絶滅とは、滅びて絶える事を表す熟語。また生物学的には一つの種の個体が死に絶え、その種が途絶える事をさす。
曖昧さ回避
ニコニコ動画での動画投稿者・生放送主については、絶滅(動画投稿者)を参照。
概要
最も有名な絶滅生物群といえば恐竜(獣脚類→後の鳥類を除く)であり、今から約6500万年前に大隕石の衝突によって滅んだといわれている[1]。その後も自然界では様々な種が絶滅の歴史を刻んできたが、近年そういった自然絶滅ではない、人間が引き起こす外的要因での種の絶滅が問題視されている。
何よりも問題となっているのがその速度で、一説には1日に約100種、年間で約4万種が絶滅しているという話もある。
個体数を全て調査する事の難しさから絶滅の確認は難しい事も有り、絶滅速度には諸説あるものの、自然状態と比べて圧倒的にその速度の異常であることがわかる。
種の絶滅とはその個体が永遠に失われるということであり、遺伝子情報の多様性の確保という面から考えても損失は大きい。そのため絶滅の危機に瀕している種を絶滅危惧種と名づけ、保護や繁殖にあたっている団体も数多い。
日本においては特にトキの飼育が有名であるが、そのトキも日本において野生ではすでに絶滅しており、飼育下のトキが残っているのみである。
日本で有名なあの動物も実は絶滅危惧種である、という事も多い。例えばジャイアントパンダ、クロサイ、ゴリラ、オランウータン、チーター、ホッキョクグマ、これらも絶滅危惧種として扱われている。
人間の影響で絶滅する動物の特徴・原因の傾向
近代において人間の行動が絶滅に関わる場合、乱獲・無秩序な狩り、そして環境破壊等が、原因としてあげられる。
その中でもあっけなく絶滅という悲劇の道を駆けることとなった動物の多くは、性質として致命的な要因を抱えていることがよくある。
- 1.繁殖能力が低い
かつて50億(今の地球の人口に比類するくらい多い)は居たとされるリョコウバトですら、僅か数十年で人間に狩り尽くされてしまった。その理由は卵を一つしか産まず、繁殖能力が極めて低かったからだと言われている。
孵化までに時間がかかり、その間に卵の時点で狩られてしまうという個体も少なくない。ましてや個体数が少ないのにも関わらず低い繁殖能力しか持ち得ないとなれば……どうあがいても絶滅である。
自然界でも卵を狙うというのはハンティング法における定石の一つ、ただし人間が関わる場合はその数的に問題があることが多い。 - 2.人間を恐れない、むしろ近づいてくる
好奇心が強く、かつ恐怖心を持たない動物は、人間にとっては恰好の獲物である。
昔はそういった動物は多く見られ、天敵がいない故に他の動物を怖がらない生き物は、今も昔も加害者側には恰好の獲物であった。特にオオウミガラスは、1.の条件にくわえてこれがあったため、数百万羽もいた個体が瞬く間に絶滅まで追い込まれた。
こういった動物が滅びまくった頃は、今ほど動物愛護の精神が根付いていたわけでもないので、寄ってくる動物というのは、ハンターにとってはあくびが出るくらい楽な標的だったことであろう。 - 3.人間の生活や健康に害を及ぼす
人間の乱獲や狩りは、絶滅動物を語るうえで厳しく批判されるが、さりとて人間とて生きている。
害を加えられれば自衛に移る……つまり生活を守るために害獣を排除するというのは生き物として当然の行動である。
フクロオオカミ(タスマニアンタイガー)やニホンオオカミなどは害獣として絶滅した例である。前者は家畜を襲ってくる(実際の犯人はディンゴという濡れ衣説あり)し、ニホンオオカミは家畜に危害を加えるだけでなく狂犬病も運んでくるのだから、相当厄介であった。
今でこそ保護すべきという声が多いトキも、過去に畑を荒らしまわったという苦い過去から、「国産は既に絶滅しているのに無理をして種の保存などしなくて良い」という声があがっているほど。 - 4.デリケート
環境破壊による絶滅は先で述べたが、その中でも綺麗な水でしか住むことが出来ないなど、生活圏にさらに難しい条件がつく動物は、人間が繁栄を極めている今の地球では大変生きにくいと言える。
絶滅が危惧されていながら注目度の低いゲンゴロウは、こうした特定の環境にしか生息出来ない生物であり、それ故に絶滅の危機に追いやられている。
なお、そもそも人類が発展途上だった頃は、絶滅危惧の動物を保護しようという発想そのものが物珍しかったことも、頭に置いておかねばならない。
