ゴージャス(競走馬) 単語


ニコニコ動画でゴージャス(競走馬)の動画を見に行く

ゴージャス

5.3千文字の記事
これはリビジョン 3307661 の記事です。
内容が古い・もしくは誤っている可能性があります。
最新版をみる

ゴージャス(Gorgeous)は、2022年生まれの日本の現役競走馬。白毛の牝馬。

同名馬について

「ゴージャス」という馬名は過去に何頭か存在している。
古くは1958年生のトサミドリ産駒(サラ系)、1974年生・1988年生・1996年生のアングロアラブの記録があり、21世紀に入ってからは2001年生まれのダイナガリバー産駒がいる。
(JBISサーチ調べ)

以下本項目では、日本では歴代6頭目と思われる2022年生のゴールドシップ産駒について記述する。

(なお、本来は日本語カタカナ表記のない海外馬「Gorgeous」まで広げると、1986年米国産の牝馬にG1馬がいるため、こちらについても項目の最後に触れる。)

血統

父ゴールドシップ、母*サトノジャスミン、母父Wilburn。
馬名は父母の名の組み合わせ(ゴールドシップ + サトノジャスミン)。

父ゴールドシップは言わずと知れたGⅠ6勝の芦毛の暴れん坊。引退後は新冠町のビッグレッドファームで種牡馬となり、オークス馬ユーバーレーベンや2023年最優秀障害馬マイネルグロンなどを出している。

母父Wilburnは2008年生まれのアメリカ生産・調教馬で、ダートのマイル戦線で走り9戦5勝・G2を1勝。日本で競走馬として血統登録された産駒は本馬の母*サトノジャスミンのみであり、繁殖登録されたのも同馬に*インディアマントゥアナと*ラブリーベルナデットを加えた3頭だけだが、前者はジャンタルマンタルの、後者はグランベルナデット(2023年忘れな草賞)の母となっている。

母系:White Beauty系について

ここで母*サトノジャスミン(白毛)の血統について詳述する。
日本で白毛馬といえば1979年生まれの牡馬ハクタイユーを初例とし、21世紀に入ってからはシラユキヒメ(1996年生)の子孫からユキチャン・ハヤヤッコ・ソダシなど活躍馬・話題馬が何頭も輩出されているが、サトノジャスミンはハクタイユー父系でもシラユキヒメ母系でもない。また、ゴールドシップ産駒で最初の白毛馬アオラキとも別の母系である[1]

むしろ、白毛血統としての歴史はそれらの馬たちより古く、サトノジャスミンの5代母、1963年生のアメリカ産牝馬White Beauty(ホワイトビューティー)に遡る。この馬が歴史上最初の白毛サラブレッドというわけではないが[2]アメリカジョッキークラブに初めて白毛として登録された馬であり、生まれつき真っ白のこの馬の扱いを巡ってDNA検査やら議論やらの末に、「White」を新たな毛色登録として設置する運びとなったのである。
アメリカでのこの動きは、十数年後に日本でハクタイユーが生まれた時も「北米では既にWhiteをサラブレッドの毛色として認めている。我が国も実例が生じた以上、『白毛』を認めてよいだろう」と毛色新設議論の補助となったため、まんざら日本に無関係な話でもない。

なお、White Beautyの父馬Ky. Colonel(ケンタッキーカーネル、1946年生)は「脚や腹に大きな白斑のある栗毛馬」だったそうだ(異系統だが、ハクタイユーやアマンテビアンコの幼駒時代も白毛と栗毛のまだらだったことが知られている)。このため、突然変異で白毛遺伝子を生み出した祖はこのKy. Colonelではないかとも考えられている。いずれにせよ、「牝系」の考え方に立てばWhite Beautyがゴージャスの属する白毛牝系の祖であることに変わりはないが。

White Beautyは16戦2勝の現役生活ののち繁殖に入り、以後細々とではあるが白毛牝系を21世紀まで維持してきた。そして、White Beautyの5代孫である2014年生の牡馬*ホワイトドラゴン(父Cowboy Cal)がこの一族の白毛馬として初めて日本に輸入され(JRA12戦1勝)、さらにその半妹である*サトノジャスミンも輸入された。

