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ワルファリンとは、血が固まるのを抑える「抗凝固薬」という医薬品の一種である。
概要
血液系疾患では非常にメジャーな薬の一つ。血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞、肺塞栓症、脳塞栓症など)の予防・治療に用いられる。
出血時や血流が滞った時に血液は固まって血栓を作ることがあり、このとき凝固因子という物質が必要となる。凝固因子はビタミンKを利用して肝臓で生合成される(つまり、ビタミンKは血液を固まりやすくする)のだが、ワルファリンはこのビタミンKの働きを抑える作用を持つ。これにより凝固因子の生合成が抑えられ、血液が固まりにくくなる。
このように、ワルファリンとビタミンKは互いの作用を打ち消し合う拮抗関係にある。そのため、ワルファリンを飲んでいる人がビタミンKを多く含む食事をとると作用が減弱し、血栓形成による塞栓のリスクが高まってしまう。日常生活で特に摂取を避けるべきは、納豆、クロレラ、青汁の3つ。そのほか緑黄色野菜や海藻類も注意が必要である。
逆にワルファリンが効きすぎると血が止まりにくくなり、大量出血のリスクが高まる。脳出血や失血が起これば最悪の場合死に至るので、ワルファリンの服用者は血液の固まりやすさ(PT-INR値)の検査を定期的に受け、ワルファリンの量を調節する必要がある。
効果は個人差が大きいので、検査後に薬の量が変わっても服用者の効き方に合わせた量に医師が調節しているだけだったりする。ワルファリンの量だけみて病気が悪化したとか良くなったとか短絡的に考えないように。
ワルファリンはネズミを出血させて殺す殺鼠剤としても利用されている。というか元々は腐った牧草を食べた牛が内出血を起こして死亡したことから、血を固まりにくくする「ジクマロール」という物質が発見され、これを殺鼠剤として応用するために効果を高めて開発されたのがワルファリンである。
こう聞くと恐ろしい薬のように思えるが、定期的に検査を受け、規則正しく服用して、食事のビタミンKを避ければ大量出血や血栓形成などの事態は避けられる。とはいえ服用中に血が止まりにくくなっているのは事実なので、歯磨き時の歯茎からの出血、ひげ剃りの切り傷からの出血、月経過多、青あざなど出血しやすくなっているサインを見逃さず、出血が続くようなときは医師に相談するのが無難である。
手術や抜歯などの予定があり、出血が避けられない場合は担当医にワルファリンを服用していることを伝えなければならない。これは他の抗凝固薬、抗血小板薬などでも同様である。
低分子ゆえに経口摂取でもよく吸収されるが、胎盤まで余裕で通過し、胎児に影響を与えるため妊婦は服用することができない。
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