき監督の功績は大いに認めており、製作委員会とヤオヨロズの意見に大きな溝があること、「監督降板」の経緯、版権使用についても認識の相違があることを把握した上で今後の相談に入ったことをファンに伝えた。
https://twitter.com/HP0128/status/915071890648993792 https://twitter.com/HP0128/status/915071981875163137 https://twitter.com/HP0128/status/915072115287539712 https://twitter.com/HP0128/status/915072221999022081 https://twitter.com/HP0128/status/915071981875163137
ヤオヨロズの福原PもTwitterで井上専務に謝意を述べ今後の相談に入ったことを伝えた。
https://twitter.com/fukuhara_ystd/status/915074525783453696 https://twitter.com/fukuhara_ystd/status/915074560973709312
これによって炎上はある程度収まった。10月10日にはたつき監督からの生存報告があった。
しかし「騒動を起こしておいて何の謝罪も無いのか!」と激しい非難を浴びせる反ヤオヨロズ派の声も相次いだ。11月11日に開かれた講演会で福原Pは「未だ交渉中であり発表のタイミングは二者で話し合って決める」と発言した。
これを最後に具体的な情報はしばらく無くなった。
12月27日、遂に福原Pが本件に関してツイートした。ヤオヨロズが2期を外れる事に関しては覆らなかったことを告げ、井上専務の真摯な対応や迅速な調査と調整に改めて謝意を述べると共に井上専務とファンの期待に沿えなかったことを謝罪した。
一方でKFPA(KFP)が発表した「ヤオヨロズに情報共有や連絡なしでの作品利用などの非があり辞退した」という内容を否定した。さらに降板を告げられたのは8月初頭であること、1期放送中の3月時点ですでに2期の依頼があり制作を続けていたこと述べた。
https://twitter.com/fukuhara_ystd/status/945943082431758336 https://twitter.com/fukuhara_ystd/status/945943151998509056 https://twitter.com/fukuhara_ystd/status/945943187205472257 https://twitter.com/fukuhara_ystd/status/945943397101006848
つまりヤオヨロズはKADOKAWAとは別にKFPA(KFP)と未だ真っ向から主張が対立している状態であることが示された。井上専務は結局、両者の大きな溝や認識の相違を解消できなかったということになる。
2017年12月31日に生放送があった「大晦日はフレンズのみんなでドッタンバッタン大騒ぎ!けものフレンズ 年末特番@ようこそニコファーレへ」の番組内において、アニメ版『けものフレンズ』を放送したテレビ東京の細谷伸之氏(以降、細谷P)から以下のコメントがあった。
例の福原さんのツイートが出る前に、出演を決めていたので、さすがに逃げる訳にもいかずにですね
ちょっと今日、参りました。いろいろ、公式から何もないみたいな事がありますが、ずっと、みなさんに楽しんでいただいたけものフレンズがですね
このタイミングで、このタイミングっていうか、夏以降からいろいろあって、非常に楽しい事が
楽しくなくなってしまったなと、いう事がとても申し訳ないなと思っております。我々としては当然、たつき監督はじめヤオヨロズさんの功績には非常に感謝をしておりますし
とても、たつき監督の2期を見たいなと、製作委員会一同もちろん思ってました。で、そこはいやらしい話、ビジネス的にもそっちの方が絶対に上手くいくというのも分かっていたんですが、いろいろな事情があって、皆さんそこは、とてもお聞きになりたいとは思うんですけれど、
あの委員会は合議制でやってますので、誰がどうという事でも実はなくって、
誰かが何かを言ったときに乗るか乗らないかという事が、いろいろあって、
それを突き詰めていくと、逆に両方の個人攻撃にどうしても、成らざるを得ないですし、
そこはちょっと我々としても本位ではないというところであまり…
今日僕が委員会を代表して出て来ている訳ではないんですが、えー…という事になりますので、
ちょっと今回は、いろいろと、ああいう福原さんからの発表がありましたが、
