スクロールスコアとは、2014FIFAワールドカップ準決勝、ブラジル対ドイツ戦のスコア、1-7の通称である。
またの名をミネイロンの惨劇。
概要
ブラジルは優勝が至上命題の母国開催のワールドカップで苦しみながら勝ち進むが、12年ぶりとなる準決勝には攻撃の要ネイマールが負傷、守備の要のキャプテンT・シウバが出場停止という大幅な戦力ダウンで挑むことに。対するドイツは風邪が流行したと報道されるなどコンディションが不安視されるも試合に問題はなく、4大会連続でベスト4に残った。
サッカー大国同士の対決となり、世界中のファンが見守るなかキックオフ。試合開始直後はブラジルペースで進むも、ドイツが前半11分にコーナーキックからミュラーがゴールを決めると、動揺を隠せないブラジルに一方的にドイツが攻めこむ形となった。
そして迎えた前半20分台。
クローゼ(前半23分)
クロース(前半24分)
クロース(前半26分)
ケディラ(前半29分)
なんとわずか6分で4失点、ブラジル人で埋まったスタジアムは沈黙し、前半終了時点で0-5という信じがたいスコアで折り返すこととなった。
この凄惨な結果にブラジルサポーターも大きな衝撃を受けた。立て続けに点を入れられた20分台には泣き出すサポーターが多数中継に映しこまれ、ハーフタイムで帰路につくサポーターが続出。後半途中にはブラジル代表(主にフレッジ)がボールを持つとブーイングが起き、ドイツ代表のパス回しに「オーレ!」のコールが掛かる始末。
あまりの大差にドイツ代表の面々も喜びを大きく表さず、ブラジル代表を慰める場面も多く見られた。
「夢のスコア」「炭鉱スコア」など、こうした一方的なスコアには名前が付けられる流れとなっている某掲示板界隈では、今回もやはり命名議論に発展。ドイツ代表の得点者が5人となったことで、中継映像に流れる公式スコアテロップの得点者表示がスクロールしたため、「スクロールスコア」と呼ばれるようになった。
関係者•各国のコメント
スコラーリ監督(ブラジル代表監督)
「消極的なミスをした我々を許してほしい」
「すべての責任は私にある。6分間で4ゴール何て普通じゃ起こりえないことだが、起きてしまった。この結果にはドイツ代表ですら、驚いていた」
レーブ監督(ドイツ代表監督)
「我々の実力を出せば勝てることは分かっていたが、ここまでのスコアは考えてなかった」
「多くのサポーターが見守る中、これだけの大差はショックだろう。彼らは失点以降ナーバスになり、ロングボールを多く使うようになり、組織的な守備が出来なくなっていった。」
「我々も2006年に 同じ経験をしたから、ブラジルの方々の気持ちは理解できる。大きな落胆だろう。見事にW杯を運営し、情熱的でフレンドリーな彼らにとってもこれは消化するのは難しいはずだ」
ミュラー(ドイツ代表)
「ハーフタイムにブラジルに屈辱を与えないように怠慢なプレーはせずに、普通にサッカーをしようと選手同士で話していた」
―元ブラジル代表MFのジュニーニョ・パウリスタ氏
「立ち直るのは難しい。何人かの選手は、大会が終わったらもう2度と代表のユニホームを着ないだろう。今、選手を批判するのは間違っている。ピッチ上で、ドイツは私たちにサッカーのやり方を教え込んだ。ブラジルはそこから学ばないといけない」
―元イングランド代表FWのギャリー・リネカー氏
「もう半世紀近くサッカーを見てきたが、私が観戦した中でもこれが最も桁外れで、圧倒的で、途方に暮れる試合だ」
―元フランス代表左サイドバックのビシェンテ・リサラス氏
「屈辱的な、最悪の敗戦だ。私自身も気後れしている。彼らと一緒に苦しんでいるからだ。ブラジル代表のW杯は台無しになった」
―元ドイツ代表MFのディートマー・ハマン氏
「最上級のドイツ。冷静で、組織立っていて、ハードワークをし、献身的で謙虚だった。チームをとても誇りに思う。あと1つだ」
―元イングランド代表で、マンチェスター・ユナイテッドを退団したリオ・ファーディナンド
「ブラジルの選手が2度と立ち直れないのではないかということが心配だ。もう復活できない選手も何人かいるのではないだろうか」
「だから言っただろ。俺はブラジルが優勝することなんて無いと。この試合前もドイツの方が強いと言い続けていた。あいつらはこの大敗で、強豪国としてのイメージは失墜した。俺たちが優勝する前座の3位決定戦では頑張って欲しいがな。」
(決勝終了後、アルゼンチンが0-1で敗れた後のコメント)
「ブラジル人は自分のチームから7点も奪ったチームを応援する勇気は素晴らしいことだ。我々は1失点で敗れたが、彼らの7ゴール奪われたという記録は世界中の誰もが忘れないだろう」
「試合後に泣いてばかりで、自国開催の重圧に耐えうる力がなかったのだろう」
「信じがたい。悲しく、とてもつらい。こんなひどい試合は2度と見ることができない。失点後、中盤で相手にスペースを与え、組織は崩壊していた。」
