以とは、漢字である。それ以上でもそれ以下でもない。
漢字として
㠯
- Unicode
- U+382F
- JIS X 0213
- 2-8-79
- 部首
- 己部
- 画数
- 5画
- 意味
-
多くの意味がある。
- 時間、場所の起点を表す。~より
- 率いる
- (用・庸と通じて)~を用いて、~をもって
- (因に通じて)~のために
- (為・謂と通じて)思う、おもんみるに
- (与と通じて)~と、ともに
- (巳と通じて)やむ
- (已と通じて)すでに、はなはだ、のみ
- ゆえに
- 字形
- 諸説ある。
- 以・㠯は、已と同じ字を起源とする字である。その起源となった字については、人が物を携えるところの象形(の略体)説、厶と似ていることから耜の象形説などがある。卜文では率いる意味で使われる。
- 〔説文〕は「反巳に從ふ」とある。つまり巳を反転させた字としている。また賈侍中の説として「已意、已の實なり。象形」と、薏苡という植物の実の象形説を紹介している。
- 音訓
- 音読みは、イ(漢音、呉音)、訓読みは、もって、おもう、ともに、ひきいる、ゆえ。名のりに、これ・さね・しげ、などがある。
- 規格・区分
- 常用漢字であり、小学校4年で習う教育漢字である。JIS X 0213第一水準。
- 1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。
- 声符
- 以(㠯)を声符とする漢字には、似(佀)、姒、苡(苢)などがある。
- 語彙
- 以為・以遠・以往・以下・以外・以還・以後・以降・以上・以心伝心・以西・以前・以東・以内・以南・以聞・以北・以来
異体字
解釈の違いについて
この漢字を用いた熟語、とくに時間や場所や範囲を表す意味で用いられる場合、起点となる物事を含むか含まないか、人によって解釈がわかれる場合がある。
代表的な熟語は以上や以下だ。
数学や物理のような数値を扱う分野で『以』という漢字を含む熟語は、明確に起点となる部分を含んだ意味で用いられる。
ただし、文学的に、ないし文章の中で使われる場合には話が変わってくる。多くの場合、その起点を含むかどうかで意味が変わらないため、曖昧であることがほとんどだ。しかし『それ以上でもそれ以下でもない』、『以下の通り』、『友達以上恋人未満』など起点を含んでいると意味が通じない、あるいは、発言の意図と異なる理解が成される表現が存在し、くわえて『以外』など、その起点を含むと考えられない単語も存在する。
以上の内容から、数字を含む内容では起点も数にいれる。それ以外の分野では起点を入れずに最初は考えて、意味が通らなければ起点も含めて文意を解釈するのが望ましいだろう。
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