ソバ(蕎麦)とは、タデ科の植物。またはそれを原料にした麺類の一種。麺料理の総称としても使われる事がある。
【分類】タデ目タデ科ソバ属【学名】Fagopyrum esculentum
(学名の由来)Fagopyrum→ラテン語「ブナ」+ギリシャ語「穀物」/esculentum→食用の
冷涼な土地を好み、温度差の高い土地でよく育つ。白または赤の花を咲かせる。世界最大の生産国は中国で、ロシア・ウクライナがそれに続く。日本では北海道が最大の生産量を誇り、以下福島県や長野県、茨城県がそれに次ぎ、熊本県や鹿児島県も生産が多い。
やせ地でも育ち、世界的に救荒作物として重宝されてきた歴史を持つ。その一方で、一般にいう「どこでも育つ」という解釈は誤りであり、栄養価の高い肥沃な土地だと草ばかりが成長し、結実が悪くなる。つまり、痩せ地でも育てられるのではなく、程度にもよるが土地が痩せていないと、まともに育たないのである。他に適度な温度差、高い水はけの良さが求められる。また、蕎麦を育てた後は他の作物は育てられないほど痩せてしまうので、土の手入れは必須である。
アレルギーの原因物質(アレルゲン)としても有名。しばしば呼吸困難やショック症状など重篤なアナフィラキシーを伴うアレルギーを起こす人がいる。アレルゲンの実体であるタンパク質については研究が進められ、いくつかの候補が挙がっているがまだ名前はついていない。
なお、ソバの実はそれ以外にもそば焼酎 雲海、そば茶、枕(そばがら)として利用される。
植物のソバを殻を取り除いた実をすりつぶして粉状にしたもの(蕎麦粉)を練り(この時つなぎとして小麦粉・山芋・卵などを入れる場合もある)、打ち粉を振った木の板に移し、延し棒で延ばした後、蕎麦切り包丁で細く切ったもののこと。
また、その蕎麦を食べる麺つゆや汁を「蕎麦つゆ」「蕎麦汁」といい、蕎麦をゆでた湯を「蕎麦湯」と呼ぶ。蕎麦を食べ終わった後に、残った蕎麦つゆに蕎麦湯を入れて飲む人もいる。ちなみに蕎麦つゆは、地域によって濃さや色、味に違いがある。
昼食として食べられることが多く、腹持ちが良いのでダイエットには最適であるが、食べ過ぎては意味がない。
日本では、蕎麦を食べる時には、香りを楽しむために音を立てることが許されているばかりか、それが美徳ともされる。これは西洋から見たら珍しい「作法」である。
ソバは世界中で食べられている穀物だが、麺状にして食べるのは日本以外ではネパール(日本とは異なり、専用の機械で押し出して作る)、朝鮮(冷麺、ネパールのものと同様押し出して作る)、スロベニアなどがあり、特にスロベニアは一人あたりの蕎麦消費量が世界一多い。麺類としてのソバは16~17世紀頃に信濃国あるいは甲斐国で生まれたとされ、うどんよりも歴史は浅い。当初は寺院で広まり、その後江戸庶民の味となった。それ以前は主に「蕎麦掻き」として食べられており、麺状のソバは「蕎麦切り」として区別して呼んでいたが、後に麺類としての一般呼称となるにまで至った。
大晦日の日に「長生き出来るように」ということで年越しそばとして食べる風習や、引っ越しの際に「引っ越しそば」として食べる風習が江戸時代から現在まで続いている。
「中華そば」や「焼きそば」、「沖縄そば」など、ソバの実を一切使わない麺類全体の呼称としても定着している。[1]
ここでは、蕎麦を入れる汁(豚汁など)や加える薬味(天かすなど)などによって名称が変わるので、主なものを挙げた。蕎麦の種類にかかわらず、食べる行事に由来する名称がついているものもある(年越し蕎麦など)。
ちなみに、もり蕎麦とざる蕎麦の違いは、海苔がかかっているものを「ざる蕎麦」、そうでないものを「もり蕎麦」というのが現在の主流であるが、元々は異なる存在だった。もり蕎麦は元禄時代に流行したぶっかけ蕎麦(現在のかけ蕎麦)の対義語として、それまで一般的だった皿やせいろなどに盛ったそばに対してつけられた呼称である。ざる蕎麦は江戸時代中期に深川州崎の伊勢屋が始めた竹ざるに盛った蕎麦が発祥で、つゆももり蕎麦より薄い「ざる汁」であった。海苔をかけるようになったのは明治に入ってからである。
中にはきつねそばなどのように、うどんから派生したものもある。
とろろそばは高尾山の参道で有名だが、とろろそばは蕎麦の香りが損なわれてしまうので邪道と考える人もいるようだ。また、元々福井県の名物であったおろしそばも全国的に知られるようになっており、定番化してきている。
そばといえば、天ぷら、寿司とともに江戸の三大料理といわれ、今日でも東京界隈には蕎麦屋が多く、昔からの蕎麦食いが多い。江戸で蕎麦文化が隆盛を極めたのは色々な理由があり、上方への対抗意識(これは江戸時代の黄表紙『化物大江山』で有名。主役を蕎麦、敵役をうどんに仕立てていることからも、当時の対抗意識が伺える資料である)がよくいわれる。しかし、実際のところは江戸患いとまで言われた脚気対策に、蕎麦が最適だったから広まったのがきっかけとされ、元々江戸もうどんの文化圏であった(その名残が武蔵国のうどん文化であり、特に埼玉県では秩父地方を除き、うどんが主流である)。
