こんなに可愛いなら私の妹に違いないとは、
1と2は全く別の事実を記している様ではあるが、実は相互的に補完されており、どちらかが欠ければ、その成立は不可能とさえ言われている。
業界ではKWI、あるいはKKWIIと略される事が多いが、一体何をしている業界であるかの確認が取れていないため、この略称については否定的な意見が多い。
魔法の使い手
カールスラント空軍JG52第2飛行隊所属。
連合軍第501統合戦闘航空団ストライクウィッチーズ所属。
唯一にして無二。
あらゆる歴史書を紐解いても、この魔法を使用できるウィッチは、彼女以外には存在しないと言われている。
彼女は固有魔法として『筋力強化』を保有している。そのため、彼女は2つの魔法を保有している事になる。だが、それが互いに独立した魔法として作用するのか、あるいは『複合魔法』として相互的に作用し、その効果を発揮するのかは判然としていない。
一般的に認知されている『筋力強化』の効果も、妹を長時間、そして超長距離に渡って持ち運ぶための機能に過ぎない、という説を専門家が提唱している。つまりこの場合、バルクホルン大尉の固有魔法はKWI1つという事になる。
だが一方で、KWIは『複合魔法』であるという説も根強い。しかし、ではそれがどの様な魔法の複合によるものなのかは、その糸口すら掴めていないのが現状である。様々な説が提唱されては居るが、ほとんどが荒唐無稽であり、その研究者以外への理解はほとんど得られていない。
この様に、バルクホルン大尉の固有魔法をKWIのみであるとして研究する者達は『単一魔法派』と呼ばれ、複数の魔法が相互的に作用しているという『複合魔法』として研究する者達を『複合魔法派』と呼んでいる。
余談では有るが、『単一魔法派』と『複合魔法派』の間には大きな溝がある。『単一魔法派』は『複合魔法派』の研究者を、「既存の魔法知識で説明付けたい願望が肥大化し、事実への探究心を手放した学者崩れ」と侮蔑し、『複合魔法派』は「現実離れした事実を迎合し、屈服した、科学者の隅にも置けない負け犬」と『単一魔法派』を侮蔑している。
そして、『筋力強化』と『KWI』が相互的に作用するのでは無く、完全に独立した状態でそれぞれが作用しているのだという考えを持つ専門家も存在するが、これは極少数である。
ゲルトルート・バルクホルンについて
彼女の詳細なパーソナルデータに付いては、別記事を参照されたし。
故に、ここではそこで語られていない軍極秘データを少しだけ紹介する。
- お姉ちゃんである
- お姉ちゃんという属性を最大に備えた存在者が彼女である
- クリスティアーネ・バルクホルンという実妹が居るが、妹に『実』と『虚』の境は無いと考えている
- 『人類の半数は女性であり、その半数が妹だ』という格言が確認されている
- 上官のミーナ中佐に『私達は家族だ』と叱責された際、バルクホルンの脳内で家族=妹と変換されていた
- 『私の妹達計画』の最高責任者である。
- 『私の妹達計画』の立案者であり、研究者であり、最大の出資者でもある
- 『私の妹達計画』を実現するに当たって、ウィッチ隊総監アドルフィーネ・ガランド少将と数ヶ月に渡る会談を開き、これに勝利した。勝利の後、『机上の電撃戦だ』と誇らしげに語った
- 私設特殊部隊『可愛らしい妹小隊』の隊長である。尚、ウィッチであるかどうかは問題とされない、珍しいタイプのウィッチ隊であり、この小隊を知る者は極少数である
- 連合軍第509統合戦闘航空団、『シスターズ・ウィッチーズ』の設立に着手している
- 妹属性を持ったネウロイに攻撃を加えることは無いため、実際の撃墜スコアは公開されているデータの2倍から3倍もの価値に相当する
お姉ちゃん属性を能力に昇華した功績を称えられ、低反発妹人形・柏葉付騎士鉄十字章の叙勲が検討されている。
妹人形のモデルとして、扶桑軍人の名がバルクホルンにより挙げられている。
魔法の効果
この魔法の効果を説明する事は不可能に近い。知るのでは無く、感じることが大切なのである。
それでも敢えて説明するとするなら、最も分かり易い例を文章として書き起こすことで、それに替えるものとする。
ある時、バルクホルン大尉は『アフリカの星』として世界に名を轟かせるハンナ・ユスティーナ・マルセイユ大尉に、サインを要求した。当然ながら妹のためである。
