機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイとは、1989年から1990年にかけて角川スニーカー文庫より発売された小説作品である。
著者は富野由悠季。
概要
『逆襲のシャア』に登場したハサウェイ・ノアを主人公とした物語。宇宙世紀105年を舞台としており、一年戦争時代(宇宙世紀79年)から続いたアムロやシャア達の物語に一区切りが打たれた最後の作品とも言える。
多くのゲームで他のアニメ作品と同等の扱いで登場しており、ニコニコ動画ではそういったゲームのプレイ動画にこのタグがつけられている。また有志により手描きMADも制作されている。
宇宙世紀の次の100年を描くプロジェクト『UC Next 0100』第二弾作品として、2020年より劇場用アニメ三部作の公開が決定した。それに伴い、メインキャラ三人の担当声優一新が発表されている。
あらすじ
刻が宇宙世紀にいたり、人類は幾度かの世代を重ね月軌道圏までを生活圏としている、そんな時代。連邦政府とそれらに属する特権階級の人々が地球を独占しスペースノイドを弾圧するという構図は、その対立が決定的となったグリプス戦役以降変わっておらず、マンハンターを動員した棄民政策により事態はより一層深刻化していた。そんな中、植物監査官候補生となったハサウェイ・ノアは特権階級のみが搭乗出来るシャトルで地球に降下する所であった。身体的には立派な大人へと成長した彼であったが、その精神は自らが殺めたクェスの亡霊に取り憑かれたままであった。
だが昔の彼と違うこと――それはアムロやシャアを始めとした地球を想い散っていった者達を見てきた事。そして、今自分が地球のために行動すべき立場にあること……。
時に宇宙世紀105年。シャアの反乱と呼ばれた戦いから12年が経過していた。
シナリオなどの相違点
本作では、シャアの反乱の後の世界が描かれているのだが、クェス・パラヤの死の原因はハサウェイが彼女を殺めたということになっており、これは角川書店より発売された小説『ベルトーチカ・チルドレン』の設定から引き継いでいる。また過去に徳間書店より発売されていた小説版逆襲のシャアが2002年に機動戦士ガンダムハイ・ストリーマーとして正式に復刊した際の富野由悠季氏のインタビューの中でも、劇場版のプロット(徳間小説版のプロット)と閃光のハサウェイは物語的なつながりはないと答えられている。
物語的な繋がりはないのだがサイバーコミックスやMS SAGAで連載されていたガンダムF90やシルエット・フォーミュラが90年台にデンゲキコミックより単行本として発売された際、付属している宇宙世紀公式年表には閃光のハサウェイの時代の事件が記載され、また2011年に逆襲のシャアがBlu-ray化した際付属のブックレットの年表にもマフティーの事件に関して記載されているので物語の一部が正史として取り込まれている動きがあるようである。
後にゲーム『GジェネレーションF』にはキャラクターとMSを再デザインしての登場し、これ以降は公式作品と同等の扱いで多数のゲームに参戦、立体商品化も行われている。
さらに近年はガンダムエース誌上の漫画でもマフティーの反乱に言及し、本作登場MS(メッサー)が端役ながら描かれた例がある。 そして、アニメ版『ガンダムUC』にも本作登場MS(グスタフ・カール)がデザインを変え登場した。
登場人物
主要人物
- ハサウェイ・ノア / マフティー・ナビーユ・エリン
- CV:佐々木望(GジェネFなどゲーム作品)、小野賢章(劇場版)
- ブライト・ノアとミライ・ノアの息子。反地球連邦政府組織マフティーの表向きのリーダーにして、Ξガンダムのパイロットを務める。
- ギギ・アンダルシア
- CV:林原めぐみ(GジェネF)、川上とも子(Gジェネ魂・ギレンの野望)、上田麗奈(劇場版)
- 今作のヒロインで、民間人。保険会社の創業者でもあるとある大富豪の専属愛人。彼女とハサウェイ、ケネスが偶然同乗していたシャトル『ハウンゼン』がマフティーを騙るテロリストにハイジャックされたことから物語が始まる。
小説版では東洋系・ラテン系の血が混じっているような記述があるが、劇場版では純血アングロサクソンの金髪白人として描かれている。
- ケネス・スレッグ
- CV:立木文彦(GジェネF以降)、大塚明夫(サンライズ英雄譚)、諏訪部順一(劇場版)
- 地球連邦軍大佐。もとはコロニーと月で新型MS開発の指揮を執っていたが、地上でのマフティー討伐指揮の辞令が下りたため、地球行きのシャトル『ハウンゼン』に搭乗する。戦場で幾度もハサウェイと激突する度に彼とは不思議な友情を築いていく。
乗馬鞭がトレードマーク。ゲームでは若々しい容姿に反して声が渋い。小説版イラストやゲームでは金髪白人で描かれていたが、劇場版では黒髪に浅黒い肌と大幅に変更されている。
