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テイクオーバーターゲット

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テイクオーバーターゲット(Takeover Target)とは、1999年生まれのオーストラリアの競走馬である。

※南半球の競馬は8月からシーズンが始まり、馬齢の加算もそのタイミングで行われる。本項でもそれに従って記述する。

概要

Celtic Swing、母Shady Stream、母の父Archregentという血統。
父のセルティックスウィングはイギリスの2歳GI・レーシングポストトロフィーを12馬身差で圧勝し、現在も2歳馬史上最高レーティング記録を保有している名馬である。
一方、母シェイディストリームは不出走馬で、近親にGI馬がいるにはいるがテイクオーバーターゲットからは割と遠く、母父のアーチリージェントも特筆すべき競走成績・産駒は無かった。

激しい気性と膝の故障のために、幼少期のテイクオーバーターゲットは全く買い手がつかなかった。廃用寸前の3歳末(2002年7月)にセリに出品されたところで、1250豪州ドル(約11万円)+チップ10%という驚きの安さで購買された。購入者はジョセフ・ジャニアックという馬主兼調教師であった。
オーストラリアでは専業調教師として食べていける人間は少ないため、馬主兼調教師というのは割と珍しくないのだが、本馬を購入した頃のジャニアック師はかなりの生活苦で、朝はパン屋、昼に調教師、夜にタクシードライバーという働きづめの厳しい生活を余儀なくされていた。

デビューは4歳4月だった。かなりゆっくり育て上げられたのだろうと思うかもしれないが、実際は膝の故障に加えてゲート審査で大暴れしてジャニアック師に大怪我を負わせたためにデビューが遅れたのであった。
それでも、デビュー戦を7馬身差で圧勝し、続けて出走したハンデ戦3戦は7馬身・3馬身・6馬身差で連勝。格が上がったリステッド競走2戦も3/4馬身・2馬身差で連勝し、4歳シーズンを6戦全勝で終えた。

5歳初戦は重賞初出走がいきなりGI・サリンジャーS(1200m)となったが、居並ぶ重賞馬を押しのけ1馬身半差で完勝し、無敗の7連勝でGI制覇を挙げた。ここまででも十分大器の片鱗は見せつけていたのかもしれない。

ところが、膝の故障が再発したことに加えて蹄の感染症にも見舞われ、これで半年間の休養を余儀なくされてリズムが狂ったのか、復帰戦から4連敗を喫し、シーズンが明けて6歳になっても2連敗してしまった。

しかしその負け続きの後にGIII・サマーS(1200m)で59.5kgの斤量を背負いながら6馬身差をつけてレコード勝ちするとそこから3連勝でライトニングS(1000m)を勝ってGI2勝目を挙げ、更に1戦を挟んで出走したニューマーケットハンデキャップ(1200m)を制して3つ目のG1タイトルを獲得することに成功した。

その後、前年から始まったグローバル・スプリント・チャレンジ(以下GSC)優勝に挑戦するため、イギリスへ活路を見出し遠征。グレードこそGIIだが高い格式を持つGSC対象レース・キングズスタンドS(5ハロン)に挑戦した。28頭立てのメンバーは前年のナンソープS(GI)勝ち馬*ラクカラチャ、同じオーストラリア勢で本馬とも対戦経験があるGlamour Puss、シンコウフォレスト産駒の上がり馬Moss Valeなどバラエティ豊かなものとなったが、残り1ハロン地点で抜け出すと短頭差で追撃を凌いで勝利した。

その後、中3日という超過密日程で次の対象レースであるゴールデンジュビリーS(GI・6ハロン)に出走したが、前走で11着に沈めた伏兵Les Arcsの大駆けに遭い3着に敗戦。ちなみにこのローテはとりわけ珍しいという訳でも無いのだが、流石に勝つのは難しく、今までこの2競走を連勝した馬は9頭しかいない。

この後は3週後のジュライカップ(GI・6ハロン)にも挑戦したが、またもLes Arcsに敗れ7着。イギリスでは3戦1勝だったが、このシーズンのオーストラリア最優秀短距離馬・最優秀国際活躍馬に選出された。

シーズンが明けて7歳になると日本に活路を見出し、来日初戦にセントウルSに殴り込むが、シーイズトウショウの2着に敗れる。その後にはスプリンターズSに出走。スタートから軽快に飛ばして先頭を譲らず、そのままメイショウボーラー以下を軽くいなして逃げ切りGI4勝目を達成した。そしてこの勝利により、香港スプリントを待たずして、GSCの王者に輝いた。

