南海地震とは (ナンカイジシンとは) [単語記事]

南海地震は南海トラフ（四国沖から紀伊半島沖までの範囲）を震源域とする巨大地震である。東海地震と東南海地震と並んで近いうちに発生するのではないかと懸念されている巨大地震の一つである。

概要-今までの地震とこれからの地震-

白鳳地震

発生日時：684年（天武13年）11月29日
地震規模（推定）：M8.0 ~ 8.3
被災地：東海道・南海道・西海道

記録されている南海地震で最も古いものである。現在の東南海・東海地震の部分も連動したとみられる。この地震により川が決壊したり、山崩れが発生したりし住宅・寺院に多大な被害を被った。さらに津波の来襲により、死者がかなり出た模様である。

仁和地震

発生日時：887年（仁和３年）８月２６日
地震規模（推定）：M8.0 ~ 8.5
被災地：五畿七道（日本の本土全域）

東南海地震と連動。東海地震の部分は発生しなかったとみられる。この地震により京都では舎屋や住宅が倒壊したりして圧死した人が多数でたという。さらに津波が襲来して沿岸部を中心に多くの死者が出た。

康和南海地震

発生日時：1099年（康和元年）2月22日
地震規模（推定）：M8.0 ~ 8.3
被災地：南海道・畿内（近畿地方）

近畿地方にある興福寺や摂津天王寺などでは門や塔などが倒れたり、土佐では津波により田千余町（約1000ｈａ）が海中に沈むなどの被害があった。この地震の2年2ヶ月前には永長東海地震が発生している。

正平南海地震

発生日時：1361年（正平16年）8月3日
地震規模（推定）：M8.0 ~ 8.5
被災地：畿内・土佐・阿波など

摂津四天王寺の金堂が崩落して圧死者が5名発生したり、津波により土佐・阿波・摂津などの国にて多大な被害を受けたりした。（なお、阿波の由岐では住宅1700戸が流され60人以上の死者が出たという。）　一時鳴門海峡の海水がなくなったとの記録もある。また、東南海地震の部分の一部と連動したとみられる。

1498年日向灘地震

発生日時：1498年（明応7年）7月9日
地震規模（推定）：M7.5
被災地：豊後、日向、土佐

南海地震と連動した可能性がある地震。連動していた場合、地震の規模はさらに上がるとされている。

慶長大地震

発生日時：1605年（慶長9年）2月3日
地震規模：M7.9
被災地：東海道・南海道・西海道
推定震源域：海底下１０ｋｍ（東大古村教授による）
津波記録：阿波鞆浦約30ｍ　宍喰約６ｍ

地震による被害よりも津波による被害が強かった巨大地震（振動が弱かったという）。この振動が弱かったことが災いしてか、津波で逃げ遅れ溺死した人が多数発生したと言われている。なお津波による被害域は犬吠崎（千葉県銚子市）から九州までに渡ったといわれている。死者は1万～2万人。

因みに、現在でも震源地ははっきりしていない。

慶長になって以後、この地震のほかに、慶長伊予地震・慶長豊後地震・慶長伏見地震、慶長三陸地震、浅間山の噴火、八丈島の噴火といった大災害が短期間で発生している。

宝永地震

発生日時：1707年（宝永4年）10月28日
地震規模：M8.4
被災地：五畿七道（昔で言う日本の本土全域）
推定最大震度：7

日本国内史上二番目の地震である。東海地震・東南海地震の部分とともに連動し、各地で震度7を記録するほどの揺れがあったとされる。近畿地方内陸部では強い揺れにより倒壊家屋が多数でたといわれている。さらに津波により房総半島から九州までの広い範囲で被害が出た。（瀬戸内海・八丈島などにも達したという）　この地震による死者は4900人、倒壊及び流出家屋は29000戸となっているが、異説では死者は2万人を超えたとも言われている。

この地震の直後富士山が噴火した（宝永大噴火）。

安政南海地震

発生日時：1854年（安政元年）12月24日
地震規模：M8.4
最大震度：6（高知・徳島などで記録）
被災地：畿内・東海・東山・北陸・南海・山陰・山陽
津波の高さ：11ｍ（土佐市）　8.5ｍ（須崎市）

安政東海地震発生から32時間後に発生した巨大地震。近畿や四国といった地域で被害がかなり大きかったと言われている。死者2万人、倒壊家屋2万戸。なお、その後余震が2981回あり、そのうち17回が強震だったといわれている。「稲むらの火」の逸話で知られる。

昭和南海地震

発生日時：1946年（昭和21年）12月21日 4時19分
地震規模：M8.0
被災地：紀伊半島沖・四国
最大震度：5（徳島・高知などで記録）
死者：1330人
全壊家屋：11591戸　半壊家屋：23487戸　流失家屋：1451戸　焼失家屋：2598戸
津波の高さ：5.9ｍ（須崎市）　5.6ｍ（海南町）

敗戦前後4年間のうちに発生した鳥取地震・三河地震・東南海地震といった４大地震のひとつである。地震発生直後大津波が発生し、東は房総半島・西は九州というかなり広い範囲に被害を及ぼした。

これからの南海地震

公表資料によるとこれから起こるとされる南海地震は以下のようになると予測されている。

地震規模：M8.4前後
発生確率：10年以内10％　30年以内40％　50年以内80％

ちなみに1946年（昭和21年）昭和南海地震の発生から既に76年ほど経っており、地震後経過率は0.6となっている。

※ 2022年（令和4年）現在。

南海地震単語

概要-今までの地震とこれからの地震-

白鳳地震