我々としては9月の27日に出した声明が、今の我々の見解であると、いう事になります。という事なので、この先ももちろん我々は…吉崎先生が作ってくれて、たつきさんが育ててくれたけものフレンズを、もっと、またみんなが楽しんでくれるような、コンテンツにしていくつもりで動いておりますので、この先も応援をしていただければなと、いう風に思っております。
これでご納得いただけないのは百も承知ではありますが、すいません今の僕にはこれしか言えないです。
みなさん、仰りたい事たくさんあるんでしょうが、残りを二人ゲストがいらっしゃるので、すごい楽しい話が聞けると思いますので、そちらを楽しんでいただければなと、いう風に思っております。
こうして制作会社側、テレビ局側、双方のプロデューサー2名の発言を最後に、わだかまりをファンの中に残しつつも幕引き……とはならなかった。
むしろKFPとヤオヨロズの対立がより鮮明になった。コトは既にたつき監督の去就で収まるものではなくなっていた。アニメ『けものフレンズ』ファンはヤオヨロズ派とKFP派の真っ二つに別れ、激しく相手を攻撃する泥沼の地獄絵図を演じた。「わーい」「すっごーい」「たーのしー」だけで分かり合えたジャパリパークはもう2度と帰ってこない。
こうして炎上事件は第2章へと突入した。
KADOKAWAに代わってたつき監督降ろしの黒幕として疑われているのが『けものフレンズ』全体の法的な原作者であり、コンセプトデザイン(総監督)とキャラクターデザインを兼ねる漫画家、吉崎観音氏である。特に一部の大手まとめサイトなどでは吉崎観音氏がたつき監督降ろしの黒幕だともはや確定したかのように書かれている。2017年末まではたつき監督が全部悪いとしていたのにいい気なものである。
その経緯はやや複雑である。もともと吉崎先生は殆ど疑われてなどいなかった。吉崎先生と妻のあかつきごもく氏は騒動開始以来Twitter上でほぼ沈黙を保ち続けているが、当初はKADOKAWAに黙らせられているのだろうという声が多数だった。9月28日にデイリーニュースオンラインが今回の原因は『吉崎観音とたつきの対立にある』という内容のゴシップ記事を掲載したが殆どの人は一笑に付していた。ごく一部が吉崎先生のTwitterアカウントに突撃したが、この時期はそもそも騒動に関心のある人数が多すぎたのであり彼らはごくごく例外である。
ところが騒動が進むにつれヤオヨロズとKADOKAWAが対立関係と言えるほど険悪な関係ではないことがわかってきたためKADOKAWAが主導者という説は下火となった。上記の通り、テレ東の細谷Pも「ビジネス的にもヤオヨロズの方が絶対に上手くいく」と発言したため黒幕はビジネスを度外視する存在だと考えられた。そこで挙がってきたのが吉崎先生である。
ガイドブック6巻やツイートには『けものフレンズ』に対する吉崎先生の考えが綴られている。
・著作者人格権のみを保有する事で損得勘定を度外視して意見や提案をできる
・最初に依頼されたのはキャラデザのみだったが設計や舞台設定を丸ごとやらせて欲しいと頼んだ
・アニメは自分がみると言う条件で出資を募った
・けものフレンズは自分の価値観と理想で全て自由に作れる場所
・(アニメ版)5話はいまひとつだった。たつき監督が通したスジを見せてほしい
・(ヒット後に)前面役で目立っている人もいるけど、その反対側にいる人のこともいつも気にしている
・視聴者との「リンク」によって、くだらない工夫までもが隅々まで拾って貰えた
・実現したということは、そこにいた誰かに「通してもらった」ということを忘れてはいけない
けものフレンズプロジェクト関連の陰謀論等と反論の一覧も参照のこと。
また細谷Pの発言の中に「個人攻撃」という単語が含まれていたため、組織同士の話し合いで「個人」とはおかしい、この「個人」は吉崎先生ではないかとの憶測もあった。細谷Pは即座にTwitterで否定している。
https://twitter.com/nobutx_0517/status/947454151872483328 https://twitter.com/nobutx_0517/status/947454154179350528 https://twitter.com/nobutx_0517/status/947708947418378241 https://twitter.com/nobutx_0517/status/947454154179350528
吉崎先生は2018年9月時点でなおTwitter上で沈黙している。コラボ先のコスプレイヤーに「b」の一文字を誤発信したのが唯一である(現在は削除済み)。公共の場にも出ず「けものフレンズコンセプトデザイン展」や「ケロロ展」にお忍びできた程度である。
情報が全く追加されないため吉崎先生の『けものフレンズ』に対する権力は未知数である。絶対権力者から担がれるだけの御輿までの可能性がある。2018年9月現在になっても炎上が収まらない理由の1つとなっている。
