中日新聞とは、愛知県名古屋市に本社を置く中日新聞社が発行する日刊新聞である。
愛知県・岐阜県・三重県を股がる東海三県(中京圏)において相当なシェアを持ち、中日新聞社が刊行するその他の新聞と合わせ、日本最大のブロック紙と呼ばれる。
中日新聞社は、セントラル・リーグに所属する日本のプロ野球球団、中日ドラゴンズの親会社でもある。
概要
「中日」とは「中部日本」(日本の中部地方)の略であり、「中国」(中華民国・中華人民共和国や中国地方)、それに彼岸の「中日」(なかび)とは無関係である。
1886年創刊の「無題号」と「金城たより」という2紙に端を発し、この2紙をルーツに持つ「新愛知」と「名古屋新聞」が1942年に合併して「中部日本新聞」が誕生。1965年に紙名が現在の「中日新聞」に改題。社名も1971年に現在の中日新聞社となった。
旧名である「中部日本」は傘下の認定放送持株会社である中部日本放送(CBC)に現在でも残っている。
名古屋本社版
後述する東海本社版と区別するために、この項目では愛知県・三重県・岐阜県で発行されたものを名古屋本社版と表記する。
名古屋本社版は愛知県・三重県・岐阜県の東海三県(いわゆる中京圏)で発行されており、特に本社所在地である愛知県においては、全国紙を全く寄せ付けないほどの絶大なシェアを有している(2011年で58%程度)。そのためもあってか、広告は「新聞は中日」という実にシンプルなものである。
日本最大の全国紙である読売新聞、第3位の毎日新聞は全くといっていいほど愛知県に進出できておらず、同県内では国内第2位の朝日新聞が辛うじて9%程度のシェアを獲得しているという状況である。この中日の圧倒的なシェアがある故に、愛知県民は関東や近畿などで盛んな新聞の勧誘合戦を知らない、と言われることもある。
また家庭のみならず、企業など法人での購読率も高い。中京圏は日本第3位の都市圏(都市圏人口900万人弱)で有るにもかかわらず、首都圏や京阪神圏のように購読紙の分散が見られないためか、阪神・淡路大震災や東日本大震災の際は、中日新聞社が全国紙を凌いで日本で最も義援金を集めた新聞社となっている(伊勢湾台風の影響で義援意識が高い影響もあるとされる)。
岐阜県におけるシェア争い
岐阜県においては、地元紙の岐阜新聞と激しくシェアを争っている。それは系列の放送局や、広く県内経済にも影響を及ぼしており、岐阜市内を流れる長良川の河畔で毎年夏、中日新聞社と岐阜新聞社が別箇に花火大会を開催しているほどである。
なお、長良川球場で中日ドラゴンズの試合がある場合はテレビ愛知で放送されたりする。その場合は当然のごとく、同局が区域外再送信されていない岐阜県内の地域は地上波で視聴できない。
東海本社版
静岡県には、県内第二の都市である浜松市に中日新聞東海本社(旧:中日新聞浜松支局)という地域本社が別途設立されており、静岡県内の中日新聞は東海本社により発行されたものとなっている。
キャッチコピーが名古屋本社とは違い「読みたい中日、読まれる中日」となっている。
東海本社版には名古屋本社版とは異なり、独自取材による記事も多数ある。ただ、それら独自記事は名古屋本社版では読めない。なお、中日新聞公式サイト内にて記事が複数アップされてはいるものの、必ずしも全てアップされているわけではない。また、東海本社版の電子版すら無いので、静岡県外から東海本社版を読みたい場合は、問い合わせて実物を取り寄せるしかない。
県内シェアについては、全体的に静岡新聞のほうが高いものの、東海三県寄りの地域である県西部では中日新聞の購読者が多く見受けられる。
一方、実は静岡県内では販売エリアが静岡新聞だけでなく、なんと東京新聞(後述)とも被ってしまっている。というのも、関東寄りの地域である県東部にて東京新聞が静岡県版として別途に販売しているためだ。しかし、その東京新聞静岡県版を編集しているのが何故か中日新聞東海本社だったりする。ややこしい。
その他の地域
中日新聞自体は、長野県や近畿地方の滋賀県でも宅配されており、地方の枠を超えて広くカバーしている。
一方、北陸地方においては石川県にて中日新聞北陸本社を設立し、北陸中日新聞、日刊県民福井(発行は福井支社名義)を刊行している。また、関東地方においても東京都にて中日新聞東京本社を設立し、東京新聞を刊行している。この3紙は、元々中日新聞社とは無関係の資本で発行されていたものが、経営難のために中日新聞社の支援を受けて、傘下入りした経緯を持つ。
豆知識
- 東京新聞は、イデオロギー的な立ち位置では、読売新聞と毎日新聞との間やや中立的ではあったが、2010年代の安保法制に関するSEALDsを特集した際に発行部数が伸びたため、経営上の理由で朝日新聞よりも左派に傾倒するようになったと言われている。その後経営陣が社外の左派団体の声に迎合し、コメンテーターとしてTVに出演しており、東京新聞内の右派と見られていた長谷川幸洋・論説副主幹を経営幹部が解任したこともその象徴とされる。
- 中日新聞と傘下紙の合計4紙の総発行部数は330万部を越え、日本経済新聞の部数(約300万部)をも上回り、日本第4位の新聞となる。中日新聞単独で見ても、部数は全国紙の産経新聞(約160万部)よりも遥かに多く、およそ270万部となっている。
- 中部地方や関東地方のマスコミに対する影響力も大きい。
- スポーツ新聞としては、中京圏では中スポこと中日スポーツ、関東では東京中日スポーツ(トーチュウ)を発行している。
関連動画
関連項目
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