AMX-30とは、フランスで開発された戦後第2世代MBT(主力戦車)である。
1960年代にそれまで運用していたアメリカ製MBT(M47、M48)の更新用として開発されたがフランス軍分より海外輸出分の生産が上回っている。
なお、開発は当初西ドイツ、イタリアとの共同開発で行われたが空中分解して西ドイツは独自開発のレオパルト1、イタリアはアメリカのM60(輸入+ライセンス生産)を採用した。
2020年代にフランス軍では純粋な戦車型は退役したものの派生型は現在も運用を続けており輸出された各国でも戦車型、派生型は運用が続いている。
外観は甲羅状の半円形砲塔に傾斜を付けた車体正面と同盟国の日本製74式戦車に類似しているが[1]AMX-30が全長9.5m弱、全高2.3m弱に対し74式戦車は全長9.4m、全高2.2mと僅かな差がある。
一方、最高速力は720馬力のディーゼルエンジンで65㎞/h+航続距離最大600㎞と74式戦車の53㎞/h+300㎞を上回る。
武装では105㎜戦車砲、機関銃2丁と一見通常の構成に見えるが実際はフランス独自の要素が強く出ている。
105㎜砲は西側諸国標準のイギリス製Ⅼ7ではなくフランス独自の56口径105㎜ライフル砲を使用し、機関銃は車長キューポラに7.62㎜機関銃、戦車砲に付属する同軸機関銃には12.7㎜機関銃を使用するという通常なら逆の構成になっているが同軸機関銃は戦車砲より高い射角が取れるようになっており対空戦闘を重視した構成になっている[2]。
また、配備当初戦車砲には硬金属で装甲を貫通する徹甲弾は使われず独自開発の『G弾』(成形炸薬弾)を使用していた。通常、戦車砲の初速が遅く砲弾を回転させない方が威力を最大限に発揮する成形炸薬弾と高初速で砲弾を回転させるライフル砲は相性が悪いが『G弾』はライフリングに対応した外殻とベアリングによって回転することなく弾頭を目標に衝突させる内殻に分かれた二重構造になっていた。
しかしこの構造では弾頭の炸薬が砲弾に対して少なく、後にⅬ7に対応し且つ威力を上回るアメリカ製成形炸薬弾が登場したことで優位性が失われ、改めて専用のAPFSDS(装弾筒付翼安定徹甲弾)を開発する事で対応したがⅬ7と弾薬を共用することは未だにできない。
なお、装甲は圧延防弾鋼板で車体最大79㎜、砲塔最大80㎜と戦車砲に対して薄いが当時のMBTは『攻撃を回避するために機動性と低車高を重視』のスタンスがあったからである。
| 名称 | 説明 |
| AMX-30B2 |
1980年代に配備・改修が実施されたアップデート版。 同軸機関銃が20㎜機関砲に強化されエンジン、 射撃統制装置、暗視装置が換装された。 画像の爆発反応装甲を装備した型は『ブレニュス』 と呼称される。 |
| AMX-32 AMX-40 |
何れも輸出用に開発された改修型。 前者は車体+砲塔を改設計+複合装甲を追加し後者は 120㎜戦車砲を装備したが双方とも試作止まりに 終わった。 |
| AuF1 | 砲塔をGCT砲塔に換装した155㎜自走榴弾砲。 砲塔自体は1システムとして独立しており AMX-30以外の車体にも装備可能。 |
| AMX-30R | フランス・西ドイツ合同で開発した『ローランド』 地対空ミサイル連装発射機を装備した型。 |
| AMX-30DCA | レーダー付30㎜連装機関砲塔を装備した自走対空砲型。 但しフランス軍には採用されずサウジアラビア軍のみ が運用。 |
| AMX-30EBG/EBD | 戦闘工兵車型。 前者は多用途仕様だが後者は地雷除去特化仕様。 |
| AMX-30D | 装甲回収車型。 |
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最終更新:2025/12/25(木) 00:00
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