コブ=ダグラス生産関数とは、経済学の言葉である。
概要
定義
コブ=ダグラス生産関数とは、すべての企業が利潤を最大限に追求していて規模に対して収穫一定の法則が成立し長期にわたって資本分配率と労働分配率が一定である国家において、生産技術と資本量と労働時間が実質GDPに影響を与える様子を示す関数のことである。
数式
①すべての企業が利潤を最大限に追求している、②規模に対して収穫一定の法則が成立している、③長期にわたって資本分配率と労働分配率が一定である、という3つの条件を持つ国家があるとする。そして、その国家は生産技術Aと資本量Kと労働時間Lを持っていて、資本分配率がα(0<α<1)で、労働分配率が1-α(0<1-α<1)であるとする。
その国家における資本限界生産力MPKは実質資本レンタル料R/Pに等しいのだが、次のように表される[1]。
その国家における労働限界生産力MPLは実質賃金W/Pに等しいのだが、次のように表される[2]。
エクセルやオープンオフィスといった表計算ソフトを使っている人が、B1のセルに生産技術A、B2のセルに資本量K、B3のセルに労働時間L、B4のセルに資本分配率α(0<α<1)を入れるとする。実質GDPは「=B1*B2^B4*B3^(1-B4)」で表示され、資本限界生産力MPKや実質資本レンタル料R/Pは「=B4*B1*B2^(B4-1)*B3^(1-B4)」で表示され、労働限界生産力MPLや実質賃金W/Pは「=(1-B4)*B1*B2^B4*B3^(-B4)」で表示される。
実質GDPや実質資本レンタル料や実質賃金の変化
コブ=ダグラス生産関数を適用できる国では次の現象が生まれる。
コブ=ダグラス生産関数に対する評価
コブ=ダグラス生産関数は、財・サービスの生産や、国民所得の資本と労働への分配を説明する唯一のものではないが、議論の良い出発点である[3]。
アメリカ合衆国では資本分配率が0.3程度で労働分配率が0.7程度の状態が1960年から2007年までずっと続いている[4]。このためアメリカ合衆国はコブ=ダグラス生産関数を適用しやすい国である。
コブ=ダグラス生産関数を作った人
コブ=ダグラス生産関数は、アメリカ合衆国の経済学者であるポール・ダグラスと、アメリカ合衆国の数学者であるチャールズ・コブの協力によって生まれた[5]。
1927年にポール・ダグラスが「国民所得が資本と労働に分配される比率は長期間にわたっておよそ一定である」「経済が繁栄していくとき、労働者の総所得と資本所有者の総所得はほぼ同率で成長する」といった事実に気づいた[6]。それからポール・ダグラスはチャールズ・コブと協働してコブ=ダグラス生産関数を作り出した。
関連項目
脚注
- *『マンキュー マクロ経済学Ⅰ 入門編 第4版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』84ページ、『マンキュー マクロ経済学Ⅰ 入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』80ページ
- *『マンキュー マクロ経済学Ⅰ 入門編 第4版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』84ページ。ちなみに『マンキュー マクロ経済学Ⅰ 入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』80ページの数式はLの指数が1-αとなっているがそれは誤植である。
- *『マンキュー マクロ経済学Ⅰ 入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』82ページ
- *『マンキュー マクロ経済学Ⅰ 入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』81~82ページ
- *『マンキュー マクロ経済学Ⅰ 入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』79ページ
- *『マンキュー マクロ経済学Ⅰ 入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』79ページ
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