- レーン・エイム
- CV:橋本晃一(GジェネF)、水島大宙(Gジェネ魂以降)、斉藤壮馬(劇場版)
- 地球連邦軍中尉。キンバレー部隊(キルケー部隊)所属のパイロット。開発中からペーネロペーのテストパイロットを務め、ケネスに先んじる形で地球に派遣された。
- 劇場版では愛機を「ペネロペー」と呼称している。
- ブライト・ノア
- 第十三独立艦隊旗艦ラー・カイラムの艦長。階級は大佐。ケネス准将の後任人事として、キルケー部隊司令就任の辞令を受け、地球に降下してくる。以前から退役願いを出しており、除隊の交換条件として本任務を受諾した。精神的に疲弊しており、除隊後は妻とロンデニオンコロニーで、レストラン経営を計画していた。ゆくゆくは政治に打って出ようと考えていたのだが……。
- クェス・パラヤ
- CV:川村万梨阿
- 第2次ネオ・ジオン抗争にてハサウェイが出会った少女。故人。『逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』の設定に沿い、クェスはハサウェイの手で戦死している。だが、たまたま殺されたことをかなり恨みに思っておりハサウェイの夢の中で彼を糾弾している。
劇場版では劇場版『逆襲のシャア』のあとの物語となるため、原作小説と死因が異なる。
その他登場人物
- ハイラム・メッシャー
- CV:川口啓史
- 地球連邦政府の保健衛生大臣。搭乗していたシャトル『ハウンゼン』がマフティーを騙るテロリストにハイジャックされた際、不用意に発言を行ってしまい……。
主な登場兵器
- RX-105 Ξガンダム
- マフティーがアナハイムから調達した新型モビルスーツ。機体に内蔵したミノフスキークラフトにより、大気圏内でも疑似反重力推進による飛行を可能とした。また進行方向にビーム・バリアーを展開することで大気圏内で初めてMS形態で音速の壁を破ることに成功した。頭部のサイコミュブロック、ファンネル、膝部の大型ミサイルランチャーなどの数々の先進的機能を備える。次第に大型化が進行していったMSの到達点とも言える。
- 読み方は「クスィーガンダム」(「Ξ」は一般的には「クスィー」とは表記せず、変換もできない。普通は「クシー」「クサイ」「グザイ」など)。名前はかつてのニュータイプ戦士アムロ・レイが最後に搭乗した機体νガンダムを引き継ぐ意図で付けられた。
ゲーム版や後の立体化では小説版よりもよりガンダムらしいデザインに修正されたが、劇場版では小説版に近い、異形のMSを強調するデザインになっている。
- RX-104FF ペーネロペー
- キンバレー部隊に配備された新鋭モビルスーツ。機体設計思想そのものにはガンダム系モビルスーツの名残りを残している。Ξガンダムの姉妹機に当たり、ミノフスキークラフト及びファンネルミサイルを搭載している。こちらにはビームバリアは非搭載で、高速飛行時には変形が必要。
作中ではペーネロペーとしか呼称されていないが、後にGジェネレーションFで「RX-104オデュッセウスガンダム」というガンダムタイプの機体が、ペーネロペーユニットを装備した状態であると設定が後付けされた。劇場版でもこの設定を踏襲している。
- Me02R メッサー
- マフティーが使用する量産型モビルスーツ。ジオン軍の設計思想を色濃く残している機種である。単体で飛行はできないのでサブフライトシステム「ギャルセゾン」に搭乗して戦う。
劇場版ではブースターバックパックの装着により、短時間の上昇機動が可能。
- FD-03 グスタフ・カール
- キンバレー部隊(キルケー部隊)の主力モビルスーツ。GM、ジェガン系列の設計思想の延長線上に存在する機体で、基本スペックはガンダムタイプに通じる高さを誇っており、頭部のメーンセンサーの有効半径はνガンダムにも匹敵する。大気圏内では、サポートメカ「ケッサリア」を使用しなければ自力飛行は不可能である。
小説版とGジェネ版とアニメ版ガンダムUCではそれぞれデザインが異なる。小説版で特徴的だった頭部ツインブレードアンテナと脚部ビームサーベルは、他の媒体ではなくなっている。Gジェネデザイン及び劇場版ではビームライフルとビームサーベルはジェガンと共通のものになっている。
作中用語
- マフティー・ナビーユ・エリン
- 反地球連邦秘密結社。組織名と同名の指導者のもと、全ての人類を地上から宇宙へ一掃することを標榜し、各地でMSによる要人暗殺を繰り返してる。物語開始時点で、暗殺された要人は10人以上。
自身をクワック・サルヴァーと称する元連邦軍地球方面軍の将軍が発起人だが、組織内でも彼の正体・所在は謎とされる。
- キンバレー部隊 / キルケー部隊
