ジャック・ラカンとは、
本項では1について記載する。
概要
フランスの構造主義に大きな影響を与えた人物。実は著書は『エクリ』といくつかの論文のみで、彼の思想のほとんどが、「セミネール」の録音などをまとめたものである(実際は筆記用具、録音機器持ち込み禁止だったようだが)。
当初はジークムント・フロイトの流れをくむ、精神科医であった。そんなラカンを一躍有名にしたのが「鏡像段階論」である。幼児が鏡に映った自分という他者を通して自己を定義するように、人間が自己を知るには必ず他者を媒介させなければならない、というものである。
そして構造主義者になったラカンであったが、ラカンが用いた典型的な表現として「無意識は一つの言語として構造化されている」というものがある。この主張は、フロイト的な無意識の概念を、フェルディナン・ド・ソシュールの言語学、クロード・レヴィ=ストロースの構造主義と結びつけたものである。
つまりソシュールのシニフィアンの連鎖を「構造」として理解し、フロイトの無意識はその連鎖によって構造化されるというものである。
さらにラカンは、人間の無意識のうちに言語が介入してくることを、「大文字の他者」と表現する。「大文字の他者」とは人間社会そのものを成り立たせる根底的な秩序で、人間はその規範に無意識的に従わなければならないのである。ラカンはこれをネガティブにもポジティブにも評価し、後者を「人間の欲望は大文字の他者の欲望である」とし、そのことが社会秩序を作るとするのである。
関連項目
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