当時の人達に「こんなに売れる毛皮なら、丸々太らせてから売るみたいに、たくさん増やしてから定期的に卸せば、ちゃんと儲かるんじゃね?」と言っても
「その発想はなかった」
「今が一番の稼ぎ時だからそれじゃ遅い」
「大体滅んだって、他に金づるいるから問題ない」
程度の認識だったのである。
しかし今の多くの人類は、その反省を踏まえて種の保存の大切さを昔よりは大きく理解するようになった。
シーラカンスやクニマスなど、絶滅していたと思われていた生き物がひょっこり顔を出すこともあるが、この奇跡的な事態を見て、保護を促す精神を持てるようになった、ということも忘れてはいけない。
人間が全部悪い論
開拓時代の人々の意識の低さから生まれた、過剰な狩猟による絶滅は、今日の絶滅問題を語るうえでは、無視することの出来ない原因の一つ。
このため……
「なんて人間は愚かなんだ!」
「同じ生き物として恥ずかしい」
「人間なんていなけりゃ絶滅しなかったのに……」
だが近代においても、絶滅とは必ずしも人為的なことで生じるものではない。
ジャイアントパンダのように「どう考えても放置していたらそのまま勝手に絶滅しそうな生物」を保護するという意思が生まれるなど、種の保存のことを考えられるのが、人間という生き物の特異性と言える。
また、恐竜の絶滅がそうなのと同じように、絶滅とは基本的に自然淘汰として起こるものであり、現代においても、自然淘汰によって絶滅した生き物は当然ながらいる。
もっと言ってしまえば、どのように取り繕っても人間は自然の一部であり、切っても切れない関係である。地球の歴史から言えば、人間以外の生物によって絶滅させられた種の方が圧倒的に多く、それは自然の摂理ではないのか?それを自然の摂理だとするなら人間のそれはなぜそう言われないのか?
このように、あたかも自然と人間を別のようにみなすのは一種の人間中心主義であるという批判が強い。
こうした文明的活動、もっと言えばこのニコニコ大百科でさえ自然の一部とみなすことができるのである。更に踏み込むと、こうした人類が何らかの都合によって他の種を絶滅させることも自然淘汰の一種であり、それによって人類が被る被害も自然の一部に組み込まれたものであるという見方もできるのだ。
さらに付け加えて言うのであれば、狩猟が主原因で絶滅させられた生き物が多く発生した時代は、保護意識が希薄で、人間が進歩に向けて夢中になっていた時代だったということも加味しなくてはならない。
つまり今だからこそ保護だどうだと大多数が言えるようになったのであって、当時の人間に保護という発想は浸透していなかったのだ。
そもそもそういった人達の熱狂的な開拓のおかげで今の快適な暮らしが存在するのであり、過去の人々の愚を安直に批判するのは過剰な動物愛護として冷たい目で見られることも少なくない。
何より過去の人を批判しても何も始まらない。
絶滅した動物を惜しむ気持ちは、生物研究的にも当然の意識だが、今本当に大事なのは、今後どうやって絶滅危惧種を守るかにあるはずだ。
ニコニコ大百科に記事がある絶滅動物
恐竜やカンブリアモンスターなど、個別に記事がある古生物は除き、近代生物に限って羅列する。
絶滅危惧種は別途に参照されたし。
- オーロックス - 1627年死亡。保護ってなんだっけ……。
- ウェーククイナ - 1945年絶滅。戦争で日本軍兵士達の腹の中に消えたクイナ。
- オオウミガラス - 1844年絶滅。元祖ペンギン、生きていればこちらがペンギンだった可能性も。
- オレンジヒキガエル - 1990年代絶滅。生息地の干ばつによる自然淘汰。謎の多い絶滅種。
- カリブモンクアザラシ - 1952年以降目撃証言無し。2008年に絶滅種認定。
- クアッガ - 1883年絶滅。食料としてよし、皮袋としてよし、馬車馬としてよし。重宝されたあげく絶滅。
- ジャイアントモア - 1500年代以前に絶滅。地上においてもっとも大きな身体を持つ鳥。
- シリアノロバ - 1927年絶滅。人と共存していたが、外界からきた人間によって絶滅。
- スチーフンイワサザイ - 1892年頃、絶滅。一匹の猫が原因で発見と同時に絶滅したとして有名(厳密には違う)。
- ステラーカイギュウ - 1768年絶滅。人間に発見されてからわずか27年で全滅。
- ハルパゴルニスワシ - 1500年代以前に絶滅。翼を広げると3mもあるという巨大猛禽類。モアと運命を共にした。
