ウィークリングとは、ソード・ワールド2.0に登場する種族である。 厳密には一種族を指す言葉ではなく、「穢れを欠いた蛮族」を一括りに示している。 名前の由来は「Weakling(虚弱者、弱虫)」から。
詳細な概要
前述の通り元の種族より穢れが少ない個体を指すのだが、その容姿は元の種族と人間を掛け合わせたような姿である。 元々の種族の特徴も部分的に受け継ぐが完全ではなく、例えばガルーダの子であれば翼は空を飛べないほどに未熟で、高所からの落下時の衝撃緩和に使える程度である。 蛮族社会においては人族と同等の扱い(要するに奴隷)であり、戦場には幼少から数合わせ的に駆り出され、虐待の対象にもなり、酷い場合には種族・部族の恥晒しと生まれてすぐ親諸共処断されることもある。その為、成人することすら稀である。 因みにウィークリングの発生率は1000人に1人の割合となっており、前述の生存率の低さからして人族社会に現れる個体がいかに幸運で希少かがわかる。
性格は元の種族より穏やかで思慮深い傾向にあり、出自故、人族社会の常識を欠きやすいことを除けば親和性は比較的高いと言える。 カルディアグレイスにはガルーダ・バジリスク・マーマン・ミノタウロスから生まれたウィークリングのデータが紹介されている。次項目でこれらの特徴について解説する。
なお、基本的にあらゆる蛮族から生まれ得る種族なのでこれらで全てではなく、独自のデータを作ることも可能といえば可能である(ただし、元々穢れの少ないコボルドやラミアなどからは生まれないと思われる。また、ライカンスロープは子を生せないため確実に存在せず、ノスフェラトゥはラルヴァの存在もあるが、関係があるかは不明)。
共通する種族の特徴
器用度 | 敏捷度 | 筋力 | 生命力 | 知力 | 精神力 |
B | B | B | B | B- | B- |
(全「生まれ」の平均+ダイスの期待値が基準。生まれによって±1ランク程度の誤差が発生) (更に後述の[蛮族の身体]の補正を受ける(+1.5ランク程度))
基本的に人間と似通った能力値となっているが、あくまで「ウィークリング」と一括りにした場合。元の種族ごとに特徴が別れており、システム上はあくまで生まれ表を共有するグループぐらいの繋がりしかない。 詳しくは下記の親種族別の特徴を参照。
なお、穢れは総じて2点である。
種族特徴 [蛮族の身体]
ウィークリング内で唯一の、共通する種族特徴。 元の種族に応じて能力値が上昇するが、代わりに弱点を持ってしまう。
まずこの種族特徴の時点で、同じウィークリングでも技能適性などが大きく変わってくる。 種族特徴の変化ばかりに気を取られて、こちらを失念しないように気を付けたい。
親種族別の特徴
カッコ内はウィークリング共通の種族特徴[蛮族の身体]によるもの。
ガルーダ(敏捷力+3/弱点:衝撃属性ダメージ+3)
[蛮族の身体]で敏捷度が上昇するため、前衛やスカウトに向いている。 種族特徴で攻撃手段を確保できるため、攻撃手段が乏しいプリーストやガンを持たないマギテックなどにもオススメできる。 下記の[切り裂く風]の達成値と威力を底上げするために、スカウトなどのBテーブル技能を先行させて冒険者レベルを確保するという選択肢もある。
外見的特徴として、まず背中にある小振りな翼が挙げられる。下記の種族特徴2つに関わる大事なものであるが、隠すならマントやローブが必要となる。 また、翼を含めた体のいたるところに羽毛が生える事もある。しかしこちらは種族特徴とも関係がないので、抜いたり剃ってしまえば問題ない。
[未熟な翼]
背中に小さな翼を持っており、これにより落下時のダメージを20点まで軽減できる。 具体的に言うと、防具なし・受身を取らずとも6mの高さから落ちてもノーダメージで済む。受身を取る場合、9m程度なら平目でも期待値でノーダメージとなる。 非金属鎧を着こみ、受身判定ができるようにしておけば、気楽に上空からダイナミックお邪魔しますが可能になる。
……が、基本的に受動的な能力である点は否めない。上記のものも、高低差のないダンジョンだと行えなくなる。 一応、〈チキンベルト〉のダメージとちょうど相殺するので、覚えておくといいかもしれない。
[切り裂く風]
主動作で、MPを消費して風の刃を作り、風属性の魔法ダメージを与えることができる(抵抗:半減)。達成値と威力は『冒険者レベル+生命力ボーナス』で判定する。 射程は30mと長いので、後衛からでも十二分に効果を発揮するだろう。
成長すると、MPの消費量を増やして[切り裂く風]の威力を増強させることが可能になる(MP消費を抑え、弱い威力のものを使うことも可能)。 前衛にとっては貴重な魔法攻撃手段であるが、消費MPは決して少なくないのでご利用は計画的に。
バジリスク(知力+3/弱点:水・氷属性ダメージ+3)
[蛮族の身体]で知力が伸びているので、魔法使いをはじめとする後衛に向いている。 しかし、[毒の血液]を活かすためにタンカーになるのも悪くはない。 間をとって魔法剣士という選択肢もあり、比較的柔軟性のあるウィークリング。
