張悌とは (チョウテイとは) [単語記事]

張悌とは、三国志に登場する人物である。

概要

字は巨先。荊州襄陽郡（現在の湖北省）の出身。呉に仕え、孫休の時代に屯騎校尉となった。魏の司馬昭が蜀征伐の軍を起こしたとき、必ず蜀は滅亡すると予言し、他の人はその言葉を笑ったが果たして予言通りになった。

279年に呉の丞相に就任するが、その直後に晋の大軍が呉を攻めてきたため、280年正月に呉帝孫晧の命を受け、沈瑩、諸葛靚（諸葛誕の子）、孫震（孫晧の従兄弟）らとともにこれを迎撃した。
このとき、沈瑩は長江を渡ることの不利を説き、長江を渡らずに敵が攻めてきた所を迎え撃つよう進言したが、張悌は「呉が滅亡するのは誰でも分かっている。渡河して一戦を挑み、社稷のため死んでも恨むところはない。このまま敵が攻めてくればその勢いでわが兵は離散し戦わずして降伏することになる。国難に一人も殉じないのは恥ではないか」とこれを退け、そのまま長江を渡った。

張悌の軍は晋の張喬の軍を囲んでこれを降伏させたが、諸葛靚は張喬は偽って降伏したに過ぎないから禍根を絶つべく全員穴埋めにせよと進言したがこれを却下した。次いで張悌の軍は王渾（王昶の子）率いる軍と戦い、丹陽太守だった沈瑩は丹陽郡の精兵5000人で三度突撃したがこれを破れず、王渾軍や再び寝返った張喬の軍の挟み撃ちに遭い張悌の軍は総崩れになった。

諸葛靚はなんとか敗軍5、600人の兵をまとめて退却しようとし、張悌の袖を引っ張って一緒に退こうとしたが、張悌は「今日は私の死ぬ日である。子供の頃にあなたの家の丞相に抜擢されたが、死に場所を得ずして常々賢者の知遇に背くことを心配してきた。今こそ社稷に殉ずべきだ」とこれを退けて晋軍に突撃、泣きながら引き返した諸葛靚が百歩も進まないうちに張悌は討ち取られた（捕縛され処刑されたともいわれる）。
この戦いで張悌、沈瑩、孫震や呉軍5800人余りが戦死したことで呉の国内は震撼し、滅亡に突き進んで行くのである。

なお、幼い頃の張悌を抜擢したのは諸葛亮と諸葛瑾の説がある（三国志大戦のカードの説明文は後者を採っている）。ただし張悌の出身地が襄陽郡であり、「丞相」に見出されたとなると、弟とは違って襄陽郡に留まったことがなく丞相にもなっていない諸葛瑾とするのはやや無理がある。出典である「襄陽記」を書いた習鑿歯の執筆スタンスからしても、呉の滅亡に臨む悲壮な意思からしても、おそらく蜀漢の丞相、諸葛亮のことを指すとみていいだろう。坂口和澄氏も著書で諸葛亮説を採っている。

各メディアにおける張悌

コーエー三國志

IVから登場。最近は知力も魅力も80台に落ち着きつつある。
斜陽の孫呉を盛り返すことができるか。

三国志大戦

Ver2.1の稼動時に呉の代表として蜀の姜維・魏の鄧艾らと店頭ポスターに大抜擢。
しかし他の二人がSR(スーパーレア)の中、ただ一人R(レア)であったり、所持計略が汎用計略の「火計」だったという
なんともガッカリな扱いであった。
しかし、史実の名場面をゲームで再現する群雄伝モードでは上記の呉滅亡までの悲壮な戦いぶりを描いたシナリオが、多くの大戦プレイヤーから好評を博した。
イラストで正座をしていることから正座と呼ばれている（正座眼鏡とも）。Ver3.5で起立してもこの名は変わらない。
「魂の引継ぎ」をどう使いこなすかがカギ。