- フクロオオカミ(タスマニアタイガー) - 1936年絶滅。古いながらも最後の個体の映像が残っている。
- ブルーバック(絶滅動物) - 1800年絶滅。青い毛を持つという時点で死亡フラグなシカっぽいウシ。
- トキ - 日本産は2003年絶滅。農家からすればただの邪魔者。
- ドードー - 1681年絶滅。最後の剥製すら焼かれ捨てられた哀れな生き物。
- ニューイングランドソウゲンライチョウ(ヒースヘン) - 1932年絶滅。遅すぎたんや……。
- ニホンアシカ - 絶滅時期不明瞭。領土問題に振り回された日本産アシカ。
- ニホンオオカミ - 1905年絶滅。疫病、崇拝、数々の不運が重なって絶滅。
- ニホンカワウソ - 1979年以降目撃例なし。2012年絶滅種認定。
- バーバリライオン - 野生は1922年絶滅。王族に飼育された個体の系統等が生き残っている。
- メガネウ - 1852年絶滅。ステラーカイギュウと一緒に発見され、狩り尽くされる。
- リョコウバト - 1914年絶滅。世界で最も栄えた鳥類から絶滅へ。
- ワライフクロウ - 1914年絶滅。人間が持ち込んだ外来種による淘汰。
絶滅もあれば新種もある
一方で、現在進行形で絶滅する種もあれば、現在進行形で新たな種も誕生している。
人類が確認できている種は生物全体から見れば圧倒的に少数であり、もしかしたらこれを書いて、これを読んでいる間にも地球の何処かで人類が知らない間に新しい種が産声をあげているかもしれない。もっと言えば絶滅する速度が速いならば新種が発生する速度も速くなってもよい。現に大量絶滅のあとには種の爆発を起こすケースも多い。
例えば、ある場所の都市化に伴い、そこで暮らしていた種が追いやられる一方で、人類の作った都市にうまく適応し、人類と共存しようとする種も出てきている。
住宅街の緑地などに住んで、近くを通る人間の餌付けで生活する野良猫などは代表的な例である。
新種がいいとは限らない…
しかし、ある動物が絶滅したことにより、生態系が崩れ、さらに今まで生まれなかった新種のウイルスまでもが生まれてしまうことが稀にある。
よって、種の保護を怠ることは自分達の身を守るためにも良くないことである。
つまるところ、変なことが起きないよう、出来ることであれば現状維持が一番ということである。
地質時代の大量絶滅
絶滅は何も今に始まった話ではなく、地球の歴史から見れば大量絶滅は幾度と無く起こっている。むしろそっちのほうが圧倒的多数派である。
そもそも新生代、中生代、古生代と言った「代」やジュラ紀、白亜紀といった「紀」の末期には多かれ少なかれ大量絶滅を引き起こしているのだ。 特に古生代の最後の区分であるペルム紀の末期の大量絶滅では、地球に存在する95%の種が死に絶えたと言われており、五大絶滅は現代(完新世)の絶滅とはレベルが違う(現代の絶滅では最も悲観的な見方でも全地球の種のうちの50%程度の絶滅と言われている)。
ここではオルドビス紀、デボン紀、ペルム紀、三畳紀、白亜紀に起きた五大絶滅と、22億年前の好気性細菌の出現と原生代末の大絶滅について簡単に触れる。
好気性細菌の出現
地球にいつ生命が誕生したのかはわかっていないが、当初の生物は嫌気性細菌、つまり酸素は苦手だったり、呼吸に酸素が必要ない生物であった。しかし、22億年前頃から光合成を行う細菌が出現し、次第に地球の酸素濃度が高くなっていった。その結果、多くの嫌気性細菌は絶滅したと考えられている。とは言っても、嫌気性細菌は現代でも細々と生き残ってはいる。
原生代末
原生代にはエディアカラ生物群と呼ばれるクラゲのような生物が栄えていたが、原生代末期に絶滅している。エディアカラ生物群は固い殻や骨を持たず、化石になりにくいこと、かなり古い時代の生物であることから詳しい絶滅の原因はわかっていないが、火山活動や超大陸の形成と分裂に伴う環境変化、次の古生代につながる新たな生物群による捕食などの説がある。
オルドビス紀
古生代のオルドビス紀末には全世界の85%の種が死に絶えた。三葉虫や腕足動物、サンゴなど、当時海中で繁栄していた種の大半は絶滅した。恐竜時代の絶滅より規模が大きく、地球の歴史でも2番目に大きな大量絶滅である。
当時の地球近傍にあった大質量の巨星の一つが超新星爆発起こし、ガンマー線が大量に降り注いだために発生したと言われている。ちなみに、もし更に近い位置にあった場合、細菌すら生き残れない環境になっていても全く不思議ではない。
