カルトとは、以下のものを指す。
本項では1.および2.について記述する。
カルト (Cult) とは英語であり、本来は「崇拝」「祭儀」を意味し、否定的な単語ではない。しかし後に社会学用語として上記の1.という否定的な意味が付け加えられ、そちらが広く流布した。
次の1.と2.の性質を両方とも持っていて自作自演とかマッチポンプと評価されるような行動をとり続ける宗教団体や思想団体は、カルト団体と見なされることが多い。
1.の中の「困惑」とは法律用語であり、消費者契約法第4条や不当寄附勧誘防止法第4条に出てくる文言であって、合理的な判断ができない心理状態のことを指す[1]。
1.の中の「意思決定の自由」は、日本国憲法第13条で保障される自己決定権の一部であるので、1.は日本国憲法第13条を破る行為であり、重大な人権侵害である。また、思想・良心の自由に関して広義説(内心説)を採用する場合、意思決定の自由は思想・良心の自由の一部になるので、1.は日本国憲法第19条を破る行為にもなる。
刑法第222条で脅迫罪が規定されており、一般人が畏怖するような表現でもって害悪の告知をして相手の「意思決定の自由」を侵害することを取り締まる条文になっている。1.は害悪の告知をしていないので脅迫罪に該当しないが、しかし、脅迫罪によく似た行為である。
他者に危害を加える意図を持っている人に対して不安や恐怖を煽って困惑させて「意思決定の自由」を侵害するような表現を投げかけることは、他者加害原理に基づく基本的人権の制限であり、ある程度認められることである。そういうことは「穏健な宗教団体」や「穏健な思想団体」も行っており、「人の物を盗むと地獄に落ちる」「ゴミを不法投棄すると地球が壊れる」などと宣告している。
カルト団体は、他者に危害を加える意図を持っていない人を含む全ての人に対して不安や恐怖を煽って困惑させて「意思決定の自由」を侵害するような表現を投げかけており、他者加害原理に基づかず基本的人権の制限をしており、非常に容認されにくいことをしている。
カルト団体は様々な技法で1.を実行している。例えば統一教会は「世の中には様々なところにサタンが潜んでいる」という具合に不安を煽るし、エホバの証人は「ハルマゲドンが起こって、信者以外が全員死ぬ」と語って不安を煽るし、創価学会は信者に入信前の不安だった時期のことを涙ながらに語らせて聞く人の不安を煽るし、幸福の科学は「死後の世界に存在する偉人の霊言」を繰り返し語って信者に「死」を意識させて不安を煽る。
カルト団体が行う1.は疑心暗鬼型と自信破壊型に大別でき、さらに疑心暗鬼型は「現在への疑心暗鬼型」と「将来への疑心暗鬼型」に分けられる。表にすると次のようになる。
技法 | 得意とする団体 | |
現在への疑心暗鬼型 | 「世の中には様々なところにサタンが潜んでいる」と言う | 統一教会、エホバの証人 |
「何十億という精が世の中の様々なところに潜んでいて、現在の地球人に害を与えている」と言う | サイエントロジー | |
将来への疑心暗鬼型 | 「ハルマゲドンが起こって、信者以外の全員が死ぬ」と言う | オウム真理教、エホバの証人 |
「日本は滅ぶ」「中国が攻めてくる」と言う | 顕正会 | |
「日本は滅ぶ」と言う | 法の華三法行 | |
「火の洗礼が起こり、大災害が頻発する」と言う | 崇教眞光 | |
「すべての生物は死後に地獄へ落ちる」と言う | 浄土真宗親鸞会 | |
「かつて教団は攻撃された」と言って、信者の心に「これから教団が攻撃されるかもしれない」という疑念を持たせる | モルモン教 | |
自信破壊型 | 入信前の不安だった時期のことを信者に涙ながらに語らせ、それを聞く信者に「不安」を意識させる | 創価学会 |
「死後の世界に存在する偉人の霊言」を語り、それを聞く信者に「死」を意識させる | 幸福の科学 | |
性行為を賞賛して信者同士が性行為をするように誘導し、信者の名誉とプライバシーを破壊し、信者を弱気にさせる | ファミリー・インターナショナル |
