かわいい(可愛い)とは、愛らしい、愛すべきもの、そういった趣のあるものに心をひかれ、大切にしたい様を表す言葉である。
概要
語源は平安時代から見られた「かほはゆし(顔映ゆし)」。<顔を向けていられない>、<気恥ずかしい>といった意味合いを持つ言葉だった。これが転訛して「かわゆし」となった。
これが転じて<(かわいそうで)顔を向けていられない><かわいそう><不憫><(小さくて)いたいたしい><気の毒だ>などといった意味を表す言葉として用いられるようになった。
これがさらに転じ、<不憫で愛おしい><かわいそうで労りたい>のようになった。現代で用いられる一般的な「かわいい」に近い<愛らしい>の意味を持つようになったのは平安時代後半である。語義の変化に伴い「可愛い」などの表記がなされるようになった。
なお、それまで<かわいらしい>という意味を担っていたのは主に「うつくし」という言葉であるが(例: みれば三寸ばかりなるひといとうつくしうていたり。――『竹取物語』)、これも現代語では<綺麗である>等の意味に変化しているのは周知の通り。
というわけで本来、「かわいそう」は「かわいい」と同じ系統の言葉であったのだが、現代では「可愛い」「可愛いらしい」と「可哀そう」「可哀想」と表記ではっきり区別される場合が多い(少し古い文章では「可愛そう」が一般的であった)。
ちなみに落語『たけのこ』では、この可愛いの語源のひとつである「かわや」という言葉がオチに使われている。
さて、20世紀後半のいわゆるブリッコブームの最中には、主に女子学生を中心に「かわゆい」という発音および表記が流行ったことがあった(なお、同時期の少年漫画『3年奇面組』にはこの語をモチーフにした「河合唯(かわ・ゆい)」というキャラクターが登場する)。
こうしたスラングは一種の世代語(若者言葉)であり、同年代同士で共通認識を持ちコミュニティを形成するのに一役買うわけであるが、彼女たちが選んだ字面は期せずして語源である「かわゆし」への回帰であったのは偶然とはいえなかなか面白いが、単にそればかりでなく「かわいい」より少女らしい主観を示したい場合に用いていた者も少なくない。
現在の「かわいい」の使われ方
本来「かわいい」という言葉は小さいものや幼いものへの愛情などを表現する意味合いが強い。
しかし現代ではそういった言葉の本来の意味を離れ、小動物や子供以外にも様々な物事に対して「かわいい」という言葉が安易に用いられるようになっている。さらには生き物に対してだけではなく無形物や音、言葉、声色といった目には見えないものにもかわいいは使われる。(例:あなたの声かわいい)
また言葉と組み合わせて様々な意味を付加することも出来る。(例:「エロカワイイ」等)
アメリカ合衆国などでは日本の漫画やアニメ好きの間で「kawaii」という単語がわりと広まっており、普通に通じたりする。現代の日本語で言う「萌え」に近いかもしれない。心理学の見地からは、顔が幼い(ベビー図式と呼ばれる), 親しみやすい, 害がない, きれいであるなどのパラメータを総合的に評価して発生する二次的な感情であると説明される(入戸野, 2016)。故に、単に顔の良さだけでなく対象の背景ストーリーを知ることも可愛さを強める。
また二次元において美少女キャラクター、マスコットにおいて例えば性能や能力、特徴に疑問を持ち、彼女達の存在意義はという問いに対しかわいいと答えお茶を濁す時に用いられることがある。
それと、男性の用いる「かわいい」と女性の用いる「かわいい」の間には越えられない溝がある、というのもよく言われる話。異性の言う「かわいい」に対する過信はいろいろな意味で禁物である。
関連動画
関連リンク
関連項目
- 形容詞の一覧
- 萌え
- これはかわいい動画
- かわいいは正義
- かわいいは作れる
- かわいいから許す
- かわいいね
- かわいがり
- あざとかわいい
- あらかわいい
- うざかわいい
- お前の方がかわいいよ!
- キモかわいい
- クズかわいい
- こんな可愛い子が女の子のはずがない
- 地味かわいい
- 何この可愛い生物
- なにこれかわいい
- 俺の妹がこんなに可愛いわけがない
- カッコカワイイ宣言!
- ネコっかわいがり!
ニコニコ動画における「かわいい」系タグの一覧
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- 82
- 0pt