この時、バルクホルン大尉の提案は罵りと共に却下されたが、結果としてサインはバルクホルン大尉の手に渡った。マルセイユ大尉の態度から、始めからサインを書くつもりだった様に認識されている。
しかし、それは違う。
これこそがこの魔法の効果なのだ。
所謂『ツンデレ』『実は良い人』として見られがちな行動ではあるが(あるいは事実、それはほとんど正しいが)、魔法によって因果律が捻じ曲げられた結果である。
この魔法によってマルセイユ大尉が妹に成らなかった原因として、バルクホルン大尉がそれを強く望まなかった事や、マルセイユ大尉に妹としての素質が無かった事。
そして魔力の相互干渉が特筆すべき点として挙げられる。
以前、バルクホルン大尉はサーニャ・V・リトヴャク中尉を妹設定に変えようと画策した事が有るが、これはエイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉に防がれてしまっている。魔力が精神状態に依存する事は周知であるが、エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉の強い念(これが何を意味するのかは現在調査中)がサーニャ・V・リトヴャク中尉にかけられた魔法を強く阻害したと考えられている。
これと同じことをマルセイユ大尉も行った(無意識下の行動ではあるが)。しかし、エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉の念程に強くは無かったため、結果として行動の変化のみを引き起こしたと考えられている。また、バルクホルン大尉は初めからそれを計算に入れていた。
この様に、この魔法の効果を説明することはとても難解である。
バルクホルン大尉に詳細な説明を求めた専門家には悲劇が訪れているため、大尉に説明を求める事は、今ではタブー視されている。
娘、あるいは親類、近隣住民の幼女、あるいはそれに近い年齢の婦女子がある日、大尉の妹になっているのだ。因果律を捻じ曲げたにも関わらず、そうした結果を異質として被害者達が認識出来る理由も、この魔法の説明を困難にしている要因の1つである。
言葉に込められた意味
『こんなに可愛いなら私の妹に違いない』
この言葉を良く理解してもらうためには、言葉自体の解釈、その全てにおいて正しく読解されなくてはいけない。だが、そんな事は不可能である。前述通り、これは魔法である。言葉そのものに力が付与され、効果そのものに意味が現れるからである。つまり、言葉の意味を正しく理解することは、魔法の効果そのものを正しく理解することに等しく、やはりそんな事は使い手であるゲルトルート・バルクホルン以外には不可能だからである。
だが、専門家がゲルトルート・バルクホルンという人間を理解する時に、最も有効で有ると考えられている1つの説がある。ここではその一文を紹介しようと思う。
・ゲルトルート・バルクホルンの世界は、簡単な二元論で語られる。
即ち、『妹』か『それ以外か』である。世界のあらゆる歴史、学問、宗教、怪異、果てはネウロイ。地位学歴経歴容姿氏素性。そしてその存在と善悪を全て含めた所で、『妹』か『それ以外か』が彼女の世界の全てである。それ以外、はその他大勢では無い。文字通り『それ以外』なのだ。例えば、宇宙の果てに、互いの重力で結びつきあった恒星・・・つまり、連星が有ったとする。この場合、彼女に取って重要なのは、天体の直径や質量、熱量や距離、角運動量や軌道周期、主星か伴星か、では無い。
妹かそうで無いか、である。
事実として、恒星が妹としての属性を備えているのか。また、そうで有ったとして、妹として傍に置くことが可能なのか。そう言った疑問を挟む余地は無い。妹かそうで無いか。その一点が重要だからである。
夜空を見上げ、『アルゴルは今日も元気だな』と語るバルクホルン大尉の姿も確認されている
上記の説は、もちろん理論的では無い。だが、そもそも『こんなに可愛いなら私の妹に違いない』という言葉そのものが理論では無い。反証不可能な理論は理論足り得ないからだ。つまりこの言葉は限定的であり、断定的な事実なのである。彼女の思想が、その言葉に込められた意味を端的に表しているのだ。
こんなに可愛いのなら私の妹に違いない。そうだ。そうに決めた。そうで無ければそもそもおかしい。事実に反する。
それが、この言葉に対して我々が理解できる、その全てである。
関連動画
関連項目
- 16
- 0pt