現在に対する疑心暗鬼型は、「あなたの生命・身体・自由・財産・名誉に害を加える者がいる」と通告するものである。
将来に対する疑心暗鬼型は、「あなたの生命・身体・自由・財産・名誉に害を加える者が将来現れるだろう」と予言するものである。
自信喪失型は、相手に「自分の生命・身体・自由・財産・名誉がすでに弱体化している」と意識させるものである。
ちなみに刑法第222条で禁じられている脅迫罪は「わたしはあなたの生命・身体・自由・財産・名誉に害を加えるつもりである」と述べて害悪の告知をするものである。
疑心暗鬼型の1.を行うカルト団体の構成員は、「自分の属する団体の構成員だけが隠された真実を知っている」という選民意識を持つようになり、「自分の属する団体の構成員以外の人々はみんな馬鹿である」というような優越感を持つようになり、満足感と幸福感に酔いしれることになる。つまり陰謀論の支持者と同じような心理状態になっている。
2.は、不安や恐怖に苦しむ人に寄り添って励ます行動の1つである。
1.と2.を両方とも行う団体をカルト団体という。1.だけ行って2.を行わない団体というと、「一般人が恐怖に震え上がるような事柄を研究する学術団体」が例に挙げられるが、そういう団体はカルト団体と扱われない。1.を行わず2.だけを行う団体は「穏健な宗教団体」とか「穏健な思想団体」と呼ばれることが多い。
1.と2.が同時発生するようになるとマインドコントロールと呼ばれる状態になる。このため「カルト団体は、内部でマインドコントロールが行われている団体である」と定義してもよい。
カルト団体は1.を行ってから2.に取りかかっており、人々の不安を煽ってから「あなたの不安を解消します」と宣言して人々の前に出現することを繰り返している。このため「カルト団体は、自作自演とかマッチポンプと評価されるような行動をとり続ける団体である」と定義してもよい。
カルト団体には次のような性質がある。
カルト団体の構成員は不安と恐怖にさいなまれている人が多い。そういう人は「自分以外の構成員も不安と恐怖で震えているだろうから、そういう人に寄り添って励まそう」という意識が強く、自分以外の構成員に対して積極的に距離を詰めてコミュニケーションを図ろうとする傾向が強い。
このためカルト団体は構成員同士の心理的な距離感が近く、助け合いとか相互扶助の気運が強く、ある意味で世話好きな構成員が多い。
カルト団体は不安と恐怖にさいなまれている人にとって居心地のいい場所である。このため、ある人がカルト団体Aを脱退したとしても、カルト団体以外の世間において「距離を詰めてくる世話好きな人」に出会うことができずに寂しさを感じてしまい、もとのカルト団体Aに復帰したり、他のカルト団体Bに所属したりする例が見られる。
カルト団体の構成員は世話好きなのだが、その反面として、日本国憲法第13条で保障されているプライバシー権に対する配慮に乏しく、相手の個人情報を根掘り葉掘り聞き出してそれを周囲に噂として流すことを平気で行う傾向がある。
カルト団体には次のような性質がある。
カルト団体の構成員は、自分が所属する団体に対して「自分が所属する団体は不安や恐怖から自分を守っている」と確信して深く感謝していることが多い。
そういう心理状態の人は、「自分が所属する団体が巨大になれば、自分と同じ境遇のものが不安や恐怖から救われることになり、自分はその人に深く感謝されるだろう」と予測しており、自分が所属する団体を巨大化させることについて極めて熱心に参加する傾向が強い。
カルト団体は構成員がそうした心理状態になっていることをよく知っており、自分たちを巨大化させるための労働を構成員に対して無償で大量に課す傾向がある。そうした無償労働の1つには勧誘行動も含まれる。
