エリート主義 単語

エリートシュギ

2.5千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

エリート主義英:elitism エリーティズム)とは、思想の1つである。選良義とか精鋭義とも表記する。

反対の言葉はポピュリズムである。類似の言葉は貴族主義貴族制である。

概要

定義

エリート主義とは、「エリート(優秀な人物)は社会の発展の原動になり、非エリート(優秀ではない人物)は社会の発展の原動にならない」という確信を抱きつつ、エリート財産や権を多く与えて非エリート財産や権を少なく与える状態を肯定する思想である。

ここでいうエリートとは、筆記試験などで自らの優秀さを明した者のことである。

性質

エリート主義を支持する者は、大衆の知性の低さを問題視する傾向があり、衆愚政治を警する傾向がある。「愚かな大衆に政治を任せられない」「馬鹿な大衆は政治に関わる資格がない」と言い放って大衆の発言権を剥奪し、「エリート政治を任すべきだ」「賢いエリート政治に関わる資格がある」と言ってエリートに発言権を集中させるというのが、エリート主義の支持者の傾向である。

貴族主義との比較

エリート主義と貴族主義は、一部の点で異なっているが、多くの点で共通している。

エリート主義は、「筆記試験などで自らの優秀さを明したエリート財産や権を与えるべき」という思想である。一方で貴族主義は「世襲貴族財産や権を与えるべき」という思想である。

世襲貴族の中には、筆記試験で自らの優秀さを明できる者もいるが、筆記試験で自らの優秀さを明できない者がいる。しかし世襲貴族は、ほとんどの場合において「育ちが良くて上品で優な振る舞いをする」「おっとりとした明るい性格である」といった特徴を持つ。

「育ちが良くて上品で優な振る舞いをする」「おっとりとした明るい性格である」といった特徴を一種のとすれば、「世襲貴族は高い恵まれている優秀な人々」ということになり、貴族主義は一種のエリート主義ということになる。

親和性が高い思想

新自由主義市場原理主義という経済思想がある。この思想を支持する者は所得税累進課税弱体化させてエリートの可処分所得を増やす政策を支持する傾向がある。

成果主義能力主義という経営思想がある。これらの思想を一言で言うと、成果を出せなかったりが低かったりする者の給与を減らし、成果を出したりが高かったりする者の給与を増やそうというものである。この中の「成果を出せなかったりが低かったりする者」を「非エリート」に置き換え、「成果を出したりが高かったりする者」を「エリート」に置き換えると、エリート主義になる。

働かざる者食うべからず」という思想がある。この思想は「ロクな働きができない者は給与を減らしてよく、覚ましい働きができる者は給与を増やして良い」という考えを導くものである。この中の「ロクな働きができない者」を「非エリート」に置き換え、「覚ましい働きができる者」を「エリート」に置き換えると、エリート主義になる。

自由及び権利には責任及び義務が伴う」という思想がある。この思想は「実が低くて責任及び義務を果たせない者は自由及び権利を行使すべきではなく、実が高くて責任及び義務を果たせる者が自由及び権利を行使すべきである」という考えを導くものである。この中の「実が低くて責任及び義務を果たせない者」を「非エリート」に置き換え、「実が高くて責任及び義務を果たせる者」を「エリート」に置き換えると、エリート主義になる。

租税財源説という税制思想がある。「政府は、支出をまかなう財として租税を徴収している」と考える思想であるが、「政府の支出の全体像についてよく知らない者は租税に関する議論に参加すべきではなく、政府の支出の全体像をよく知っている者のみが租税に関する議論に参加すべきである」という考えを導きやすい思想である。そして「政府の支出の全体像についてよく知らない者」を「非エリート」に置き換え、「政府の支出の全体像についてよく知っている者」を「エリート」に置き換えると、エリート主義になる。

優生学優生思想という思想がある。「無能を死なせてしまえ、有能を生き残らせろ」という思想である。エリート主義を極端にすると優生学になるので、エリート主義は優生学の入り口ということができる。

親和性が高い書物

自助論』という書物がある。自助をすることができず他人の助けをめてばかりの人を軽蔑し、自助をしっかり行って他人の助けをめない人を尊敬する著者が書いた書物である。この中の「自助をすることができず他人の助けをめてばかりの人」は「非エリート」に置き換えることができるし、「自助をしっかり行って他人の助けをめない人」は「エリート」に置き換えることができるので、『自助論』はエリートを礼賛する書物である。『自助論』ではエリートが出世していく姿を繰り返し紹介しているが、非エリートが出世する姿を全く紹介していない。このため『自助論』を熟読する者はエリート主義に傾倒することが多い。

親和性が高い社会形態・社会制度

格差社会階級社会といった社会形態は、エリート主義との親和性が高い。

制限選挙不平等選挙といった選挙制度は、エリート主義との親和性が高い。

親和性が高い団体

カルト宗教団体は、エリート主義を体現する存在である。

カルト宗教団体は、①「人々の生命・身体・自由に危を加える悪がすぐそこに存在する」と言って不安を煽って困惑させ、②「そうした悪を回避する運命を与えることができるのは教団導者だけである」と言って導者に対して心酔させ、③「教団導者が悪を回避する運命を与えることを助けるため寄附をしよう」と言って寄附信者から巻き上げる存在である。

「高いを持つ優秀な導者に寄附が集まるようにして、優秀な導者が教団を引っっていくようにしよう」というをするのがカルト宗教団体に広く共通する性質である。「高いを持つ優秀な導者」を「エリート」に置き換えると、エリート主義になる。

関連リンク

関連項目

この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
壱百満天原サロメ[単語]

提供: うごくみそ汁

もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2024/04/25(木) 02:00

ほめられた記事

最終更新:2024/04/25(木) 02:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP