墾田永年私財法とは、743年(天平15年、奈良時代は聖武天皇の治世)に制定された、
天皇直々に下した法令(勅という)である。
概要
奈良時代、日本は中国の唐を手本に、王(つまり天皇)を頂点として一律に農民に田畑を与え、代わりに租税・労役・兵役の義務を負わせる律令制をとっていた。しかしながらこれらの税は農民にとって生活の大きな負担であり、新しい土地を広げる意欲を失わせるものであった。そして土地が広がらず、田畑の状況が改善しないことは朝廷にとっても大きな問題であった。
そこで先んじて723年に「三世一身法」を制定。許可を得て開墾した土地はその後三代にいたるまで免税とした。しかしそれでも新たな土地の開拓は伸び悩んだため、20年後となる743年に、新規の開拓地を永久に免税するこの法令がくだされた。この法令によって地方豪族や貴族、寺社などが、支配下においた農民を利用して私有地を拡大し、権力を持つようになったことで、律令体制が崩壊する原因となったと考えられている。
もともとこうした墾田の開発には面積の制限のほか、開発の許可を得なければならないとされていたが、墾田の開発は過熱し、765年にはに歯止めを掛けるため一度禁止されたが、772年には改めて発布され、制限などもなくなった。
なお、三世一身法からわずか20年しか経過していないため、その内容を強化したこの法律は、農民の耕作意欲が三世一身法により向上しなかったという表向きの理由よりもむしろ、私有地の拡大を図りたい貴族側からの反発や圧力などがあったのではないかと考えられている。
また、内容とは関係ないが、リズムが良いため「内容は覚えていないが単語は覚えている日本史の用語」としてしばしば挙げられる。
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