海底付近に生息していた三葉虫などは生き残った(どの道絶滅するが)
デボン紀
デボン紀の中頃に大量絶滅があり、全世界の82%が絶滅に追い込まれた。特に淡水生物よりも海水にいた生物は壊滅的な惨状となった。原因は二段階に渡る急激な寒冷化とされているが、その原因は小天体の衝突とする説などがありはっきりしていない。
ペルム紀
古生代末期の大量絶滅、P-T境界ともいう。五大絶滅の中でも特に深刻な大量絶滅であり、驚くべきことに当時地球に生きていた全生物種の95%が絶滅してしまった。生き残っていた三葉虫などもこの時に絶滅している。
当時は超大陸(パンゲア)が形成され火山活動が極度に活発化し酸素が激減したのに加え、海岸線が全世界で後退して食物連鎖が急激に乱れる。更にこれらに誘発されて現代の地球温暖化とは比べ物にならないレベルの温暖化が発生するなど大量絶滅要因の数え役満である。
あまりにも大規模な大量絶滅であったため、さすがの地球もその後の修復が遅れてしまった。
三畳紀
三畳紀末にも大量絶滅が発生し、全生物種の76%が絶滅した。アンモナイトもこの時ほとんどが絶滅してしまったようだが一部は生き残る(結局絶滅という運命だが)
ちなみに、今回の絶滅の要因は火山である。だいたい火山のせい。
これ以降比較的小規模だった恐竜が繁栄することになる。恐竜の繁栄は約1億年続くのだが…
白亜紀
K-T境界とも言われるお馴染みの大絶滅である。小惑星による天体衝突によって引き起こされたという説が昔から唱えられていたが、異説もあった。しかし最近になって「やっぱり天体衝突です」と結論が出つつあるようだ。
五大絶滅の中では一番規模も小さく、絶滅したのは70%-75%ほどである(といっても深刻な大量絶滅であることは間違いないが)
生き残っていたアンモナイトが絶滅、植物プランクトンなども壊滅的な被害を受けた他、淡水サメなども絶滅。更に陸上では鳥類系以外の恐竜が全て絶滅した他、哺乳類も大型のものは全て絶滅してしまった。
ちなみにこの時に衝突した天体の威力は地球全てにある核兵器の威力の1万倍だそうである。宇宙ヤバイ。
このような絶滅が起きた後は哺乳類が台頭、現在の人類の進化に繋がっていく。
人類の絶滅シナリオ
長期的には、全ての種はやがて絶滅に至ると考えられている。それらの穴は別の種が埋めていくのは地球の歴史のとおりである。これは人類も例外ではない。
では如何にして現在の人類は絶滅するのだろうか?
核戦争・文明の崩壊
核戦争や文明の崩壊、地球温暖化などによって人類は滅亡するというもの。終末論として有名だが実際には仮に起きたとしても完全な絶滅に至る可能性は低いと考えられている。
人口が半減したり、あるいは99%減少してしまうことはあっても、これらを生き残った人類がこういったものに耐性を持ちまた繁栄を繰り返すからである。
とはいえ、実際に起きたら凄まじい悲劇であることには違いない。全力で避けねばならないことには変わりはない。
次の氷河期
長期的には地球は氷河期と間氷期を繰り返す。現在はかなり温暖な時間であり、いずれ氷河期へと達するのは不可避である。
さすがに全球凍結とまでは行かないものの、現在よりも遥かに寒い環境に激変し、それによって人類が耐えられなくなり絶滅するというもの。
ただ、そうした本格的な氷河期になるにはまだ何万年何十万年何百万年と後の話であり、その頃の科学技術を持ってすればどうとでもなるというのが大方の見解である。
人類から派生した別の種に滅ぼされる
あまり語られないが、実際のところ一番現実的で確率が高いのがこのシナリオである。
つまり、現在の人類から派生した新種の生命体が登場し、結果的に現生人類を滅ぼすというものである。
だが、これに関しては現在のホモ・サピエンス以前の人種がホモ・サピエンスによって滅ぼされたのと同じとみなして良く、正常な進化の過程と淘汰と解釈して良い。
こうしたことは数十億年前に最初の生命体が出来た時から起こっていることであり、地球全体の歴史からすれば特筆すべき事象でもないのだ。
その別の種がどのような形なのかは分からないが、何れにしても現在の人類よりも環境に適応しており、頭脳や身体能力ともに現在の人類よりも遥かに優れた存在であることは確かであろう。
また、人類を滅ぼしたその別の種も、またそこから派生した更に別の種に滅ぼされるといったことも十分に考え得るのである。
巨大隕石衝突