サトノジャスミンは2戦0勝で現役を終え繁殖入り。本馬は二番仔で、初の白毛産駒である。
すなわち、ゴージャスは世界で最も古くから残る白毛牝系の末裔たる白毛牝馬であり、これだけでも将来の母馬として期待は大きい。
White Beautyの誕生から50年以上を経て日本に上陸したアメリカ仕込みの白毛牝系、それが日本に定着するかはサトノジャスミンの繁殖成績やゴージャスらの活躍次第である[3]

戦歴

ゴージャスな娘、誕生

2022年2月15日、新冠町の村上欽哉牧場で誕生。折しも世間はソダシの白毛馬初GⅠ制覇で白毛ブーム、加えて父ゴールドシップも2021年ネット流行語大賞第5位にランクイン(ゲーム版『ウマ娘』の影響等による)して現役時代を知らない層にも知名度が高まっており、「サトノジャスミンの2022」は生まれたその時から注目を集めていた。比較的小柄な牝馬ながら向こうっ気は強く、牧場の1歳馬同期達の中ではボス格に収まっていたという。
ローレルレーシングが購入してクラブ馬とし、6万円×500口で募集。入厩先は栗東・四位洋文厩舎と決まった。

そして2024年9月16日、中京競馬場の新馬戦(芝1600m)で浜中俊を鞍上にデビュー戦を迎える。8枠11番スタートから中団やや後方につけたゴージャスは、コーナーで外まくりをかけて押し上げ、直線は早め先頭、後続を3/4馬身差封じて押し切った。
シラユキヒメ一族以外の白毛馬のJRA新馬戦勝利は初となる。
ちなみに、1600mはゴールドシップ産駒にとって鬼門の距離である(基本的には芝中長距離の種牡馬だが、何なら1200mや千直の方がまだマイルよりは産駒成績が上回る)。特に新馬戦で1600mを選択したゴルシ産駒はゴージャスより前は全頭敗北しており、それはウインキートス(目黒記念)・ウインマイティー(マーメイドS)と、後の重賞馬でも例外はなかった。その苦手条件での破天荒を果たした四位調教師の見立てが感心されるとともに、ゴージャスの能力にも期待が高まることとなった。

表紙デビューRTA!?

ゴージャスが新馬勝ちを飾った2024年9月16日の夜、産経新聞社発行の競馬専門誌『週刊Gallop』公式X(旧Twitter)がその週9月22日号の表紙・目次を予告発表したのだが、なんと表紙を飾ったのはその日の昼にデビュー・初勝利を挙げたばかりのゴージャスの姿であった。はえーよホセ。

このあまりのスピード感にX上では「表紙RTA」という概念が生まれることに。ちなみにゴージャスが勝った中京5Rの発走時刻12時15分をタイマースタート(?)とし、週刊Gallopの表紙が発表された19時26分をタイマーストップ(?)とすると、デビューから雑誌表紙掲載までのRTA記録は「7時間11分」となる。

なお、これに関しては「いやXの発表は予告・広告に過ぎない。紙媒体の雑誌であるからには発行日を計測終了点とすべきだ」というレギュレーションへの異論(?)もあるだろう。9月22日号の発行日は9月17日のため、こちらを計測終了点と採った場合でもRTA記録は「1日」である。多分これが一番早いと思います。

それにしてもサンケイもミーハーな……とも感じられるが、この起用には伏線がある。
実は「サトノジャスミンの2022」は、とねっこの頃に母と共にGallopの表紙を飾ったことがあり、表紙起用は二度目だったのだ。同誌編集部にも「ほら!ウチの相馬眼は間違ってなかったでしょう!」という喜びがあったのかもしれない。

なお、「サトノジャスミンの2022」の生誕は2022年2月15日、最初の掲載は2022年3月13日号(3月7日発行)のため、「生誕から雑誌表紙デビューまでのRTA」レギュの記録は「20日」となる。

筆者は本RTAのモデレーター等ではなく、これを上回る記録を持つ馬はいるのか、あるいは『週刊Gallop』以外の競馬誌を使用すれば記録が短縮されるのか等については詳しくないが、いずれにせよ「誕生から」「デビューから」どちらのレギュでも高い水準でまとまったRTA記録なのは間違いない所であろう。
というか筆者はまさか競走馬の話題でRTAの話が出てくることがあるとは微塵も思わなかった。

