P-3Cとは、旧西側諸国を代表する(対潜)哨戒機である。
1950年代末期、アメリカ海軍の求めに応じてロッキード社がL-188エレクトラ旅客機をベースに開発した対潜哨戒機。
旅客機ベースであるため、居住性も良く長時間の任務に就くことがおおい対潜哨戒任務などにとってはうってつけの機体だった。
機体後方のMADブーム(磁気探知装置)が特徴的。また対潜装備だけではなくハープーン対艦ミサイルなど、各種対艦ミサイルも搭載可能である。
当初の任務としては、旧西側諸国の主要海域に張り巡らされたSOSUSライン(海底設置のソナー)で潜水艦の接近を感知して、P-3Cを送り込み、MADブームや、ソノブイ(空中投下型ソナー)を使って潜水艦の位置を特定、核爆雷や核魚雷を使って殲滅するという…まぁ、なんというか60年代とかならそうだよねーというような任務だったわけだが、そういう時代も過ぎ去り今では(対潜)の文字も外れ、哨戒機としてベスト&ロングセラーな機体として旧西側諸国で活躍している。また豊富な機体数を生かして様々な派生型も数多い。現在、後継機について色々と…(後述)。
アメリカでは海軍を中心に170機弱配備されているP-3Cだが、日本では1970年代末(昭和50年代)から輸入、ノックダウン、ライセンス生産と行われて、110機の導入(現在の実運用は80機程度?)が行われている。マンモスカスタマーと呼ばれる所以である。ちなみに他の国はせいぜい10機程度というから、その桁違いさがわかるだろう。
両岸に大洋があるなど哨戒エリアが広大なアメリカならまだしも、これだけ高密度な哨戒機数を運用しているのは他にない。海上自衛隊がどれだけ潜水艦狩りに執着していたかがわかるというものでもある。
配備当初、潜水艦部隊との合同訓練では面白いように潜水艦が探知され、「P-3Cショック」を潜水艦部隊に与えたという話がある。もっとも当時の日本の潜水艦の海中雑音や静粛性に対する認識はあまり褒められたものではなく、静粛性対策が進むと中々発見しずらくなったという。逆に赤外線探知や海上に出た潜望鏡などを探知するという手法もとっているというが、あまりそこの話は公開されていない。(潜水艦サイドからのエピソードはあるので興味のある方は調べてほしい)
平成10年ごろから対潜哨戒機という分類から哨戒機という名目に変わったことを示すように、平時の任務として純粋な哨戒任務として日本周辺海域を航行する船舶の確認作業なども行っている。不審船問題でも最初に確認作業を行ったのはP-3Cだったりする。
90年代以降、海外への訓練にも数多く参加する一方、ソマリア海賊対策への派遣もつい先ごろ決まり派遣が行われている。
最後に特筆すべきは、日本においてP-3Cの任務中喪失機が存在しないことである。常時運用している軍用機としては珍しく、以前のP-2Jから続く偉業でもある。つい先ごろ、P-3C最初の耐用飛行時間1万5千時間を経過した02号機(!)が退役した。その任務上低空飛行など過酷な飛行環境で運用される哨戒機として珍しいといえるだろう。ただ、最近予算不足で部品共食いで飛べない機体もあるという話が気がかりなのだが…。
これだけの傑作機であったP-3Cだが、その後継機はもめる破目になった。
P-3Cの後継機問題も当初、P-3Cを改良したP-7計画が持ち上がったが、ロッキード社の予算超過で計画がキャンセルとなり、次にボーイング社提案のB-737ベースによる改造計画、737MMA案が通り、これをP-8として開発することになった。この問題については日本も色々巻き込まれており、ゲル長官こと石破茂防衛庁長官時代に国内開発で行くかP-8計画に乗るかで内部で結構騒ぎになったとか…。
ただP-8は運用スタイルからしてP-3Cとは大きくことなり、UAV(無人航空機)のプラットフォームといってもいい機体であり、日本が求める哨戒機の運用スタイルとは大きくことなっていたし、今の大炎上の有様を見ていると、あのときゲル長官に必死に抵抗した海自の中の人、GJと言うべきか。
P-3Cの美しさもそうですが、潜水艦の可愛さを堪能してください。
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最終更新:2025/12/11(木) 16:00
最終更新:2025/12/11(木) 15:00
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