この後はもちろん香港スプリントに出走する予定であったが、禁止薬物が検出されたため出走取り消しとなった。もしもここに出て勝っていたらGSCの賞金と合わせておよそ2億2000万円がさらに賞金に追加予定であったが、この一件によって立ち消えになってしまった。無念。
それでもこの年のレーティングは短距離馬の中で1位となる121ポンドを獲得し、世界レベルのスプリンターであることを見事に証明した。

年が明けると国内でGIを3戦し、オールエイジドS(1400m)は5着、BTCカップ(1200m)は2着と敗れたが、ドゥーンベン10000(1350m)で勝利。その後またもイギリス遠征を敢行し、前年と同じくキングズスタンドS・ゴールデンジュビリーSの2競走に出走したが4着・2着と連敗。ジュライカップは疝痛で回避し、7戦2勝でシーズンを終了した。この年はGIを4勝し、キングズスタンドSでも本馬を退けたMiss Andrettiに最優秀短距離馬を譲ったが、最優秀国際活躍馬のタイトルは2年連続で獲得した。

8歳になった翌シーズンも現役を続行。オープン2連勝の後、ヴィリエS(GII・1200m)は進路妨害で2着降着、T.J.スミスS(GI・1200m)は道悪に見舞われ3着と苦しんだが、そのあとにシンガポールに遠征。クランジ競馬場のクリスフライヤーインターナショナルスプリントを「90%の力」しか出さずにレコード勝ちしてGI勝利を6とした。その後はみたびイギリスへ遠征したが、GIに昇格したキングズスタンドSではパートIII国であったスペインからの遠征馬Equianoに逃げ切られ2着、ゴールデンジュビリーSでは前年に2歳にして古馬相手のナンソープSを制していたKingsgate Nativeの4着と連敗。靭帯の損傷のためここで帰国し、シーズン終了となった。この年も最優秀国際活躍馬に選出された。

翌シーズンは9歳となったが、ホームへ戻ると彼はまだまだ強い。T.J.スミスSとグッドウッドハンデキャップのGI2勝を含む4連勝を挙げ、連覇を目指してクリスフライヤーインターナショナルスプリントに挑戦、しかしもうピークを超えていたのか前々年の香港スプリント勝ち馬Sacred Kingdomの8着と惨敗。続いて4度目のイギリス遠征を行い、ゴールデンジュビリーSに出走しようとしたが暑さで体調を崩し回避。3年ぶりにジュライカップに挑むが、*フリーティングスピリットの7着に敗戦。その後に管骨の骨折が判明し、現役を引退した。なお、2010年に復帰計画が持ち上がったが、関節の摩耗によって断念となった。よかったよかった。
主戦を務めたのは本馬のデビュー時20歳の見習い騎手だったジェイ・フォードという騎手で、騎乗停止になった6歳時のエイジクラシック(GII、7着)と、別の馬に乗るため大幅減量中だった9歳時のT.J.スミスS以外の39戦でずっと手綱を執り続けた。

通算成績は41戦21勝、うちGI8勝。4歳シーズン暮れに購入額の700倍以上となる100万豪州ドルでのトレードを提案されたテイクオーバーターゲットだが、最終的な獲得賞金は豪州ドル換算で約602万ドルに達した。ジャニアック師も、テイクオーバーターゲットの大活躍がもたらした賞金と名声のおかげで専業調教師として食べていけるようになったという。

約11万円という安値で取引され、決して恵まれた環境ではなかった彼が、最終的には勝率5割越え・GI8勝と言う素晴らしい成績を残したのは、陣営の頑張り、騎手の頑張り、そして何より、テイクオーバーターゲット自身の頑張りの賜物であろう。唯一の心残りは、彼が騙馬であるがゆえに、彼の後継者を見ることができないことであろうか。

2012年に殿堂入りし、以後はジャニアック師の放牧地で余生を送っていたテイクオーバーターゲットだったが、2015年6月20日に脚を故障。症状は致命的で、同日に安楽死措置が執られた。15歳であった。

血統表

Celtic Swing
1992 黒鹿毛
*ダミスター
Damister
1982 黒鹿毛
Mr. Prospector Raise a Native
Gold Digger
Batucada Roman Line
Whistle a Tune
Celtic Ring
1984 鹿毛
Welsh Pageant Tudor Melody
Picture Light
Pencuik Jewel Petingo
Fotheringay
Shady Stream
1994 栗毛
FNo.11-d
Archregent
1981 鹿毛
Vice Regent Northern Dancer
Victoria Regina
Respond *カナディアンチャンプ
Canadian Champ
Reply
Merry Shade
1989 芦毛
Spectacular Spy Spectacular Bid
Lassie Dear
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