隕石の直径にもよるがその威力は想像を絶するものであり、また隕石衝突自体もさることながら(直径1キロほどでも、仮に東京を直撃した場合関東に住んでいる人間はほぼ全員が即死すると見られている)、その後に起こる急速な寒冷化とそれを過ぎた後の地球の大半が砂漠化してしまうによる灼熱の環境を生き残ることは現在の科学では到底不可能と考えられている。
白亜紀に落ちた直径10キロほどの隕石の威力は現在の地球の全核兵器の1万倍であるのだから核戦争よりも遥かに壊滅的被害を人類にもたらす。
しかし、そのような巨大隕石の衝突の確率は非常に低い。それこそ何千万年、何億年に1度という確率でさえあるだろう。NASAではそうした地球に衝突する恐れのある巨大隕石を見張ってはいるが、いずれも衝突確率は低く見積もられている。
ただし、超長期的にはこの隕石の衝突は不可避と言える。更に、30億年後に控えているアンドロメダ銀河との衝突の際に確率が激増する他、太陽系も銀河系を好き放題に動いているため、その時の位置次第では確率が変動する。
また、このような苛烈な環境を人類が生き残る可能性もないわけではない。
超新星爆発
超新星の距離と威力によっては人類どころか細菌の一つ生き残ることが出来ない環境になってしまう。特に超新星の位置から半径5光年以内の場合まず生命は生き残れないと考えて良く、50光年以内程度でも壊滅的被害をもたらす。
巨大隕石の衝突以上に確率は低い。現在の所そのような星はないが、宇宙の星々は勝手気ままに猛スピードで移動しているため(ただし密度が極端に低いので衝突は殆ど無い)このような巨星が運悪く地球の近くに…といったこともあり得る。ただし、そのような確率は基本的に限りなく0に近いと考えて良い。
ただし、アンドロメダ銀河との衝突時にこうした大質量星が多く形成されると考えられており、超長期的には油断はできない。
太陽系と宇宙の未来
これらのシナリオを全てクリアしたとしても、人類、あるいはそこから派生した別種、ゴキブリさえもいずれ絶滅し、宇宙に生命体はいなくなる。理由を下に記す。
億年単位の超長期的には、どうあがいても地球は生物の住めない環境になる。これは基本的に不可避と言って良い。
太陽の光度は主系列星の段階でも徐々に増加しており、あと5億年から10億年すれば地球の水は全て蒸発してしまい、現在の金星のような状態に変貌してしまう。そうなる前に火星、できれば太陽系外に緊急避難することが求められる。尤も、この頃にはすでに今の人類は派生した別の種に滅ぼされている可能性が100%だろうが。
更に長々長期的な視野に経つと、約30億年後には現在の天の川銀河はアンドロメダ銀河との衝突を引き起こす、またそれと前後してさんかく座銀河とも衝突し、一つの巨大な銀河を形成する。
この時太陽系が他の星と衝突する可能性は限りなく0に近いが、銀河衝突にともなって新しい星が大量に発生するなどして、近傍での超新星爆発の危険性が格段に増す。そうでなくても、星の接近によってオールトの雲から大量の隕石が降り注ぐ危険性もある。
この時までには少なくとも太陽系外の複数の星の下に移住しないことには人類の存続は難しいだろう。
更に50億年後には太陽は水素を使い尽くして大幅に膨張し、とても人類が住めるような環境にはならない。この頃には太陽系から脱出しない限り絶滅は不可避であろう。
しかし、更に超々々長期的には星の形成自体も行われなくなってしまう、一番寿命が長い恒星でも10兆年程度で燃え尽きてしまうと考えられている。
尤も、そうした太陽より軽い恒星はありふれてはいるのだが。星が輝くことがなくなった宇宙はブラックホールだらけとなりそれらもやがて衝突・融合し、最終的に宇宙の膨張にともなって衝突さえもしなくなり、ブラックホールも蒸発してしまい、最終的には絶対零度に向かってひたすら冷えていくだけの宇宙となりはててしまう。
この頃には人類はこのような環境に適応するようにならなければならないが、はっきり言うと無理ゲーとも考えることができる。
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- 恐竜大絶滅の謎 : 6500万年前地球に何が起こったか (金子隆一, 学研ジュニアブックス, 1993) | NDLサーチ
- 大量絶滅がもたらす進化 (金子隆一, サイエンス・アイ新書, 2010) | SBクリエイティブ
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