エジレイオプティカ(Edgley EA-7 Optica)とは、英国生まれの変な軽飛行機である。
突然ですがお題です。
「ヘリコプターの代用品になる飛行機(固定翼機)のアイデア募集」
こんなお題を出されたら、どう答えればいいだろうか。
ヘリの特技である垂直離着陸を再現するために、VTOL機能を持たせる?
それともヘリの花型と言える偵察・観測業務を重視し、低速で飛行できてしかも見晴らしがいいキャビンを持つ機体にする?
ジョン・エジレイが出した答えは、後者である。
「低速での飛行が可能で、しかも広い視界を持つ軽飛行機、それもできるだけ安価な機体」。
それをイギリスなりに真面目に追求したらこうなった。ああ、いつもの英国面ですねわかります。
機体はアルミニウム合金製。
主翼は直線翼となっている。
尾翼は双ブーム方式(機体後方に伸びる2本の梁で尾翼を支える)で支持される、アーチ型のものとなっている。
キャビンはOH-6などの小型ヘリコプターに似た、全周ガラス張りの広い視界を持つもの。その外観から「バグ・アイ(虫の眼)」の異名を持つ。
キャビン後方に位置する推進器。形状から一見、小型の高バイパス比ターボファンエンジンと思ってしまうかもしれないが、こいつの正体はライカミング製のレシプロエンジンで駆動されるダクテッドファン(プロペラを筒の中に入れた推進装置)である。エンジン出力は試作機が150馬力、量産機が200馬力となっている。
巡航速度は130km/h・失速速度は108km/hと低速向けに設定され、地上を観測し易い性能としてある。
降着装置は固定式(引き込みできない)。
エジレイオプティカは多少奇妙な運命をたどった機体でもある。
1983年に形式認証が通り、1985年2月に生産が開始された。この当時に生産していたのはブルックランド・エアロスペース社である。
しかし同年5月、警察が保有するオプティカ(機体番号:G-KATY)が墜落事故を起こし、登場していた警官2名が殉職してしまう。(原因は旋回による速度不足と推測されている)
ここまでなら単なる航空事故として片付けられてしまいそうだが…機体が墜落に至った原因は何故か解明されなかった。
さらにこの事故が原因で設計者であるジョン・エジレイは破産。
しかしオプティカの生産を続けるために「オプティカ・インダストリーズ社」を設立。
…ところが今度はオプティカ・インダストリーズの工場が何者かに放火され、飛行中の1機を除いた生産中の機体すべてが工場ごと焼失してしまう。
なお、オプティカ・インダストリーズはこの後ブルックランド社の傘下となり、同社が1990年に破産するまで本機の生産を続けた。
なお、ジョン・エジレイ氏はオプティカを再生産する気満々らしい。
時をさかのぼって第二次世界大戦の時代の話になる。
当時、ドイツのブローム・ウント・フォス社がある偵察機を、ドイツ航空省の要望に答えるために提案した。
乗員が登場するのは機体の片側にオフセットされた全面ガラス張りのキャビン。
何より一度見たら忘れられない、左右非対称の機体。
そう、Bv141である。
という偵察機の要望に答えるために設計された機体である。
…。
この機体のコンセプト、何かに似ていないだろうか。
そう、Bv141の方向性はエジレイオプティカに酷似している。
片や軍用の偵察機、片や民間向けの小型観測機という違いこそあれど、目指している方向は似通っている。
ある意味エジレイオプティカは、Bv141の生まれ変わりと言える存在かも知れない。
掲示板
1 ななしのよっしん
2014/10/30(木) 01:10:00 ID: nBP57EHkmT
読み:シンシノケイヒコウキ
(変態)紳士の軽飛行機ですねわかります
2 ななしのよっしん
2015/10/05(月) 23:52:04 ID: PQMFaf5qxN
見た目もかっとビングなオプティカだけど
・プロペラは実は木製
・燃料タンクは座席の下
・こんなぶっ飛んだ見た目にもかかわらずメンテナンス性は良好(特殊な工具は使わなくていいなど)
…とまあ、その他の部分まで変態紳士度全開の色んな意味でのツワモノだそうで。
3 ななしのよっしん
2016/08/11(木) 13:27:40 ID: P4FN33YsAw
見た目安いし乗りやすそうだし、日本の山間部あたりには需要ありそう
普通に一機欲しい
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最終更新:2025/12/22(月) 07:00
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