アニメ『けものフレンズ』の主な受賞歴は以下の通りである。
これらの授賞式に登壇したのはたつき監督である。KFPはこれらをほぼ無視した。と言ってもKFPの無視はこれに始まったことではなく、ヤオヨロズ制作のコラボ動画についてもほぼ無視していた。KFPが無視しない条件は単純であり吉崎先生が関わっているか否かである(吉崎先生がフレンズを描き下ろしたJRAコラボなど)
2018年になってからKFPは新たなアプリを次々と発信した。ねこあつめ風の「けものフレンズぱびりおん」、パズルゲームの「けものフレンズぱずるごっこ」、モンスターストライク風の「けものフレンズFESTIVAL」の3つである。このうち「ぱずるごっこ」が問題となった。
「ぱずるごっこ」にはアニメ『けものフレンズ』からの切り抜き画像が使われていた。2月のリリース時にはとうとうKFPとヤオヨロズが和解したのだと好意的に受け止められた。しかしそれは福原Pは一切関与していないし事前共有もないと否定した。
画像にはアニメに映っていない部分を付け足すという改変まで行わていた(デザイン上も間違っていた)。法的にはただのコピーよりも改変のほうがまずい。また音源のプロパティを参照してみた人たちから、違法DLサイトからのものではないかという疑いが上がった。
これらに対してKFPの公式ツイートがあった。
「けものフレンズぱずるごっこ」にてお騒がせしております問題に関するご報告です。 ゲーム内に使用されている権利に関して、全てけものフレンズプロジェクトより正式に許諾していますので、ご安心の上、お楽しみください。 この度はお騒がせ致しましたことにお詫び申し上げます。https://twitter.com/kemo_project/status/967184018759274496
違う、そうじゃない。
何を安心しろというのか。画像や音源が違法だとしても別にユーザーに危険はない。「安心の上」というのは関係各社を意識してのものだろうが、それはそれでユーザーを見ていないことにもなる。
しかし福原Pがこれ以上表立って追及することは無かった。また肝心のゲーム部分については制作のFUNPLE STREAMが自社の『キャンディタイム:スイートパズル』から序盤の数ステージ以外の全てをコピーしたものだとわかり、あまりのくだらなさに炎上は収まった。
事件から半年以上過ぎた2018年6月20日、カドカワの株式総会が行われた。その際、けものフレンズに関する質疑応答があった。カドカワがヤオヨロズと対立関係に無いことが再確認されたほか、KADOKAWAが13社の出資会社の1つでしかなく幹事会社ではなく決定権もないという事実が明らかになった。法的な原作者である吉崎先生を抱えていながらやや不自然でもあるが、吉崎先生はKADOKAWAの社員というわけでもないから矛盾はしない。
またたつき監督解任というよりヤオヨロズがKFPの要望にマッチしなかったこと、色々な提案をしても制作体制の折り合いがつかなかったこと、カドカワがたつき監督の才能と貢献には感謝していること、アニメ第二期が未定=中止になっていないことがわかった。
https://twitter.com/michsuzu/status/1009270898870837248 https://twitter.com/michsuzu/status/1009273689731297282 https://twitter.com/michsuzu/status/1009275283487117312 https://twitter.com/michsuzu/status/1009275294333616128 https://twitter.com/michsuzu/status/1009275306979426310 https://twitter.com/michsuzu/status/1009287486453846016 https://twitter.com/michsuzu/status/1009287503163973633 https://twitter.com/michsuzu/status/1009287518590627840 https://twitter.com/michsuzu/status/1009287540103245824
久々の大規模な情報に対してKFP派とヤオヨロズ派は互いに勝利宣言を行い、激しい罵倒を繰り返した。しかし実際にはカドカワが幹事会社でないということで監督降板の原因がカドカワの内紛という可能性も消え、真相からはより遠のくこととなった。
