グルック(Gluck)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
ローエングラム朝銀河帝国初期の技術官僚、工部省次官(工部次官)のち工部尚書。新帝国暦1年当時に中年の年頃。石黒監督版OVAでは明るい茶髪を七三に分けた容姿で描かれている。
新帝国のフェザーン遷都を控えた当時、大本営とともにフェザーンに移り帝国首都建設長官の職務に精励する初代工部尚書、ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒを補佐した。新帝国暦2年4月、代理総督官邸でのテロ事件でシルヴァーベルヒが死去すると、出征中の皇帝ラインハルトの命令により工部尚書職を代行。のちに正式に工部尚書に任じられた。
堅実で有能な官僚政治家ではあったが、昼夜兼行で工部尚書兼帝国首都建設長官の激務を果たすワーカホリック異才の上司シルヴァーベルヒのような天才性は持ち合わせていなかった。
事実、シルヴァーベルヒの病気休暇を受けて一週間、その激務を代行した際には、奮励努力もむくわれず事務を停滞させたあげく、休暇明けの上司に瞬く間に片付けられてしまい、自信を喪って辞表を提出している。しかし辞表をうけた皇帝ラインハルトは、尚書に次ぐ地位なればこそ尚書に優る才覚をもとめはしない、と諭し、むしろ彼の謙虚さを讃えて慰留したため、グルックは留任することとなった。
皇帝ラインハルトはグルックの堅実さをこそ高く評価しており、やがて安定の時代になれば、新帝国の建設で巨大な規模と権限を得た工部省を適正サイズまで縮小するための「計器」として起用しようと考えていたのだった。グルックは新帝国建設の主体となる黎明期の巨大な工部省組織を率いるような職務にはさほど向いていないが、かといってシルヴァーベルヒのような異才が永遠に存在しつづけるわけではない。グルックの才幹は、むしろシルヴァーベルヒ率いる工部省が新帝国建設の役目をひとしきり終えたのち、必要十分の組織を安定的かつ永続的に残し、維持していくために必要とされたのである。
しかし、そのシルヴァーベルヒは在職わずか10ヶ月でテロに斃れ、彼は皇帝ラインハルトの構想よりずっと早く工部尚書に昇任することとなった。その翌年、新帝国暦3年に発生したハイネセン動乱では、皇帝より工部省が新領土における物資供給の正常回復を指示されており、グルックも尚書として対処の指揮をとったと考えられる。
ただ、設計段階だった新宮殿“獅子の泉”建設が中断されたように、シルヴァーベルヒの激務のすべてがすぐにグルックに引き継がれたわけではなかった。この中断はもともと皇帝ラインハルト自身に宮殿への興味がなかったという点も大きかったが、皇帝の居館そのものについてはグルックが「皇帝陛下があまりにご質素な生活をなさっては、臣下の者たちが、余裕ある生活を送れませぬ。願わくばご考慮いただけますよう」と作中唯一の台詞で進言しており、皇帝ラインハルトも素直に受け入れ、大本営をホテルから旧フェザーン自治政府の迎賓館へと移している。
掲示板
1 ななしのよっしん
2020/06/04(木) 06:07:57 ID: eXFU91DicS
ラインハルトは生活面は疎いけど、
指摘されれば素直に応じるところは美点だと思う
2 ななしのよっしん
2020/06/04(木) 12:53:49 ID: +VThN16ELO
言い方の問題ってのもあると思う。宰相時代に「豪奢にとは言わないが、もう少し威を示すべきではないか」と言われた時には意に介さなかったし。
宮殿の件や柊館事件の時にマリーンドルフ伯がダムの視察行ってるあたり、「首都建設長官」の部分、現場はともかく構想の部分が、グルックの手に余る部分として皇帝直轄事業に移されたのかな。
3 ななしのよっしん
2020/06/05(金) 14:48:44 ID: E7Ggi08z+0
>>2
言い方の違いかー。確かにそういうのはありそう。
自分の地位や影響力への配慮を促した、というところかな。
あと「首都建設長官」については盲点だった。となると、この点は国務省に移管したか、国務・工部両省の協同事業になったという事かな。
マリーンドルフ伯も引退したいって割には新しい職務を抱えた事になるけど、ミッターマイヤー首席元帥に引き継がせる事を前提にして、ということかもしれない。
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最終更新:2025/12/29(月) 05:00
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