F-35 単語

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F-35 ライトニングとは、アメリカ開発された単座のステルス戦闘機である。

概要

1990年代アメリカで開始された戦闘機開発計画であるJSFJoint Strike Fighter:統合打撃戦闘機)において、まず1996年に提案要書(RFP)が発出され、ボーイングロッキード・マーティンマクダネル・ダグラスの3社が提案を行った。まず書類審マクダネル・ダグラスが脱落。次にボーイングX-32を、ロッキード・マーティンにX-35を製造する契約が与えられ、それぞれの飛行審2000年から2001年にかけて行われた。2001年10月に、次の段階のシステム開発・実SDD)作業に進む企業ロッキード・マーティンが選定され、以来開発が続けられている。F-35のSDDには海外の各も資金拠出とともに開発パートナーとして参画している(レベル1:イギリスレベル2:イタリアオランダレベル3:オーストラリアカナダデンマークノルウェートルコ)。他にイスラエルシンガポールが保全協力パートナーSCP)として計画に加わっている。[1]

空軍向けのF-35A、海兵隊向けのF-35B、海軍海兵隊空母に配備するF-35Cが開発されており、3タイプとも既に運用を開始している。

メーカーであるロッキード・マーティン社が開したレポートによると、飛行力については現行の4.5世代機と同等程度、ほんのわずかに上の力をもつとされている。ただし高いステルスを持つので機体性が同等かF-35を上回っていても対抗機はF-35を発見できないので何もできない可性が高いと思われる。(視で発見できたとしてもレーダーFCSがF-35を探知できないので機レティクルすら動かない可性すらある。)また、長らくスーパークルーズは出来ないとされていたが、ステルスウェポンベイに武装を搭載した状態でマッハ1.2で音速巡航出来る事が発表された。

バリエーション[2]

F-35は以下の3タイプ開発された。 ※各タイプの諸元は外部リンクを参照。

F-35A

アメリカ空軍向けに開発された通常離着陸(CTOL:Conventional TakeOff and Landing。3タイプ一内蔵機関GAU-22/A機関(口径25mm)を搭載している。また、B・C空中給油用の給油プローブをコクピットに備えるのに対し、A型では胴体背部にフライングブーム用の受口を備える。

10かが導入を決定しており、カナダは採用決定後に一旦キャンセルしたものの、再検討していると報道されている。

ノルウェー空軍向けのみドラッグシュートが装備される。

F-35B

アメリカ海兵隊向けに開発された垂直離陸短距離着陸(STOVLShort TakeOff/Vertical Landingエンジン排気口がベアリングで可動し推力の向きを変えられる他、コクピット直後にリフトファンを備えることでSTOVL運用が可になっている。左右下面にエンジンから抽出した空気を吹き出すローポストを備えており、ホバリング時の姿勢制御に使われる。

アメリカ海兵隊の他にイギリス空軍海軍イタリア空軍海軍航空自衛隊が導入予定。

F-35C

アメリカ海軍向けに開発された艦上(CV:Cruiser aviation)で着艦侵入速度を下げるために面積を増やし、安定板と垂直安定板も一回り大化している。艦上運用のための着艦拘束フック装備、前脚の二重輪化、カタパルト発進バーの追加も行なわれている。

アメリカ海軍海兵隊が導入する予定。

エンジン[3]

F-22用のエンジンF119を基に新たに開発されたP&W F135エンジンが搭載されている。

ドライ(オグメンタ非使用時)推力が28000lbf、ウェット(オグメンタ使用時)推力は43000lbf(191kN)で、F119のウェット推力38000lbfべ増強されている。バイパスは0.57、燃焼温度は最高2200℃にも達するといわれる。

F135ではタービンの健全性や振動、潤滑中の不純物などがコンピュータによりモニタリングされており、不具合の予兆があればいちく検知することができる。整備コストF-15等で使用されているF100にべて約半分、整備間隔は約2.3倍と整備関連のコストも大幅に軽減されている。

ソフトウェア

F-35ではソフトウェアハードウェアアップデートすることで段階的に力を増やす計画になっている。米軍のF-35Aはブロック3iで、F-35Bはブロック2BIOC(初度作戦力)を獲得している。

現行のF-35はブロック3Fに準拠しており、新たにブロック4の開発が進行している。ブロック4では胴体内に搭載できる空対空ミサイルの数が4本から6本へと増強、対応する兵装については新たにミーティアJSM、SDB、B-61戦術核、外部増槽などが使用可になる。自動墜落回避システムAGCAS)も実装される。[4]

搭載電子装置[5]

AN/APG-81レーダーモード対地モードに加え、電子戦モード、航法支援モード、自動示機まで持つ多機AESAレーダー試験では9ほどでレーダー覆域にいる23個の標を探知、追尾を行った。

AN/APG-81には向性エネルギー兵器の機もあり、敵のレーダーミサイルシーカーに高出力のマイクロ波を照射することで動作を妨、誤作動させるだけでなく、回路を破壊することさえ可と言われている。この「電子攻撃」は各レーダーモードを止めることなく、並行して行える。[6]