血統表

ゴールドシップ
2009 芦毛
ステイゴールド
1994 黒鹿毛
*サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
ゴールデンサッシュ *ディクタス
ダイナサッシュ
ポイントフラッグ
1998 芦毛
メジロマックイーン メジロティターン
メジロオーロラ
パストラリズム *プルラリズム
トクノエイティー
*サトノジャスミン
2016 白毛
FNo.21-a
Wilburn
2008 鹿毛
Bernardini A.P. Indy
Cara Rafaela
Moonlight Sonata Carson City
Wheatly Way
Spot of Beauty
2004 白毛
Skip Away Skip Trial
Ingot Way
Patchen Beauty Hatchet Man
Precious Beauty

クロス:5代内アウトブリード

  • 父ゴールドシップは2012年皐月賞・菊花賞・有馬記念、2013年・2014年宝塚記念連覇、2015年天皇賞(春)のGⅠ6勝。芦毛/栗毛の毛色遺伝子を有しており、産駒の白毛馬は2020年産のアオラキに次ぎ2頭目。
  • 母*サトノジャスミンは米国産・日本調教で現役時2戦0勝。白毛の毛色は母系由来で、6代母White Beauty(1963 米国産)が牝系祖に当たる。

関連動画

関連リンク

米国馬「Gorgeous」

本節では1986年アメリカ生産のGorgeousに触れておく。
父Slew o' Gold、母Kamar、母父Key to the Mint。黒鹿毛の牝馬。

祖母Square Angelと母Kamarはカナディアンオークスの母子制覇を達成。半妹Seaside Attractionは1990年ケンタッキーオークス勝ち馬、半妹Joodは母としてFantastic Lightを産んだ。
また母Kamarの全妹Love Smittenは自身もアップルブロッサムHの勝ち馬で、母としてもSwain(1997年・1998年KGVI&QES二連覇、1998年愛チャンピオンS)を産んだ。その他にも一族に多数のG1馬・重賞馬を出している、超活躍牝系の一員である。

Gorgeous自身も、1989年アッシュランドS・1989年ハリウッドオークス(現:G2サマータイムオークス)・1990年ヴァニティH(現:ビホルダーマイルS)とG1を3勝し、1989年のBCディスタフでもBayakoaの2着に入っている。その後、Gorgeousの娘や孫娘の一部は日本にも輸入されて牝系が続いている。
ぶっちゃけ、「じゃあ『ゴージャス(競走馬)』と言ったら、成績的にもまずはこっちの馬じゃん」と言われれば少なくとも現状ではそうなのだが、こっちは日本での出走や輸入歴のない(=本来はカタカナ表記が存在しない)海外馬「Gorgeous」だからということで…。

Slew o' Gold
1980 鹿毛
Seattle Slew
1974 黒鹿毛
Bold Reasoning Boldnesian
Reason to Earn
My Charmer Poker
Fair Charmer
Alluvial
1969 栗毛
Buckpasser Tom Fool
Busanda
Bayou Hill Prince
Bourtai
Kamar
1976 鹿毛
FNo.14-c
Key to the Mint
1969 鹿毛
Graustark Ribot
Flower Bowl
Key Bridge Princequillo
Blue Banner
Square Angel
1970 鹿毛
Quadrangle Cohoes
Tap Day
Nangela Nearctic
Angela's Niece

クロス:Princequillo 4×5(9.38%)、War Admiral 5×5(6.25%)

関連項目

  • 競馬
  • 競走馬の一覧
  • 2025年クラシック世代
  • ゴールドシップ(父)
  • ハクタイユー(日本初の白毛で登録された競走馬)
  • シラユキヒメ(異系統の白毛牝系の祖)
  • アオラキ(同父の白毛馬)
  • ゴージャス(曖昧さ回避記事)
  • シロイアレノムスメ

脚注

  1. *アオラキの祖母である2006年ニュージーランド産の牝馬The Opera House(まぎらわしいがテイエムオペラオーやメイショウサムソンらの父*オペラハウスとは全く関係ない)を祖とする白毛血統。
  2. *サラブレッド史上最古の白毛馬は、1896年生のアメリカ産牡馬White Crossだと言われている。
  3. *なお、翌年にもゴージャスの全妹である白毛牝馬(サトノジャスミンの2023)が誕生している。
関連記事

親記事

子記事

  • なし

兄弟記事

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/13(土) 12:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/13(土) 12:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP