出石そば(いずしー)とは、兵庫県豊岡市出石町を中心に親しまれているご当地そばである。
豊岡市の南東部に位置する出石町で親しまれているご当地そばで、別名として「皿そば」、「出石皿そば」とも呼ばれる。
関西地方では最も人気のあるご当地そばで、そばを目当てに出石へ日帰り旅行する関西民も多い。
出石そばには、最大で3つの特徴がある。
出石そばの薬味には、ほかのご当地そばにはない特徴がある。一般的なざるそばの場合は、わさびと刻みねぎのみが基本形であるが、出石そばの場合はわさび、刻みねぎ、大根おろし、生卵、山芋おろし(とろろ)の5点セットが基本形とされる。特にざるそばでそばつゆに生卵を入れるのは全国の他のご当地そばを見ても出石そばしかなく、全国的にも珍しい組み合わせである。
しかし、これが意外にも美味しい組み合わせで、生卵が苦手な人でもスルスルッと食べやすい味となっている。
食べ方については人それぞれであるが、現地でオススメされている食べ方としては、
(但馬國出石観光協会公式サイト より)
と、一気に全部入れて食べるのではなく、数点ずつ入れて段階を踏み、そばを楽しむスタイルが推奨されている。
出石そばの器には、出石の名産品である「出石焼」の器が使われることが多い。「出石焼」の特徴は、全体的にデザインがシンプルかつ素朴な見た目ながら、冷たく透き通った白磁の器であることで、この透き通る見栄えがそばの見た目の美しさを引き立たせている。また、絵付色は青色一色のみしか使われておらず、これが独特の雰囲気を出している。
出石そばの提供スタイルは、冷そば(いわゆる「ざるそば」)をメインとしている。が、盛り付け方が本家本元である長野県の信州そばと一線を画しており、この盛り付け方に人気の秘密がある。
信州そばなど、ざるそばの盛り付け方は「せいろ」と呼ばれる井桁のような形をした器に盛りつけるスタイルか、竹ざるに入れてそのまま提供するスタイルがごく一般的である。対して、出石そばの場合は、「手塩皿(てしょうざら)」と呼ばれる出石焼でできた大きめの小皿に少量ずつそばを盛り、注文を受けた皿数分を提供するスタイルとなっている。これが、別名「皿そば」と呼ばれている由来でもある。なお、現地では5皿が約1人前という基準となっており、お店での注文時も初回は5皿で提供される。そして自分の食べられる皿数まで追加注文するスタイルとなっている。
ちなみに、これに限りなく近い方法で提供しているご当地そばが東北地方にあり、それが岩手県のご当地そばで知られる「わんこそば」である。ただし、こちらは自分がフタを被せるまで随時店員がほぼ強制的にそばをわんこに投入するのに対して、出石そばは希望皿数に応じての追加注文となっている。
ではなぜ出石でそばが名物となっているのか。これには江戸時代から続く深い歴史がある。
そもそも出石にそばが伝わったのは、江戸時代中期にあたる1706年(宝永3年)に起こったあるきっかけがあったからだとされている。そのきっかけというのが、当時、出石を治めていた出石藩藩主である松平忠周(まつだいらただちか)と信州上田藩[1]の藩主である仙谷政明(せんごくまさあき)が幕府の命令でお国替え[2]を行ったことである。
この仙谷政明は、無類のそば好きであったという逸話が史実として残っており、信州上田から出石へ移った際は、信州のそば職人を多数引き連れて、出石に住まわせたと伝わる。そして、その職人から信州そばの技法が出石に広く伝わり、出石そばの原型が形作られていったのである。
そして、天保年間(1831年~1845年)には出石焼の製造が盛んになり、現在のように出石そばの器として使われるようになった。さらに幕末頃には現在のような「皿そば」の盛り付け方が主流となっていった。
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最終更新:2024/05/18(土) 03:00
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