ウェーククイナとは、ツル目クイナ科の陸上生の鳥である。絶滅動物。
概要
北太平洋のマーカス島の東に位置する珊瑚礁の島、ウェーク島にかつて生息していた鳥類。
ウェーク島は絶海の孤島だが、飛翔能力を持っていたウェーククイナの祖先が、島に飛来し定住したため生息していたとされる。
その際に島の特性から飛行能力を必要としなくなり、徐々に羽が退化した結果陸生の鳥類へと変化したのであろうと推測されている。
体長は約30cmほどで、体の色は喉のあたりから胸にかけて白と茶のまだら模様という、ちょっと珍しい色を持つ。
体の形はひょうたんのようで、茂みを歩くのに適していたとされる。
祖先は外敵のほとんどいないことを理由にこの島を選んだ。そのためウェーククイナは警戒心とは無縁の生活をおくっていたようである。
絶滅の経緯
そんなある日、第二次世界大戦が勃発、日本とアメリカの間でウェーク島の戦いと呼ばれる戦闘が行われた。
激戦の末、日本はウェーク島を占領し、名前も大鳥島と変更した。
勝って万歳三唱していたところまでは良かったのだが、日本軍の占拠したウェーク島は、絶海の孤島である。
双方にとって戦略的に重要な拠点だったが、アメリカは孤島の弱点をついて真っ向から攻めるのをやめ、補給ルートを断つことで日本軍の食い扶持を枯渇させる作戦へと切り替えた。
こうなると困るのは日本軍である。補給ルートを断たれた日本軍はアメリカ軍の思惑の通りに日に日に食料不足に苦しむようになる。ウェーククイナは警戒心が少なく、しかも赤い布を振ると何故か寄ってくるという習性持っていたため、捕獲するのは容易であった。
日本軍はウェーククイナの食肉など少ない物資を頼りになんとか終戦までウェーク島を確保し続けたが、終戦と同時にやがてアメリカへ降伏することになった。
終戦後に島を調査したところ、ウェーク島からウェーククイナは一羽も見つからなかった。この事実は、日本軍がウェーククイナを食い尽くしてしまったことを意味していた。
ウェーククイナは戦争の犠牲になった生き物として有名になった。同じく世界大戦が遠因で絶滅したレイサンクイナ(こちらは軍事拠点建設のために人の流入が原因)と並んで戦争の犠牲者として語り継がれている。
関連項目
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