しかしながら、上方への対抗意識というより、蕎麦はアイデンティティとして様々な文化を育んだ。特に、江戸っ子の流儀として蕎麦がよく引き合いに出され、汁をたっぷり漬けるのは野暮だとか(そのため、東京の蕎麦屋はかなり濃いめでつゆが少しだけの店が多い。そして、よく観光客がたっぷり漬けてしまい、汁がなくなったと嘆いたり)、そばは飲み物つるっと飲み込み、鼻から抜ける香りを楽しむ(実際は、体によくないらしいが…)だとか、粋を楽しむ一種の興趣としてよく知られ、そばを食すること自体も、そばを手繰るなどと表現される。また、締めに辛口の酒を一献呷るのも習慣となっている(『菊正宗』や『剣菱』などの灘の辛口の酒が多い)。なお、二番だしで天つゆを作るとちょうどいい塩梅になるので、天丼も蕎麦屋の定番メニューとなっている。
そして、色んな味の親しみ方も広まった。特に同じ江戸名物の天ぷらと合わせた天ぷらそば(特に小エビを使ったものが本寸法とされる)、また鴨が葱を背負ってきた鴨南蛮(南蛮とは葱のこと。大阪のなんばが訛ったという説は誤りで、難波はむしろ大根の産地だったらしい)や月見蕎麦なども江戸から生まれている。
今もなお東京では蕎麦にこだわりを持つ人が多く、蕎麦屋にいるときだけ江戸っ子に回帰する東京人も少なくないらしい。そばは更科粉で漂白した更科そばが主流であり、信濃の影響が強い。一方で、殻ごと挽いた蕎麦を田舎蕎麦(山家蕎麦)と呼んで見下していた嫌いがあったが、近年はこっちを好む人も多く、北海道の産地がよく知られるようになっている。
また、武蔵野地方、調布市の深大寺そばもよく知られ、かつては本当に地元産のソバを使っていた(一帯がソバの名産地だったらしい)。
この際、はっきり言おう、うどんつゆで出てくることがあるぞ。
…しかし、そんな真昆布主体の甘口のダシ文化だからこそ生まれたものもあり、きつねうどんや昆布うどんから派生したたぬき(きつねそばのこと)、おぼろ蕎麦(昆布そばともいい、おぼろ昆布やとろろ昆布を乗せたもの。立ち食いそば屋の定番メニュー)などは大阪で生まれたといわれている。そして、うどんと比較して相対的に食べないだけで、大阪でも蕎麦はよく消費されている(消費量は全国中位ぐらい)。そして近年は北陸や山陰方面からのそば専門店も多くなっているが、温蕎麦を好む人が多い。盛り蕎麦を湯にくぐらせ、卵で溶いた濃いめのつゆで食す熱盛(敦盛)はよく知られる(すみません、熱盛とry)。また、蕎麦は一般に黒そば(蕎麦=黒そばであり、中華麺=黄そばに対する呼称)と呼ばれている。
一方の京都は丹波や但馬、山城にも蕎麦産地であったことから、古くから蕎麦文化があり、蕎麦専門店も多く、特ににしんそばは京都発祥の蕎麦として有名。その一方で、やはり大阪と同様に温蕎麦を好む人が多い(田舎蕎麦は温蕎麦にしても、蕎麦の香りが飛びにくいためだが、そば店主としては複雑な心境のようである)。
ねぎそば…福島県、大内宿の名物。長ネギを箸代わりにして食べる(無論、箸は出てくるので、葱一本だけで食べろというような曲芸を強いているのではない)。源流は南信高遠の高遠そば。
わんこそば…岩手県盛岡市名物。小さな汁椀に供されたそばを食べる。満腹になったら蓋を閉めればお愛想となる。15杯でちょうどざるそば一枚ぐらいらしい。
へぎそば…新潟県の小千谷市や十日町市あたりの名物。布海苔をつなぎに使っているため、独特の弾力を持つ。”へぎ”とは底の薄い木の器のこと。
とうじそば…松本市奈川地区(旧奈川村)の名物。旬の山菜やきのこを温めたダシに、一人前のそば玉をとうじ籠と呼ばれる食器で温めて食す。
出石そば…兵庫県の出石名物。皿そばで有名。5枚の皿に盛られている。
出雲そば…島根県出雲市の名物。割子という漆器に三段重ねされている。そしてそばつゆを直接そばにかけて食す。また、つゆは鰹節と昆布を使い、関西人好みの甘口であるため、大阪でも出雲そばの店が多く進出している。
瓦そば…山口県下関市豊浦町の川棚温泉が発祥。茶そばを瓦の上で焼き、その上にレモンともみじおろし、きざみ海苔を載せたもの。全国的な知名度も上がり、県内の至る所で供せられるようになっている。
掲示板
184 ななしのよっしん
2023/12/29(金) 21:39:50 ID: SdfWMWYN8a
そば粉使った押し出し式のパスタ、
えらい弾力が出て、
油とかふんだんに使ったソースで和えたのもうまいんだよな。
鴨肉使ったイタリアン鴨南があるのが面白い。
185 ななしのよっしん
2024/01/28(日) 16:47:08 ID: SdfWMWYN8a
さて次の週末は本来の年越し蕎麦の日であるところの立春前の節分だ。
186 ななしのよっしん
2024/11/13(水) 23:50:41 ID: sjU9Hillsr
外国産ブレンドのそば粉に「純国内産」「北海道」と表示し販売か、「山本そば製粉」会長ら逮捕
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最終更新:2025/02/16(日) 22:00
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