セフカペンピボキシル 単語

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セフカペンピボキシル

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医学記事 ニコニコ大百科:医学記事
※ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。

セフカペンピボキシル(Cefcapene pivoxil)とは、経口のセフェム系抗生物質である。先発医薬品名はフロモックス®(Flomox®)。略称はCFPN-PI。

概要

有機化合物
セフカペン
セフカペン
基本情報
英名 Cefcapene
略称 CFPN
化学 C17H19N5O6S2
分子量 453.49
化合物テンプレート

セフカペンピボキシルは、第3世代セフェム系抗生物質であるセフカペンの誘導体で、経口での吸収率を上げるためピボキシル基が付加されている。1997年4月、フロモックス®の名で製造販売が承認された。剤形は錠剤のほか、小児や嚥下困難者用の細粒剤がある。セフカペンピボキシルには苦味があるため、フロモックス®錠剤にはフィルムコーティングが施され、細粒剤には甘味料が添加されている。

多くのβ-ラクタマーゼ(耐性菌が産生するβ-ラクタム抗生物質を失活させる酵素)に対し安定[1]で、MSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)や炎球菌などのグラム陽性菌だけでなく、大腸菌などのグラム陰性菌にも強い抗菌作用を示す。適応症は、表在性/深在性皮膚感染症リンパ管・リンパ節炎、咽頭・喉頭炎、炎、急性気管支炎炎、膀胱炎、腎盂腎炎、中炎、副腔炎など。

セフェム系抗生物質に共通する副作用として、偽膜性大腸炎がある。抗菌薬の投与により正常腸内細菌が攪乱されると、常在菌のクロストリディオデス・ディフィシルが異常増殖し、外素(トキシンA、トキシンB)の産生によって腸管上皮細胞障害される。症状としては下痢などが起こるが、ロペラミドなどの止瀉下痢止め)は症状の悪化、治療の遷延化を招くため禁忌。治療にはメトロニダゾールやバンコマイシン経口剤などが用いられる。

また、ピボキシル基を有する抗生物質に共通する副作用として、小児の低カルニチン血症に伴う低血糖がある。セフカペンピボキシルは消化管で吸収されたあとピボキシル基が外れるが、外れたピボキシル基部分の代謝にアミノ酸のカルニチンが消費される。小児は成人と較してカルニチンの合成が低く、低カルニチン血症をきたしやすい。カルニチンは脂肪酸β-化系に必須の要素であるため、低カルニチン血症をきたすと脂肪酸β-化が行えず、糖新生ができないために低血糖を引き起こしてしまう。長期投与で特に注意を要するとされるが、1-6日の短期投与の場合でも低カルニチン血症が起こりうることが判明している[2]。ピボキシル基を有する抗生物質を小児に投与する場合は、痙攣などの低血糖症状に注意する必要がある。

関連項目

脚注

  1. *セフカペンピボキシルは、ペニシリナーゼやセファロスポリナーゼに対しては安定だが、オキシイミノセファロスポリナーゼに対しては不安定。
  2. *ピボキシル基含有抗菌薬の服用に関連した低カルニチン血症に係る注意喚起 公益社団法人日本小児科学会薬事委員会 2019年 (PDFファイル)exit
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