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セフカペンピボキシル(Cefcapene pivoxil)とは、経口のセフェム系抗生物質である。先発医薬品名はフロモックス®(Flomox®)。略称はCFPN-PI。
セフカペンピボキシルは、第3世代セフェム系抗生物質であるセフカペンの誘導体で、経口での吸収率を上げるためピボキシル基が付加されている。1997年4月、フロモックス®の名で製造販売が承認された。剤形は錠剤のほか、小児や嚥下困難者用の細粒剤がある。セフカペンピボキシルには苦味があるため、フロモックス®の錠剤にはフィルムコーティングが施され、細粒剤には甘味料が添加されている。
多くのβ-ラクタマーゼ(耐性菌が産生するβ-ラクタム系抗生物質を失活させる酵素)に対し安定[1]で、MSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)や肺炎球菌などのグラム陽性菌だけでなく、大腸菌などのグラム陰性菌にも強い抗菌作用を示す。主な適応症は、表在性/深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、中耳炎、副鼻腔炎。
セフェム系抗生物質に共通する副作用として、偽膜性大腸炎がある。抗菌薬の投与により正常腸内細菌叢が攪乱されると、常在菌のClostridioides difficile(クロストリディオイデス・ディフィシル)が異常増殖し、外毒素(とくにトキシンAおよびトキシンB)の産生によって腸管上皮細胞が障害される。症状として下痢があるが、ロペラミドなどの止瀉薬(下痢止め)の投与は症状の悪化や治療の遷延化を招くため禁忌。治療にはメトロニダゾールやバンコマイシン経口剤が用いられる。
また、ピボキシル基を有する抗生物質に共通する副作用として、小児の低カルニチン血症に伴う低血糖がある。セフカペンピボキシルは消化管で吸収されたあとピボキシル基が外れるが、外れたピボキシル基部分の代謝にアミノ酸のカルニチンが消費される。小児は成人と比較してカルニチンの合成能が低く、低カルニチン血症をきたしやすい。カルニチンは脂肪酸β-酸化系に必須の要素であるため、低カルニチン血症をきたすと脂肪酸のβ-酸化が行えず、糖新生ができないために低血糖を引き起こしてしまう。長期投与で特に注意を要するとされるが、1-6日の短期投与の場合でも低カルニチン血症が起こりうることが判明している[2]。ピボキシル基を有する抗生物質を小児に投与する場合は、痙攣などの低血糖症状に注意する必要がある。
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最終更新:2025/01/08(水) 09:00
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