2018年9月2日の「けものフレンズ LIVE 〜PPP LIVE〜」にてTVアニメの第二作品が電撃発表された。誰もがまさかと思ったTVアニメ二期制作が本当に発表されてしまったのである。同日リニューアルメンテナンスが行われていた公式サイトにおいてもメンテナンスが明けるとともに情報が公開された。
同日『PV第一弾』がYoutubeで発表された。内容はカラカルが紫色の小型セルリアンと奮闘する内容のショートアニメである。二日程度で視聴回数60万、goodが4000、badが32000、コメントは日本語・英語・韓国語・中国語交えて、たつき監督復帰を望む批判だらけという大惨状となった。これにより炎上は全く収まっていないことが再確認された。
さらにKFPの一員であるAGNが主催した新ユニットオーディション台本で盗用が発覚した。声優志望者指南ブログを運営していた人物が自サイトに載せた原稿とほぼ同じだとTweetで発言。フリー素材であったが著作権は放棄されておらず、自作原稿と受け取られる形での盗用は禁止されていた。実際に原稿はほぼそっくりであり、若干の変更すら加えられていた。KFPがヤオヨロズに追及した情報共有や連絡がないままでの作品利用を、KFP自身が明確に実行して著作権法に違反したことが確定した。
これに対してKFPは9月4日に台本を差し替えて謝罪文を公式サイトに掲載した。しかしこの時点で被害者への直接の謝罪は無かったことが被害者自身のTwitterからわかった。後述するように14日にたつき監督がこの件について反応したため炎上が加速した。このためか15日深夜にAGN社長である加藤英治氏がツイートした。2日時点から謝罪したい旨のメールを毎日送っていたこと、HPからもコンタクトがとれないこと、出展を明記しなかったことが故意ではないと主張していた。
これに対してなぜTwitterでリプライしないのかという当然のツッコミがあった。加藤氏はこれを実行し、被害者は即座に対応した。被害者はもうあまり関わりたくないと前置ききした上で加藤氏のリプライをもって謝罪が届いたと認識したこと、4日時点ではメール、問い合わせフォーム、Twitterのリプライいずれにも連絡が届いていなかったことを明らかにした。
『けものフレンズ』から切り離されたヤオヨロズは、たつき監督の新たなTVアニメ『ケムリクサ』制作を2017年冬コミにて発表した。2010年からたつき監督たちがirodoriとして作った自主制作アニメのリメイクである。2018年夏コミにて2019年1月から放送予定と発表。放送局はBSフジ他、Amazon Prime Videoにて独占先行配信される。
またirodoriとしては『けものフレンズ』降板決定までの間に「傾福さん」という自主制作アニメを作っていた。ニコニコ動画及びYouTubeで全編配信済の5分アニメにも関わらずコミケ配布分とは別に約5000枚をAmazonで売り上げる快挙を果たした。さらに「へんたつ」という近況報告を兼ねた自主制作アニメを作成、1月から7月まで一か月に一回配信した。
このように、たつき監督は既に『けものフレンズ』から離れて積極的な活動を続けている。それでも思うところはあったようで「へんたつ」では「大分調子が戻ってきた」「筆を折ってもおかしくないくらい色々あった」と語られている。
そして2018年9月14日、KFPの台本盗用に対してたつき監督がTwitterでコメントした
台本無断使用のお話教えてもらいましたが、台本作者さんへの言及の無さに創作への蔑視が見えて…うーん… 同じ文字まわりで脚本費全話と脚本印税いまだ1円もお支払いいただけてないんですよね。けもの。しんどいので忘れるようにしてたんですが、やっぱりこういうのも声をあげた方がいいのかなー…
https://twitter.com/irodori7/status/1040557789230247938
これに対して細谷Pが発注から先のことはわからないとTwitterでコメント。しかしこれではKFPからたつき監督への金銭の流れのどこで未払いがあったかがわからず、闇は深まるばかりであった。そして16日にたつき監督は台本盗用問題の解決を見てTwitterで発言した。
台本無断使用の件、その後の進展教えていただきました。細部やタイミング等々えっ?と思うところあるのですが、一区切りして作者さんが納得されているならば良かったのと、こちらでふれる事ではなくなったかと思います
https://twitter.com/irodori7/status/1041280391435280384
こちらの事もお騒がせしました。便乗になってしまいすみません。 実状知っていただけたので、今後世の何かしらが良くなったり、似た事が起きる率が少しなり減ったならそれで…とも思います。 もし何か動きありましたらご報告します+必要あれば詳細もご説明しますが、しばらく本懐の制作に集中しますhttps://twitter.com/irodori7/status/1041280392488148993
