すべてを一新した”メカカスタマイズアクション”は次のステージへ
新アーマード・コア はじまる──。
『アーマード・コア4(ARMORED CORE 4)』とは、フロム・ソフトウェアから発売されたPS3 / Xbox360用カスタマイズロボットアクションゲームである。
ACシリーズ通算11作目にして、初の第7世代家庭用ゲーム機作品。初代ACから前作『ラストレイヴン』まで続いてきた、いわゆる「レイヴンACシリーズ」からフルモデルチェンジを果たした、シリーズ第3の転換点。
作品略称は[AC4]。『エースコンバット04』といった他作品との重複もあるので注意されたし。
最大の特徴は、「自由度の高い超高機動操縦」と「発売当時としては非常に美麗なグラフィック」を両立している点。拡大したハードウェア性能をフルに生かし、レイヴンACから大幅に緩和された機動制限と、標準装備された追加ブースタにより、数あるロボットアクションの中でも随一の自由度とスピード感を両立した操作性を実現している。煩雑化が進んでいたレイヴンACの操作形態も見直され、よりシンプルかつスピーディに仕上がった(とはいっても初心者がホイホイ楽しめるほどではないので、新規参入者はタグ「リンクス養成動画」で予備知識を得ることをお奨めする……)。
膨れ上がり続けていたパーツ総数は大きく削減され、中量二脚ベース以外の機体の構築プランが少ないという欠点は出来たが、全体のパーツバランスが整理された。「N系」作品では値段と性能が比例する傾向にあったがこれも廃止され、全てのパーツが明確な個性と一線級の性能で揃えられている。ブースタ回りが少々とっつきづらいものの、「N系」に比べるとアセンブル難易度は低下し、初心者でも入り込みやすくなった。
ストーリーはこれまで同様、複数依頼されるミッションを選択し、クリアしていくことで進行するが、話の区切りごとに全6章の「チャプター」で括られるようになった。この内チャプター1、6はプロローグとエピローグのミッションが1つだけだが、それ以外はおおよそ7つ程度のミッションが配されている。周回プレイが前提だった過去作とは異なり、全ミッションを一周で遊べるが、ある程度ミッションをこなすと出現するチャプター最終ミッションをクリアすることで強制的に次のチャプターに進むこともできる。
クリア済みのミッションはいつでも再プレイ可能。更にこの際には難易度が上昇したHARDモードが解禁される。
初期PVで「戦い続ける歓びを」と宣伝された通り、シリーズプレイヤー待望の本格的なネットワーク対戦が実装され、プレイ人口は大きく拡大した(世代の都合上、ハードウェア間互換は無かった)。対戦機能を使った数々の名勝負動画やネタ動画、MAD動画も作成され、ちょうどニコニコ動画の黎明期~円熟期に発売された作品ということもあって、人気が特に高かったシリーズでもある。
また、オンライン機能は継続的なパーツパラメータの修正を可能とした。本作では計6回の「レギュレーション配信」と称したアップデートが行われ、段階的にバランスが修正されていった。初期Ver.の1.00や1.20ではバランスブレイカーとなる武装がちらほら存在し、全体的にACの機動力も低かったが、再後発の1.60ではその辺りが改善され、ほぼ全てのパーツが満遍なく扱えるよう調整され、ゲームスピードも向上した。
このレギュレーションデータは既存のデータを上書きするのではなく、それぞれのVer.毎にデータファイルが制作され、ダウンロードさえしてしまえばプレイヤーの任意で切り替えることが出来る。このため特定Ver.を指定した対戦会が可能となったほか、一人プレイにおいてもバランスブレイカー武器が使えるVer.に変更することで難所を突破しやすくするなど、色々と融通の利く仕様となっていた。
人口爆発による食糧およびエネルギー資源不足。無秩序に拡大する極地。南北に二極化した享楽と貧困……。
救いようのない諦観と憎悪に陥り、幾多の都市がテロリズムと暴動で滅んだ時代。国民国家政府が徐々にその統治能力を失っていく一方で、高度に機械化された国軍を支える幾つかの企業は強力な軍産複合体を形成し、その影響力をかつてないほどに拡大させていた。そして、経済システムそのものの存続が危うくなり始めた時、実質的な世界最高権力にのし上がっていた「6つの巨大企業体」が、ある行動を起こした。彼らは自ら新秩序を構築するため、各国政府へ史上最大のクーデター──国家解体戦争──を仕掛けたのだ。
僅か30機足らずの新型アーマード・コア「ネクスト」を始めとする、企業の最新鋭兵器による一方的な奇襲を受けた国軍はなすすべなく壊滅。戦いはおよそ一か月の内に、圧倒的に決着する。企業たちは、限りある資源の節度ある再分配を最適に実現するため、人々を「コロニー」と呼ばれる群居地に押し込め、それぞれの企業ごとに管理した。「経済による平和(パックス・エコノミカ)」と呼ばれたこの体制はその実、社会主義的どころか、奴隷制度にも例えられるディストピアだった。
企業による軍事力の独占と、人々に蔓延する無気力が、世界の表面上の安定を保っていた。
企業統治の開始から5年。ネクストAC研究を中心とした先進技術開発を主産業とするコロニー・アナトリアは、研究の第一人者の死と、技術流失によって価値を失い、経済危機に陥っていた。
元来、小コロニーに過ぎないアナトリアを延命させるべく、全権を担う若き指導者エミールは、技術開発用として保有していたネクストACの「実戦投入」を試みる。きっかけは、国家解体戦争時にアナトリアに保護され、療養していた一人の「レイヴン」だった。 伝説的なACパイロットであったそのレイヴンには、 ネクストACを操作するための適性が、限りなく低いながらも存在していたのだ。その彼を、困難を承知でネクストACのパイロット──リンクスに任命し、「アナトリアの傭兵」として死地へ送り出そうという非人道的計画。それがエミールの賭けであった。
政治的価値しかない、古いネクストと、非力なリンクス。
