レクサス (LEXUS) はトヨタ自動車の高級車部門である。北米、ヨーロッパ、アジア、中東、中南米、アフリカ、オセアニアの各国で展開されており、高級車ブランドとしては世界で唯一ハイブリッド車を持つ。2005年には、日本でのブランド展開が開始され、2006年の年間販売台数は、47万5000台に上る。
レクサスは、1989年よりアメリカで展開が開始されたトヨタの高級車ブランドである。それ以前には、ホンダのアキュラが、1986年から日本の自動車メーカーとして初めて北米でプレミアムブランドを展開していた。北米では、重厚で威厳を放つ高級車とは、アメリカンドリームを勝ち得た「勝者のシンボル」であった。市場はキャディラックやリンカーンなどの限られた伝統的メーカーの独壇場で、例え壊れやすくとも名門ブランドの名のもとに許容されていた。
しかし、そうしたメーカー都合の販売姿勢に対し、顧客の潜在的な不満は極めて高く、社会的成功を誇示するかのような威圧的なデザインの、旧来の高級 車を避ける傾向は富裕層の中にも確実に存在し、名門とされてきたブランドも、若年層にとっては「古臭い」と見えていることをレクサスブランド導入に備え事 前調査を進めていたトヨタはつかんでいた。
そこでレクサスでは、伝統や威厳を前提とした旧来の高級車の在り方を否定し、極めて「機能的な」プレミアムを模索した。すなわち、メルセデス・ベンツなどの西ドイツ(現ドイツ)製高級車に匹敵する品質と、日本車ならではの信頼性を高い次元で両立させ、なおかつ妥当な価格設定と優れた経済性、そして最高の接客とアフターフォロー(当時のディーラーや整備工場といえば、一般的に暗い雰囲気で近寄りがたい所であった)をもって、新たな高みを目指すこととなった。
当時はまだ「壊れないが、安物の大衆車」というイメージしか無かった日本車に、高級車市場への参入余地はないというのが自動車業界の見方であった。しかしトヨタは、自らを変えるべく、テストコースの建設を始めとした従来を大きく超える評価基準を設定した。
そして、5年にも及ぶ長い開発期間の後、LS(日本名セルシオ)が誕生した。押し出し感を抑えた「和」のテイストを継承しつつ、より上質なシンプルさに昇華させたデザインは、まだ何色にも染まっていない新進気鋭の真新しい存在として、逆に新鮮な驚きをマーケットに与えた。
LSは、発売後たちまちドイツやイギリスの高級車ブランドの強力なライバル車となり、初年度だけで約1万1600台(ES〔日本名ウィンダム〕の4700台を合わせ、レクサス全体では1万6300台)を売り上げ、大衆車メーカーによるアメリカの高級車市場参入の成功例となった。
高級車といえども価格競争が激しい北米市場では、レクサスと、同クラスのメルセデス・ベンツ、BMWとの間に、日本でみられるような顕著な価格差はない。従来は、欧州のライバルメーカーよりも比較的安価なことが特徴であった(2007年に発売されたLSでは日本車として初めて価格が10万ドルを突破した)。
高級SUVの先がけとなったRX(日本ではハリアー)や、カムリをベースとしたセダンのESなど、日本では販売されていない車種が、北米での販売の過半数(18万4335台)を占める。
信頼性の高さでは群を抜いており、JDパワーの米国自動車耐久品質調査SM(VDS)において、ブランド別ランキングでは2006年まで12年連続のトップである。また、セグメント別でも常に上位を占め、特にLSとLX(日本名ランドクルーザーシグナス)は数度にわたり1位を獲得している。2006年は「LS430」、「GS300/430」、「SC430」がラージ・プレミアム、ミッドサイズ・プレミアム、プレミアム・スポーティーでそれぞれ1位となった。
シンガポールの初代首相リー・クアンユーが、自家用車をベンツからレクサスに乗り換えた逸話がある。
韓国では、それまで実施されていた日本車の輸入禁止措置がWTO加盟に伴い解除され、レクサスの販売が開始された。2005年には、それまで輸入車販売のトップだったBMWを上回り、以後2年連続でメーカー別輸入車販売台数の1位となっている。(トヨタ・ブランドは販売されていない。)中華民国でも、2005年から高級車ブランドのトップである。
欧州での販売台数は、高いブランドイメージと豊富な車種、密な販売網を持つ現地メーカーであるメルセデス・ベンツやBMWを 大きく下回るが、ハイブリッド車の認知などにより販売を増やしている。事実、2006年の欧州における販売台数は車種の追加やブランドイメージの浸透、発 売国の追加などにより5万1000台と前年より倍増しており、10年連続で販売台数の最高記録を更新していることになる。
ロシアでは、富裕層の増加に伴い首都モスクワを中心としてレクサスの販売が好調であり、2007年にはトヨタ自動車が同国における新車販売額でのトップとなった。
日本での事業展開が決定されたのは、2003年2月である。2005年8月に開業し、全国に143店舗が開設された。同年9月からの約2年間、取り 扱い車種はGS、IS、SCの3車種であった。これらは、主要市場であるアメリカで展開されていたレクサス8車種のうち販売台数でそれぞれ5位、7位、8 位(2005年)という非主流モデルであったが、開業後1年間の販売実績でアウディやボルボの日本国内販売台数を上回った。
多くの輸入車ブランドとは異なり47都道府県の全てにディーラーが設置され、店舗は落ち着いた高級感をもつデザインに統一されている。従業員は、富士スピードウェイ内に作られた「富士レクサスカレッジ」と呼ばれる研修施設で教育を受ける。
トヨタ自動車のテーマパーク「MEGAWEB」(東京・お台場)には「レクサスギャラリー MEGAWEB」、トヨタ自動車が東和不動産、毎日新聞社と共同保有するミッドランドスクエア(愛知・名古屋) には「レクサスギャラリー MIDLAND SQUARE」がある。
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最終更新:2024/05/01(水) 02:00
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