- 対マフティー掃討戦のために組織された、地球連邦軍部隊。ダバオ空軍基地(現フィリピン・ミンダナオ島)を拠点とし、同空軍基地司令が兼任で指揮を執る。
物語開始時点ではキンバレー・ヘイマン大佐の指揮下にあったが、ケネス大佐の赴任に伴いキルケー部隊と改称された。
- アデレード評議会
- オーストラリア大陸のアデレード市で開催が予定されている、地球連邦政府の法案審議会議。出席のため、政府高官が次々と地球へ降下を始めている。
詳細不明ながら地球居住権に関する重要法案可決が見込まれており、マフティーはその阻止を画策している。
原作小説では「アデレート」表記。
- シャトル『ハウンゼン』356便
- 宇宙・地球間を往還する民間スペースシャトル。この時代では軍用機を除き、唯一地球への直接降下が可能な船便であり、乗船には相応の地位かコネクションが必要とされる。
- マンハンター
- 地上の違法居住者の逮捕と宇宙への強制送還・送致を業務とする武装警察組織。時に合法居住者も逮捕の対象となる。非人道的な執行方法から、一般市民からの評判は芳しくない。
本小説版に先立って執筆・発表された、本作から約100年後を描く同著者の『ガイア・ギア』にも登場する。
小説版にはなかった描写として、劇場版ではRGM-89 ジェガンを対人制圧用に運用している。
登場ゲーム作品
- SDガンダム GGENERATION-F(初登場作品)
- SDガンダム GGENERATION ギャザービート2
- SDガンダム GGENERATION PORTABLE
- SDガンダム GGENERATION SPIRITS
- SDガンダム GGENERATION WARS
- SDガンダム GGENERATION WORLD
- SDガンダム GGENERATION OVER WORLD
- SDガンダム カプセルファイターオンライン
- ガンダムバトルユニバース(機体はΞガンダムとペーネロペー、キャラクターはマフティー(青年ハサウェイ)のみ)
- ガンダムアサルトサヴァイブ(Ξガンダムとペーネロペーのみ)
- 機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V(メインキャラクター4人と本作の機体全部のみ)
- 機動戦士ガンダム 新ギレンの野望(マフティー(青年ハサウェイ)のみ。Ξガンダムはハサウェイ編のエピローグのみ登場)
- 機動戦士ガンダムVSシリーズ (EXVS以降)
- ガンダムトライエイジビルドMS(第5弾から。主人公とライバルのキャラと機体が登場。)
- SUNRISE WORLD WAR From サンライズ英雄譚(機体はΞガンダムとペーネロペー(没データ)、キャラクターはケネスのみ)
- スーパーロボット大戦V(機体はΞガンダムとペーネロペー、キャラクターは青年ハサウェイとレーンのみの登場)
劇場アニメ
2019年冬より劇場公開予定。…だったが、諸事情により2020年7月23日(木/祝)公開予定となっていた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大とそれに伴う緊急事態宣言などもあり、2021年5月7日(金)→2021年5月21日(金)→2021年6月11日(金)と公開延期が重ねられていった。最終的に2021年6月11日(金)に公開された。
2021年4月18日には劇場公開に先駆け、ガンダム公式YouTubeチャンネル「ガンダムチャンネル」にて冒頭15分53秒が無料先行公開された。
スタッフ
- 企画・製作:サンライズ
- 原作:富野由悠季、矢立肇
- 監督:村瀬修功
- 脚本:むとうやすゆき
- キャラクターデザイン:pablo uchida、恩田尚之、工原しげき
- キャラクターデザイン原案:美樹本晴彦
- メカニカルデザイン:カトキハジメ、山根公利、中谷誠一、玄馬宣彦
- メカニカルデザイン原案:森木靖泰
- 美術監督:中村豪希
- 色彩設計:すずきたかこ
- 撮影監督:脇顯太朗
- CGディレクター:増尾隆幸、藤江智洋
- 編集:今井大介
- 音響演出:笠松広司
- 録音演出:木村絵理子
- 音楽:澤野弘之
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関連項目
- ガンダムシリーズ一覧
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(12年前の設定)
- 機動戦士ガンダムUC(9年前の設定)
- 閃光のハサウェイOP風動画制作企画
- スーパーロボット大戦シリーズ登場作品の一覧
- アニメ作品一覧
- アニメ映画の一覧
- 閃光([Alexandros])
- マフティー構文
- 連邦に反省を促すダンス
- 陰茎が苛立つ
関連リンク