カルト団体の構成員は、人通りの多い駅前に立って勧誘したり、家庭を訪問して勧誘したりする。さらには、旧友を電話などで誘い出してレストランなどに連れ込み、1人の相手に対して複数の構成員を割り当て、数的優位を作り上げて相手を弱気にさせて強引に勧誘するという悪質な行動をとることもある。
労働の分野で使われる用語を使って表現すると次のようになる。カルト団体は構成員に対して「団体を巨大化させれば深く感謝されるだろう」と確信させており、構成員に対して内発的動機付けを強力に掛けつつ団体を巨大化させるための労働を大量に課しており、構成員の労働を無償で享受するやりがい搾取に手を染めている傾向が強い。
カルト団体には次のような性質がある。
カルト団体の構成員は不安と恐怖に駆られていて困惑しており、判断能力が低くなっている。そのため団体の指導者のことが非常に大きく見える錯覚の状態になっており、団体の指導者を過度に尊敬して崇拝する心理状態になっている。カルト団体においては、指導者を過度に尊崇する心理が集積し、指導者を頂点とするピラミッド型の階級社会が発生することが常となっている。
カルト団体の構成員は、団体の指導者を過剰に尊崇することを重視しており、それを邪魔するような人に対する威圧を盛んに行う。団体の中で指導者に反論するような者に対して威圧して沈黙させ、指導者の意見を絶対視する雰囲気を作り出すことを好む。そのためカルト団体は軍隊のような上意下達(じょういかたつ)の組織になることが常である。軍隊という組織は上司の言うことが絶対とされ、部下が上司に反発することを厳しく否定する組織であり[2]、上意下達の組織の典型例である。
カルト団体は、次に挙げる性質のうち6.を必ず持ち、7.と8.を持つことがあり、批判者に対する攻撃をする傾向が見られる。
カルト団体の構成員は、団体の指導者を批判する者に対し、「自らの尊崇対象を傷つける加害者」と認定し、憎悪感情と非難感情を強く抱く。そして報復感情や復讐感情を抱き、被害者意識に基づいた執拗な攻撃を行う。
7.を行うカルト団体というと、創価学会・幸福の科学・統一教会・顕正会が有名である。
8.を行うカルト団体というと、エホバの証人・統一教会が有名である。
カルト団体には次のような性質がある。
カルト団体の構成員は不安と恐怖に駆られていて困惑しており、判断能力が低くなっている。そのため「強い筋力を持っていて不安と恐怖を打ち払ってくれる存在」のことが非常に大きく見える錯覚の状態になっており、「強い筋力を持っていて不安と恐怖を打ち払ってくれる存在」を過度に尊敬して崇拝する心理状態になっている。
カルト団体においては、「男性は強い筋力を持っていて不安と恐怖を打ち払ってくれる存在である」とみなす風潮が広がっており、「女性は一歩引いて男性に譲れ」などという指示がしばしば飛び交っており、男尊女卑の気風が広がっている。カルト団体には、男性が幹部に出世しやすくて女性が幹部に出世しにくいといった傾向が見られる。
男尊女卑のカルト団体というとエホバの証人が有名である。そして、それ以外のカルト団体も程度の差があるものの男尊女卑の要素を総じて持ちあわせている。
一部のカルト団体には次のような性質が見られる。
10.の性質を持たないカルト団体が存在する。たとえば、エホバの証人はカルト団体と見られることが多いが、10.を極めて熱心に行っているわけではない。
また、これらの性質を持つだけでカルト団体と断定することはできない。「宗教・思想を奉じていない詐欺師集団」が霊感商法をすることがあるが、そうした詐欺師集団をカルト団体と呼ぶのはふさわしくない。「宗教・思想を奉じていない暴力団」が暴力的な反社会行動をすることがあるが、そうした暴力団をカルト団体と呼ぶのはふさわしくない。
ここでは一般的にカルトとされる団体の名前を挙げる。順番はあいうえお順である。
1.の意味を持つカルト団体がマインドコントロールをして人を加入させた場合、その人の身内や友人は「何とかしてあの人のマインドコントロールを解いてカルト団体から脱退させたい」と考えることになる。
