ジロ・デ・イタリアとは、自転車ロードレース界三大レースであるグランツールの開幕戦である。
1909年に第1回大会が開催。以後毎年5月にイタリア全土を舞台に行われる伝統のロードレースであり、約3週間に渡りレーサー達による一足暑い夏が国内中に張り巡らされる。主催はイタリアのスポーツ紙『ガゼッタ・デロ・スポルト』等を発行するメディアグループ・RCSの関連会社であるRCSスポルト社。
本来はジロ・ディターリアの方が発音的には近いらしいが日本人にディの発音が難しいのと、イタリアがどこかへと消えてしまうのでジロ・デ・イタリアの表記が多い。略称はジロ。
ちなみにジロを身も蓋もなく和訳すると「一周」という意味にしかならない。実際にイタリア・ロンバルディア地方を周回するワンデーレースにジロ・デ・ロンバルディアという物があったりする。でもジロと言ったらジロ・デ・イタリアを指すのが基本。
とか言われ、ツール同様に21ステージ、約3500kmを走破する肉体、精神ともに消耗が激しいレース。日本人にはツールしか有名ではないが、イタリア人にとってはツールの栄光より重要視されるのがこのジロ。実際ウィナーを見るとほとんどがイタリア人で埋まっている。
こんな事になっている理由の一つは「ジロに出るとツールドフランスまでに回復できない」からである。ランス・アームストロングが負担の多いジロを出走回避し、ツールへ全勢力を集中させるというスタイルを生み出すと、多くのトップライダーがそれに追随し、ジロを最重要視するイタリア人ばかり出るみたいな感じになってしまったからである。そのためか、ジロとツールのダブルツールを達成した選手は1998年のマルコ・パンターニ以来途切れている。
もう一つの理由はコース設定の異常さ。
というこれは酷いと言うしかないステージが存在する。ちなみに13度の坂、普通の人間は押す。
他にも雪交じりの中を走る、道路が冠水、団体戦だけどずっと上り、スプリントステージだけどゴール前に急カーブ多発、ゴール近辺だけ若干上りでスプリンターが本来の力を発揮できない。などなどとにかくコースがいじめとしか思えない。
世界最大であるツールに対抗して世界最高と言われるが、たぶんこの最高はコースのドS度、選手のドM度最高って事だろう。同じようにグランツール3戦目のブエルタ・ア・エスパーニャも24%の激坂があったりするけど、コース全長が短い事もあってジロほどドSという訳ではない。
そんなわけでジロを走る→世界で一番注目を浴びるツールで惨敗→ブーイングという図式が出来つつあるので余計イタリア人以外は走りたく無くなるのである。09ジロを制したデニス・メンショフは同年のツールで初日にファビアン・カンチェラーラにぶち抜かれる→チームタイムトライアルで落車して心も体もタイムもボロボロ→その後一日二度落車する→全く活躍できないままゴール。という酷い仕打ちを受けている。
ちなみにグランツールの日本人最上位(3位)を新城幸也が2010年の第5ステージで記録している。
創設から79年後の1988年に女子選手への門戸が解放され、ジロ・デ・イタリア・フェミニーレの名称で第1回大会が開催された。以後2012年までこの名称が用いられ、翌年から2020年までジロ・デ・イタリア・ローザ、2021年から2023年まではジロ・デ・イタリア・ドンネの名称変更を経て2024年に現在の大会名となった。
現在は女子グランツールの一つとしてカウントされており、2015年創設のラ・ブエルタ・フェミニーナやツール・ド・フランス・ファムと共に女子ロードレースの主要大会として位置付けされている。
男子ジロから約2か月後の7月に行われ、8日間で約940kmを走破。獲得標高も約1万4000mと男子に引けを取らない過酷レースとなっている。
なお開催時期は男子ツール・ド・フランスと大会日程が被っている事もあって、ロードレースの中では注目度がやや薄い。日本国内でもJ Sportsによる中継が無いのも仕方なしか。
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最終更新:2025/12/12(金) 02:00
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