それが仮初めのパックスを崩壊させ、企業間の全面戦争を招く元凶となることを予想しえた者は、この時点では誰もいなかった──。
世界観設定は、架空の地球を舞台にしていた過去作から一変。現実の地球を舞台に、荒廃した未来の世界を描くようになった。ブリーフィング世界地図は明らかにメルカトル図法の地球だし、「旧チャイニーズ・上海」という地名も存在している。
老いたエミール・グスタフによる回顧というスタイルで描かれる、シリーズでも屈指の「暗く殺伐としたストーリー」は、本作の大きな魅力となっている。主人公やその周辺人物には明確な設定が付けられ、感情移入度も上昇。そして彼らがミッション内で交わす豊富なやり取りの濃密さ、深さも興味深いところである。
ちなみに、ミッションHARDモードでのみ登場する追加の敵や台詞演出も存在する。いわば通常ミッションは「ダイジェスト版」であり、HARDモードが「真の本編」。これらを攻略することでより深く作品を愉しめる。それでありながら「結果だけを見せて過程を見せない」というフロム・ソフトウェアらしい物語作りは一貫している。
星野康太による数々の名BGMも合わさって、一本道で進むストーリーや演出はさながら映画のようであり、続編となる『アーマード・コア フォーアンサー』よりもシナリオ・演出面でこちらの方を高く評価するファンも多い。
以下、本作における企業・勢力とそこに所属するキャラクターを記載する(同色枠線で括られたのが同グループ・勢力を意味する)。
アナトリアかつてはアーマードコア・ネクストの技術研究の最先端を担っていた。イェルネフェルト教授の死に伴って技術が流出した後は対外的な商品が無くなり、パックス以後は貧困の一途を辿る。
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レイレナードレイレナード陣営筆頭。コジマ技術ジェネレータで高名な新興企業であり、主戦力をネクストに依存している。 標準機「03-AALIYAH(アリーヤ)」は薄い装甲をプライマルアーマーと高い機動性で補う中量機で、武装のラインナップも、アリーヤの特性に合わせた近距離戦向けのパーツが揃っている。
アクアビットレイレナードと密接な提携関係にある企業。 コジマ技術に優れ、プライマルアーマーを重視した製品のほか、FCSといった精密製品も輩出する。
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GA(グローバルアーマメンツ)地上最大規模の資本を有し、オーメル陣営の戦力の中核を担う企業。 旧態由来ではあるが質実剛健な実弾兵器群の火力は高い。子会社も多く、パーツラインナップが多い。
GAE(グローバルアーマメンツ・ヨーロッパ)GAのヨーロッパ支社。アクアビットと提携し、GAグループ内のコジマ技術を担っている。 |
BFF(バーナード・アンド・フェリクス・ファウンデーション)レイレナード陣営。欧州圏では単独企業として最大規模を誇る総合軍事企業。かつてはローゼンタールと提携していたが、民族対立を背景にした揉め事の末、決裂している。 ネクストは筆頭リンクスであるメアリー・シェリーの戦闘スタイルに合わせ、高精度射撃戦に偏重したパーツを揃えている。標準機「047AN」の時点でスナイパーライフルを搭載するなど、そのこだわりは強い。
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ローゼンタールオーメル陣営筆頭。財閥系巨大資本グループの一翼を担う総合軍事企業で、緻密な設計の汎用性に優れた兵器に定評がある。 標準機「TYPE-HOGIRE(オーギル)」に代表されるヒロイックなデザインも含んだ汎用性の高いパーツ群は、初心者にも扱いやすくはあるが、その反面、特化機を組むには不向きである。
オーメル=サイエンスローゼンタールの傘下企業だが、その実はローゼンタールよりも高い政治力・技術力を秘めた底知れない存在。 標準機「JUDITH(ユディト)」はHOGIREをベースにした高機動軽量機。
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インテリオル・ユニオンレイレナード陣営。 標準機「Y01-TELLUS」は独特の曲面主体、あるいは生物的なデザインが目を引く重装甲機。強力なエネルギー兵器の運用を前提としている。
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イクバールオーメル陣営。イスラム系の企業と思われる。資源・食糧市場で対立するGAとは提携グループの縁で協働する。 標準機は耐久力を犠牲に高機動・撹乱性を重視した「SARAF(サラーフ)」。武装は、連射や手数を重視したパーツラインナップを揃える。
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先述した通り、この作品はニコニコ動画始動と時期を同じくしたアーマード・コアでもある。
ニコニコ動画の盛り上がりと共にプレイ動画のみならず多数のMADや架空戦記シリーズが投稿され、ニコニコ動画と発展を共にした作品である。特にキャラクターに容姿を設けず、物語に至るまで想像の余地があることから優秀な素材集としても注目された。
タグ「コジマ汚染患者シリーズ」「アーマードコア良作MAD」等のタグが付いた動画はシリーズ作品のゲームとしてはかなりの多さであることがそれを物語る。
PVとオープニング。この時点からなんだただの実写かと言わしめんという気迫の片鱗が見える 。
MADも盛ん。他版権作品との混成MADが破綻無く動くのもこの想像の余地の大きさにある。
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最終更新:2025/12/13(土) 14:00
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