台本盗用問題が収まったのでたつき監督も撤退した形だが、これに対してKFP派から「たつき監督は今度こそ意図的に炎上させた」「事実関係をはっきりさせろ」といった批判が殺到した。9月19日現在、KFP、ヤオヨロズからともに声明は出されていない。
メディアでも取り上げられる事態となっている。以下は一例。
たつき監督降板発表から2日後に放映された2017年9月27日の第13回けものフレンズアワーにおいて、番組が始まった際、たつき監督に一切触れず「お騒がせしています」と声優陣から声明があった。これはいわゆる「声優の盾」ではないかとの非難があった。ただ公式に代わって謝罪したというわけでもなく「声優の盾」には当てはまらないようである。
けものフレンズプロジェクトAの参加企業の一つであるテレビ東京の小孫茂社長が2017年9月28日に行われた定例社長会見で当問題に言及した。全国あるいは世界多くのファンの皆さんとまったく同じ思いであり、第二弾ができるよう模索したいと述べられた。しかし結局たつき監督降板は覆らなかった。
騒動の発端となったたつき監督のつぶやき2時間で20万以上といった驚異的な数のリツイートによってインターネット中に瞬く間に拡散した。その拡散は日本にとどまらず海外にまで届いた。国内同様に炎上しており、"#NoTatsukiNoTanoshi" というハッシュタグまで誕生し、2018年9月の2期PVにおけるコメントでも多用された。
前提としてニコニコを運営する株式会社ドワンゴなどはカドカワ株式会社の完全子会社である。騒動中に注目度が高いはずのこの問題に関連した単語や動画、ネット記事などがランキング外になるという状況が頻発した。このことに対し、運営が忖度や隠蔽工作を行っているのではないか、と考える声が上がった。
実際にこれは運営の操作によるものであったが、理由は過度に炎上を助長しないための普段からの規定によるものだという発表があった。放置しておくとランキングが長期間けもフレ騒動関連のみで埋まり運営に差し支えるという事情もあった。当騒動の大きさを示すエピソードの1つである。
概要にもある通り2017年9月27日のKFPA公式発表に納得が行かないたつき監督、ヤオヨロズのファンは騒動開始から10月2日の井上氏ツイートまでの間に様々な問い合わせを行った。問い合わせ先はKFP出資企業だけでなくその関連企業、コラボ先、消費者庁、文化庁に及んだ。当記事でも問い合わせのテンプレが記載されるなどした。問い合わせの影響力は定かでないものの、コラボ先のJRAの回答から窓口がKADOKAWAであるという情報が得られるなどの成果もあった。
一方で反ヤオヨロズ・KFP派はこれらの問い合わせを非常識なクレームだとして非難した
アニメ『けものフレンズ』のヒット後、たつき監督と吉崎観音先生の関係については仲の良さが演出され続けていた。二人が意気投合している様子は、BD付きガイドブックや各雑誌のインタビューでも語られていた。喫茶店でけものフレンズのアニメを楽しいものとするため打ち合わせを続けていたということが語られ、2017年夏には取材も兼ねて吉崎先生とたつき監督が沖縄旅行に行っていた。ただしヤオヨロズ降板がKFP内で決定したのはこの沖縄旅行のすぐ後となる。
騒動後の2017年末にTwitterで相互フォローが同時に外れたことが確認された。これはどちらか片方がブロックしたことを示し、とても良好な関係と言えるものではない。その後のぱずるごっこ騒動でたつき監督はKFP公式のフォローも外した。福原Pは2017年12月頭で既に両方を外している。
騒動から10か月経過した2018年7月18日に、テレビ東京によるアニメ配信サービス「あにてれ」で配信されることがわかった。内容はFlashアニメである。監督は春日森春木氏で、吉崎先生の代表作『ケロロ軍曹』のFlashアニメを作った人物である。また春日森氏は吉崎先生を尊敬する書き込みを多数していること、吉崎先生がヤオヨロズ降板の黒幕と疑われる前からTwitter上で「僕は吉崎先生の味方です」などと発言していたことからヤオヨロズ降板への関与が疑われ炎上した。
しかし9月の『けものフレンズ2』発表と台本盗用騒動により春日森氏とショートアニメへの注目度は急速に低下した。ショートアニメ自体は8月12日から配信中。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/23(火) 08:00
最終更新:2025/12/23(火) 08:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。