ボジョレー・ヌーボー(仏: beaujolais nouveau)とは、ワインの一種である。
他にもボージョレーとかボージョレとかボジョレとか、ヌーヴォーとかヌーヴォとか、「・」が無かったり代わりに半角スペースだったりとか、比較的新しい外来語でカタカナ表記の表記揺れが激しく、また単にボジョレー等やヌーボー等と略されることもあるが(例えば日本ソムリエ協会内でも統一はされていない模様)、ここでは便宜的にボジョレー・ヌーボーで統一する(ちなみに一般的な仏語では日本語より母音をはっきり発音した「ボジョレヌヴォ」に近い。→ 参考: forvo.com)。
ここ10年で最も良い概要
フランス中東部のボジョレー葡萄酒地区(vignoble du Beaujolais, ローヌ=アルプス地方ローヌ県北東部およびブルゴーニュ地方ソーヌ=エ=ロワール県中南端)で生産されるボジョレー・ワイン(beaujolais)のうち、ブドウの収穫をする夏から仕上がりまでの短い期間に、二酸化炭素浸漬法(ブドウの果皮下まで炭酸ガスを浸透させて細胞レベルでの急速な発酵を促す手法)により6週間足らずで樽出しされる。このように原材料のブドウの収穫と同じ年に発売されるワインのことをバン・ヌーボー(vin nouveau, 「新しいワイン」)、バン・プリムール(vin primeur, 「初物ワイン」)、バン・ジューヌ(vin jeune, 「若いワイン」)、バン・ド・ラネ(vin de l'année, 「今年のワイン」)等と呼ぶ。
要するに長期熟成により深い風味が産まれる前の未熟な酒なのだが、逆に言えば収穫したばかりのブドウの爽やかな風味が楽しめるため、地元では古くから愛飲され続けてきた。やがて近代になり輸送技術や冷蔵技術が発達すると、その年の出来を占う新酒という箔をつけて大々的に売り出されたことで人気を博し、世界的にも有名なワインの品種となった。また、特定産地によるボジョレー=ビラージュ(beaujolais-villages, ビラージュは「村々」の意)のバン・ヌーボーである、より高級なボジョレー=ビラージュ・ヌーボーもある。
毎年11月の第三木曜日はボジョレー・ヌーボーの解禁日であり、世界的にこの日からボジョレー・ヌーボーの販売が開始される。なんで解禁日が定められたかというと、ボジョレー・ヌーボーを売るためにいち早くワインを作ろうとして生産工程をすっ飛ばした粗悪品が過去に出回ったためで、現在ではブランドの品質を損なわないためにフランスでは法律で厳格に規制されている。なので例えば日本で解禁日を破っても特に罰せられることはない。
通常ワインは陸路や海路で輸入されるが、いち早く輸出するためにボジョレー・ヌーボーだけは空輸にて各国に出荷している。 特に日本は先進国で最も早く解禁日を迎えることもあり、 わざわざ日本に来て今年のボジョレー・ヌーボーを買いに来る人もいるとか。
美味しく味わうには冷蔵庫で少し冷やし、なるべく早めに飲むといいらしい。
過去最高と言われた05年に匹敵する50年に一度のフレーズ
ボジョレー・ヌーボーというとその味よりも 毎年つけられるキャッチコピー(?)の方が有名かもしれない。特に毎年が最高傑作であるかのような言い回しはネタにされることもあるが、 このキャッチコピーは専ら大手輸入業者や居酒屋店長、ソムリエ等のコメントであり、地元生産者による「ボジョレワイン委員会」(Inter Beaujolais(仏語他))の控えめな品質予想とはだいぶ異なるとのこと。
以下はサントリーワインインターナショナル等による過去数十年のフレーズである。これらの中にはワインそのものの品質を評するものと、原材料であるブドウの作付(ビンテージ、vintage)を評するものが混じっているが、まあ気にしなくてもあまり問題は無い。
- 1995年「ここ数年で一番出来が良い」
- 1996年「10年に1度の逸品」
- 1997年「まろやかで濃厚。近年まれにみるワインの出来で過去10年間でトップクラス」
- 1998年「例年のようにおいしく、フレッシュな口当たり」
- 1999年「1000年代最後の新酒ワインは近年にない出来」
- 2000年「今世紀最後の新酒ワインは色鮮やか、甘みがある味」
- 2001年「ここ10年で最もいい出来栄え」
- 2002年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄えで1995年以来の出来」
- 2003年「110年ぶりの当たり年」
- 2004年「香りが強く中々の出来栄え」
- 2005年「タフな03年とはまた違い、本来の軽さを備え、これぞ『ザ・ヌーボー』」
- 2006年「今も語り継がれる76年や05年に近い出来」
- 2007年「柔らかく果実味豊かで上質な味わい」
- 2008年「豊かな果実味と程よい酸味が調和した味」
- 2009年「過去最高と言われた05年に匹敵する50年に一度の出来」
- 2010年「2009年と同等の出来」
- 2011年「100年に1度の出来とされた03年を超す21世紀最高の出来栄え」
- 2012年「偉大な繊細さと複雑な香りを持ち合わせ、心地よく、よく熟すことができて健全」
- 2013年「みずみずしさが感じられる素晴らしい品質」
- 2014年「太陽に恵まれ、グラスに注ぐとラズベリーのような香りがあふれる、果実味豊かな味わい」
- 2015年「過去にグレートヴィンテージと言われた2009年を思い起こさせます」
- 2016年「エレガントで酸味と果実味のバランスがとれた上品な味わい」
- 2017年「豊満で朗らか、絹のようにしなやか。しかもフレッシュで輝かしい」
- 2018年「2017年、2015年、2009年と並び、珠玉のヴィンテージとして歴史に刻まれるだろう」
- 2019年「酸味のバランスが良く、風味豊かな出来栄え」
- 2020年「非常にバランスが取れたさわやかさのある仕上がり」
- 2021年「挑戦の末たどり着いた、納得のヌーヴォー」
- 2022年「濃い色調と豊かな香りを備えた、傑出したヴィンテージ」
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