AN/AAQ-40電子システムEOTS:Electro-Optical Targeting System)…機首下面のフェアリング内に装備された赤外線センサ/レーザーシステム赤外線による標の捜索追尾(IRST)及び地上標の前方監視(FLIR)を行う他、レーザーによって示、レーザー・スポット(友軍が標に照射するレーザーの反射)追跡、測距を行う。

AN/AAQ-37電子学分配開口システムDAS:electro-optical Distributed Aperture System)…機体の6箇所に赤外線センサーを配置することで、機体を中心に360度全周を捜索・監視するシステム中/地上脅威の探知、自機が発射するAIM-9Xへの示、編隊機の追尾、間の航法等を担う。センサー力は高く、試験では1300km以上離れた場所で発射された弾道ミサイルの探知、追尾を行ったという。また、パイロットHMDDASの映像を表示させることが出来るので、例えば本来は見ることが出来ない機体の下等も視線を下に向けるだけで「見る」ことが出来る。このセンサーにより例えパイロットが敵機を見失ったとしてもDASが敵を捕捉し続け、必要に応じてミサイルを発射出来る。

AN/ASQ-239BAEシステムズ製の電子戦システム[7]

AN/ASQ-242…F-35のCNI(Communications/Navigation/Identification)システムノースロップ・グラマン開発。音通信、データリンクリンク16やMADL)、IFF等が含まれる。[8]

各種センサーから得られる情報は膨大な量になるので、センサー情報は一旦F-35が搭載するコンピュータに集められ整理、統合の後、コクピットの大ディスプレイパイロットが理解し易い形で表示される。

ALGS/ALIS

F-35ではALGSAutonomic Logistics Global Sustainment)というシステムによって兵站支援が行われる。ALGSの業務を情報システムがALIS(Autonomic Logistics Information System)であり、機体の運用状況、必要なスペアパーツや搭載機器の情報管理が行われる。[9]

ALISについては数度のバージョンアップを行っても不具合を解決できず、2019年1月には新版「ALIS NEXT」として再設計を行うことが決定している。[10]

日本のF-XとしてのF-35

2011年にF-35AをF-4の後継として、2012年度以降42機取得すると決定した。2013年度以降、機体及びエンジンの最終組立・検FACO:Final Assembly and Check Out)やエンジンレーダーDASの一部について企業が参画。アジア太平洋地域におけるF-35の整備拠点について、機体の整備拠点2018年初期までに日本及びオーストラリアに設置する。エンジンの整備拠点については2018年初期までにオーストラリアに設置、数年後には日本にも設置する。[11]

2018年F-15Jの内、初期に導入され部品規格等が旧式で改修が困難なPre-MSIP(F-15SJ)99機を更新する的でF-35を105機追加購入することが閣議決定された。また105機の内42機は将来空母への搭載や離の小規模空港の臨時使用を企図してかB型が調達される。航空自衛隊はこれで初期導入分42機と併せ147機のF-35を保有し、アメリカに次いで世界第二位のF-35保有となる。ちなみに147機は予備機を1機ずつ確保してぴったり7個飛行隊分の調達数である。導入計画が遂されれば丁度今のF-15Jと同じ部隊数となり、また航空自衛隊現在12個戦闘飛行隊の編成を、第501偵察飛行隊を戦闘飛行隊へ改編、更に1個飛行隊を新設し14個戦闘飛行隊体制とする事としているので、航空自衛隊全体の半数がF-35となり名実共に日本戦闘機となる。

F-22との違い[12]

アメリカが以前開発したF-22は、これから何をしようとしているのか、あるいは今何をしようとしているのか、時によってはペンタゴンですら把握はできない、まさに「極秘ミッション専用機」といってもいいシステムだった。これに対してF-35は、そのミッションコンピュータペンタゴンがいつでも衛星リンク経由で覗き見できる仕様となっており、F-35導入がF-35を使って何をやろうとしているのか、今何をしているのかを、24時間、逐一把握することができる。

だからこそアメリカ政府はF-35を世界中の同盟に買わせることに格段の価値を見出している。F-35の性コストではなく、この「同盟空軍を常時モニターできる」という仕様が、米国益に貢献すると信じられるからである。

関連作品

動画

静画

MMDモデル

関連項目

外部リンク

脚注

  1. *「F-35の開発状況を見る」青木謙知 航空ファン2011年4月
  2. *「A、B、C各の違い」青木謙知「A、B、C各の採用板倉秀典 航空情報2017年10月
  3. *「F-35AのエンジンF135」外江  航空情報2017年10月
  4. *F-35なぜ「次世代機相当」へ進化できるのか? LM社が発表した「性能向上改修」とはexit_niconews 2019.7.7
  5. *2020年戦力『ステルス戦闘機対決』」軍事情報研究軍事研究2014年5月
  6. *F-35「入門  関 賢太郎 2017
  7. *http://www.baesystems.com/en-us/product/an-asq-239-f-35-ew-countermeasure-system
  8. *http://www.northropgrumman.com/Capabilities/F35Lightning/Pages/default.aspx
  9. *http://news.mynavi.jp/column/military_it/162/
  10. *ステルス機F-35をつかさどる「気難しいアリス」exit 2019.5.28
  11. *http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2017/html/n3442000.htmlexit
  12. *「兵頭二十八の防衛白書 2016」兵頭二十八 思社 2016 pp.193-194
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