ぶちころがすとは、
のいずれかである。
「ころがす」の強調という意味合いで使われていると思しき用例は、以下のように1980年代から存在している。
1981年に自費出版された、「徳本他人」氏による郷土史本『棯畑史』に以下のような記述があるようだ。
馬は年のうち何度か気がたって、農耕に使用できない状態があるので、春と秋に血取場に馬を集め、伯楽が来て(獣医)三菱針という大きな三角近い菱形をした針を馬の上唇に突指して血を取るのである。そうすると、急性貧血を起して荒さが減り、農耕に使えるようになる。この作業は裸馬に乗り、口を馬の首根(こうね)の方にウンと引付け、口とは反対側に飛びおりるが早いか、綱を引張って横にぶちころがすのである。別の一人は前脚を縄で括って吊上げ、一人は馬の頭を押えつけその間に伯楽は、三菱針を上唇につき刺して血を抜く。
なかなか荒っぽいね……。
続いて、雑誌『新劇』の1983年1月号に掲載された、劇作家「つかこうへい」氏による『テレビシナリオ つか版・忠臣蔵』からの引用。
怒りが天を突く近松。無抵抗の其角を力まかせになぐりつけ蹴り上げ投げ飛ばしぶちころがす。其角はされるがままに転がりまわる。
ここで人形浄瑠璃や歌舞伎の作家である「近松門左衛門」にぶちころがされているのは、俳諧師の「宝井其角」。
このように、1980年代から使われている例はあったようだ。これ以前の例は「国立国会図書館デジタルコレクション」や「Google books」を用いた検索では探し出すことはできなかった。
「打ち転がす」という言葉は少なくとも明治時代から使われているようなのだが、これは「うちころがす」と読むのか「ぶちころがす」と読むのか個別に断定できないのでノーカンとする。
まず、「ぶちころす」という言葉がある。漢字で書くと「打ち殺す」。これは文字通り「打って」(ぶって)「殺す」という意味だが、単に「殺す」の強調表現でもある。「ぶちころす」をさらに砕けた表現として「ぶっころす」というものもある。
また「ぶちころす」にも「ぶっころす」にも、実際に「殺す」という意味だけではなく、「ぶん殴る」「ボコボコにする」「やっつける」をオーバーに言った言葉……という意味合いもある。
よって「ぶちころす!」「ぶっころす!」「ぶちころしてやる!」「ぶっころしてやる!」という言葉は日本人が(殺人を伴わない)喧嘩・争いをする際にも使うことがある表現であり、また喧嘩・争いの様子を描いた創作物などでも使用されうる言葉なのである。
だが、「殺す(ころす)」という直接的な言葉を使うのは物騒だし、ちょっと品が無い。あと「殺す」という物騒な表現を規制する出版社やウェブサービスもあるかもしれない。というわけで言い換え語として、「ぶちころがす」と言う表現が用いられるわけである。なんとなくユーモラスな響きで「やわらかみ」も感じられるだろう?
ちなみに、いつ頃から使用されている言葉なのかは今一つ判然としない。
Google検索で日付指定などをして探すと
、大手インターネット掲示板サイト「2ちゃんねる」の「懐かし漫画」板のスレッドにて2006年11月9日に「あ?てめぇふざけてっとぶちころがすぞ? 」という言葉が使用されているものが初期の例として見つかる。
また、「2ちゃんねる」のスレッドタイトルを検索できるサービス「かころぐβ」にて検索すると、2006年4月に「ニュー速VIP」板にて2回スレッドタイトルに用いられていたこともわかる。
よって少なくとも2006年以前からは使われていたのではないかと思われる。
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/06(土) 16:00
最終更新:2025/12/06(土) 16:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。