外見は、人間との差異が最も少ない。 ただし片目が邪眼となるため、そこからバレる可能性もある。しかし、オッドアイになれたり理由を持って眼帯を付けれたりと、中二病っぽい人によってはかっこいいと許容できる範囲だろう。
[石化の視線]
親種族と同様に魔眼を持ち、補助動作でMPを消費して睨みつけることができる。行使に成功すれば石化進行という状態異状を与え、敵の命中力か回避力をランダムで下げることができる。
連続した手番には使えないが、効果は重複していき、最終的には完全に石化させることもできる……が、人族として生きる以上、ここまでやってしまうと色々と問題が生じることは想像に難くない。殺しても問題ない相手ならば無力化する手段の1つとして考えるべきかもしれないが。
[毒の血液]
その身に流れる毒の血液により、近接攻撃で物理ダメージを与えてきた相手に返り血で毒属性の魔法ダメージを与えることができる。
成長すると、この毒の威力は高くなる。しかしダメージは微弱であり、相手に致命打を与えるほど強くはならない。 また、これを活かすには前衛になり、相手の攻撃を受ける必要がある点にも注意が必要。
マーマン(精神力+3/弱点:炎属性ダメージ+3)
[蛮族の身体]で精神力が上昇するため、後衛かエンハンサーを使う前衛に向いているだろう。 イメージに倣い、バードも悪くないだろうか。
外見的特徴としては、下半身に尾びれの名残であるかのようにある鱗と水かきが挙げられる。また、脇腹にはえらのようなものがあり、これのおかげで水中で活動できる。 つまり、よほど露出度の高い服でも着なければ、まずバレる事はないだろう。 元々マーマン自体が、身体的にも精神的にも半分人族だし。
なお、元々が穏和で人族と共闘することもあるマーマンだけあり、マーマンのウィークリングは迫害されることの方が稀という特異な特徴を持っている。 水中での動きは親に劣るが、地上での活動に適応できるという意味で親種族を越える一面を持っていると言える。
[水中適性]
水中の動作障害の一切を打ち消す。エルフの[剣の加護/優しき水]の相互互換ともいえる能力。 ただし、手を繋いで他人も潜れるようにしたい、水で戻したい、などの意図がないなら、実質上位互換。
[水・氷耐性]
水・氷属性のダメージを常に半減する。さらに、抵抗に成功すれば、ダメージと付随効果を完全に無効化することができる。
[バブルフォーム]
成長すると得られる新たな種族特徴。水中で、その身体を装備ごと泡に変えることができるようになる。 泡の身体では、攻撃や魔法などの対象にならない無敵状態となる。さらに、水の中であれば狭い隙間でも通り抜けることが可能となる。
……のだが、制約もあり、一日一時間を超えて泡になっていると二度と戻れなくなる(キャラクターとして消滅)という点は気を付けなくてはならない。 また、泡の身体では水中を移動することしかできないため、能動的に使うのは難しい。
ミノタウロス(筋力+3/弱点:魔法ダメージ+2)
[蛮族の身体]で筋力が上昇する上、[剛力]もあるため、とにかくファイターに特化している。 それ以外の適性を考えるのが難しいが、とりあえずファイターになっておけば活躍できるだろう。あえて言うなら暗視があるからにはスカウトやレンジャーも考えるべき?
外見的特徴としては筋肉質で、頭には立派な角が生える。 あるいは、ウィークリングの中で最も隠しづらいかもしれない。
ミノタウロス自体には女性個体が存在せず、人族の女性を攫って子を得るという特徴上、ウィークリングが生まれやすいと考えられている。また、異端の子とされ虐待されながらもその力は確かにミノタウロスの要素を受け継いでおり常に前線に立つことになるため、ウィークリングとしては生まれやすく死にやすいと言える。 なお、ミノタウロスのウィークリングなら女性が生まれることもあり、こちらは種族にとって貴重な「次世代の母体」となるため、手厚い保護を受けるケースもあるという。
[暗視]
おなじみ、夜間や光源のない部屋などでも問題なく見通せる能力。 むしろ逆に、他のウィークリングには[暗視]がない点を注意すべきかもしれない。
[剛力]
ただでさえ強力な2H武器の破壊力を底上げする。 成長すると、威力補正が更に上がったり、戦闘特技《薙ぎ払い》宣言時に命中力にボーナス修正が入ったりする。
元々、この命中力へのボーナスは《薙ぎ払い》のデメリットを打ち消すものだった。しかしIBを導入すると、件のデメリットが消えるため、純粋に命中力を上げる効果となる。 高威力かつ高命中力の範囲攻撃という、浪漫にあふれた種族特徴である。
余談
『魔剣を欠いて生まれたドレイク』も広義の上ではウィークリングと言えると思われるが、魔剣を手にすれば完全なドレイクに成ったり、外見的特徴は普通のドレイクと差がないことから『原理的に別』となっている。
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関連項目
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