全密閉モーター 単語


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ゼンミッペイモーター

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全密閉モーターとは、に最近の交流モーターにおいて、内部を外気から遮断する密閉構造を採用したものである。

概要

一般に電車モーターでは、モーター回転軸に装着されるファンや、専用の送機によって外気を取り込み、内部の冷却を行う。そのため、通口を通して、モーター回転騒音が外部へ漏れるという問題があった。

そこで、内部の発熱を減らして通口をくし、内部を外気から遮断することで回転騒音を抑える構造を採用したのが、「全密閉モーター」や「全閉モーター」などと呼ばれるものである。騒音の緩和だけでなく、が入らないため内部の清掃が不要になる、回転軸のファンを小化したり止できるなど、整備面や運用効率などの利点も有する構造だ。

最初に全密閉モーターの導入を進めたのは小田急電鉄で、現在ではJR私鉄を問わず採用が増えている。

「全密閉モーターの音」について

小田急4000形阪急1300系南海8300系などに対してよく言われる「全密閉モーターの音」は、実際には、モーター磁石の極数が4極から6極に変わったことで磁励音が変化したものである。全密閉モーターだから"あのような音"になったわけではない。


電磁石の極数とモーター音の関係

正確には、交流モーターの「電磁石」とは固定子コイルが発生する回転磁束のことで、その極数・回転数(同期速度)と周波数は、以下のような関係を持つ。

極数が4極から6極に増えると、同じ回転数では周波数が1.5倍増えることが判る。磁励音の高さは周波数に例するから、同じ回転数ならこれも1.5倍高い音となる(周波数が2倍なら音は1オクターブ高くなる)。そのため、モーターの極数を4極から6極に変えると、同じギア・加速度でも磁励音の上がっていく速さが変化するのだ。

逆に、全密閉モーターであっても極数が4極であれば、磁励音が変化しないので概ね従来と同じような走行音になる(E235系東武60000系京王5000系など)。最近では、4極の全密閉モーターの方が多いようである。

▼参考;交流モーターの極数計算
車両 極数計算(回転÷周波数) 電動機
E235系 2380÷80=29.75≒30 4極IM
東武60000系 2066÷70=29.5≒30 4極IM
西武6000系 2400÷81=29.62≒30 4極IM
小田急4000形 1980÷100=19.8≒20 6極IM
阪急1300系 1955÷99=19.8≒20 6極IM
相鉄20000系 1840÷93=19.75≒20 6極IM
東京メトロ16000系 2460÷12320 6極PMSM
E331系 360÷30=12 10極PMSM

※6157Fを除く機器更新


なぜ極数を変えるのか

交流モーターは、極数を増やすことでより小化が図れる。そのため、電気機関車では6極の誘導モーターが標準的に使用されており、最近では新幹線車両N700Sでも6極モーターが採用された。一般に全密閉モーターは重量・体積が増加する傾向があり、その抑制を狙った設計だったと考えられる。

ただし、極数を増やすと高回転になるほど周波数が上がってインバータの損失が大きくなるほか、モーターの構造(固定子コイル巻線)が複雑になるなどの難点もある。そのため、最近では別な設計手法(インバータにおけるSiC素子の採用など)でモーターの小化が図られているようだ。

関連動画

小田急3000較。左(上)が4極

▼4極の全密閉モーター

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