カルト団体のマインドコントロールは巧妙であるから、構成員に掛けられたマインドコントロールを解くのは難しい。しかし、全く不可能ではないから、本項目でその方法のいくつかを指摘しておきたい。
カルト団体は、「あなたに襲いかかってくる危機は極めて深刻で、あなたは回避できない」などと語りかけ、「人に襲いかかってくる危機」というものを過大に表現して不安や恐怖を目一杯煽り、マインドコントロールの出発点にしている。
そのため、カルト団体の構成員のマインドコントロールを解くには、その人に向かって「人に襲いかかってくる危機」が小さいことを強調することを根気よく繰り返すことが必要になる。そして、「人に襲いかかってくる危機」が小さいことを伝えるには2つほどの方法がある。
①「世の中には運がいい人がいて、危ないこともサクッと簡単に回避してしまう」などのように「運のいい人」「幸運な人」のことを話題にして、「人に襲いかかってくる危機」が小さいことを強調するという方法があり、有力である。
②「歴史を振り返ってみると、ものすごく強大な帝国があっという間に弱くなったことがある。ローマ帝国もモンゴル帝国も大英帝国も急激に弱くなった」といったように語り、強大な存在が一気に弱くなる可能性を認識させ、強大に見える「人に襲いかかってくる危機」が一気に弱くなる可能性を悟らせる、という方法もある。ただし、この方法が通用するのは歴史の話をある程度理解できるインテリな人のみに限定される。
サブカルチャーにおいて、少数の熱狂的なファン・信者を持つ映画・文学・音楽・漫画・アニメなどの作品に対して「カルト」と表現する事が多い。
「カルト映画」「カルトアニメ」「カルトミュージック」「カルトゲーム」などその例は幅広く、よく頭に「知る人ぞ知る」という形容がつく。アメリカ等の欧米で「カルト的人気を博す」と評されたとき、こちらが当てはまる。
商業的に失敗しても熱烈なファンによる支持が後押しし、思いがけない評価を受ける場合もある。同名のミュージカルを題材とした1975年の映画『ロッキー・ホラー・ショー』はその最たる例で、今でいうところの応援上映によって観客は大いに盛り上がり、当時は社会現象にまでなった。これにより、現在では世界初のカルト映画と呼ばれて広く支持されている。
こういった作品を好んで制作するクリエイターは、往々にしてファンにとって崇拝の対象となる。映画監督のデヴィッド・リンチ(『ブルーベルベット』『ツイン・ピークス』)、アレハンドロ・ホドロフスキー(『エル・トポ』『ホーリー・マウンテン』)などは良い例だろう。
掲示板
860 ななしのよっしん
2024/01/06(土) 22:21:59 ID: 23wfHZkvBJ
>>859
その人が持つ社会的影響力を利用するために教団が広告塔にしていくからよく目立つってだけのことなのよね
861 ななしのよっしん
2024/01/14(日) 09:12:30 ID: 2lwIg6/hGQ
>>859 トットちゃんとかでも権力者による扇動に打ち勝つには、教養と裕福さという地盤の強さが必要であるが逆に言うと、貧困で教養が無いと簡単に扇動されてしまうってのは示されてるしな…
862 ななしのよっしん
2024/02/01(木) 09:19:52 ID: OfoUpFkVAL
>>859 カルトに引っかかったり、自分が教祖になったりするのは高学歴でも挫折を抱えた人間が多いよ
高校時代までは地域の成績上位であれば褒められるのだが、いざ受験して都市部の大学行ってみると座学だけじゃなくスポーツや芸術も得意で、美男美女で友達も多い奴がゴロゴロいるし、クラスとか班とかで自動的に知人が出来ることもないので余計に孤独。
しょせん受験はスタートラインよな
急上昇ワード改
最終更新:2024/03/19(火) 18:00
最終更新:2024/03/19(火) 18:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。