「上手く説明できない。全てのブラジル人に取って受け入れがたい落胆だ。」
「なんだあれは?信じられない。」
「胸が張り裂けそうなほどに、彼らに同情する。」
余談
今大会では
今大会では準決勝(ブラジル対ドイツ)戦以前にスクロールスコア(5点以上)が発生した試合はグループリーグのオランダVSスペイン(5-1)とスイスVSフランス(2-5)である。
この試合でゴールを決めたミロスラフ・クローゼはW杯通算得点数単独1位となった。
なお、それまでの得点数1位だったブラジルのロナウドはこの試合をTV解説者として見ている。
この試合で起きた事件まとめ(ツイッターより)
- ブラジルがDFラインにアフロを3人並べる
- クローゼがW杯歴代最多得点更新
- ウィリアン投入でブラジルのアフロが4人に
- フレッジがボールを持つだけでブーイング
- 余裕のドイツが思い出出場選手を投入
- ブラジルサポーターがドイツ応援開始
- 試合中、ブラジル代表のwikipediaの最悪の敗戦の項目が書き換えられるも、オスカルのゴールにより元に戻される。
- 試合終了後、暴動で公共バス20台が炎上する騒ぎに発展
- BRAZILからBRA71Lへ
記録
この試合では大小様々な記録が大量に発生し、その意味でも歴史的な試合であった。
個人記録
最短記録
- 最短4ゴールのW杯記録 : 6分[23~29分], ドイツ2~5点目 (更新: 7分 オーストリア 1954年)
- 開始からの最短5ゴールのW杯記録 : 29分 (更新: 30分 ユーゴスラビア 1974年)
一試合の得点・失点記録
- ブラジル代表のW杯での最多失点 : 7 (更新: 5 = 対ポーランド戦(延長戦) 6-5 1938年)
- ブラジル代表の7失点 : 初 (8失点はある=対ユーゴスラビア4-8 1934年)
- W杯開催国の最多失点 : 7, ブラジル (タイ: スイス 5-7 オーストリア 1954年)
- 前半終了時点のW杯での得点記録 : 5, ドイツ (タイ: ユーゴスラビア及びポーランド 1974年)
一試合の得点差記録
- ブラジル代表の最大得点差での敗戦 : 6 (タイ: 対ウルグアイ戦 0-6 1920年)
- ブラジル代表の国内での最大得点差での敗戦 : 6 (更新: 5 = 対アルゼンチン戦 1-5 1939年)
- ブラジル代表のW杯での最大得点差での敗戦 : 6 (更新: 3 = 対フランス戦 0-3 1998年)
- W杯開催国の最大得点差での敗戦 : 6 (更新: 3 = 南アフリカ 0-3 ウルグアイ 2010年など計3試合)
- W杯準決勝以降での最大得点差 : 6 (更新: 5 = 西ドイツ6-1オーストリア 1954年など計3試合)
- 前半終了時点のW杯での最大得点差 : 5 (更新: ドイツ4-0サウジアラビア 2002年)
W杯記録
その他
惨劇の続き:3位決定戦
失意のブラジルは続くオランダとの3位決定戦に回った。負傷のネイマールもスタジアムに駆けつけ、せめて国民に3位をプレゼントしたいと意気込みを見せるブラジル。一方、前回準優勝のオランダは監督が「3位決定戦など意味がない。ベスト4まで来たチームがなぜわざわざ連敗の辱めを受けなければならないのか」と発言するなどやる気のなさを見せていた。
しかし蓋を開けてみると、T・シウバが出場停止から復帰したにもかかわらず開始3分にPKを与えていきなり失点するなど、守備陣の崩壊は止まらず、そのままろくなチャンスも作れずに0-3で完敗した。ブラジル代表がW杯で連敗するのは10大会40年ぶりで、ブラジルホームでの連敗となると74年ぶりである。結局2試合合計で1-10という凄絶な惨敗となり、スタジアムにはブラジルサポーターの激しいブーイングが鳴り響いた。
正GKのJ・セーザルはこの二試合の計10失点が響き、ワールドカップの通算12試合で総失点数が16となり、ブラジル代表のワールドカップでの最多失点 記録を更新した(前記録はタファレルの18試合で15失点)。オランダの1点目はブラジルのW杯通算100失点目となるありがたくないメモリアルゴールでもあった。
一方のオランダは終了間際に第三GKを途中出場させるなど余裕を見せ、ブラジルにとってはさらなる屈辱となった。オランダはこれで一大会を通じて登録された23人の選手の全員出場を達成し、これは登録人数が23人となったフランスW杯以降では初のことである。また、オランダはアルゼンチンとのPK戦での敗退(記録上は引き分け)も含めて無敗で大会を終えた。
関連動画
関連コミュニティ
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関連項目
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