一般的には「タバコ税」のようにカタカナ表記を使うことも多いが、税法においては「製造たばこ」「たばこ税」のように、ひらがな表記で統一されているため、この記事においてもひらがな表記を用いる。
概要
たばこ税は国税の一つで、平成20年度の税収は約8,500億円である。これは、租税及び印紙収入の1.9%を占め、国税の中では9番目に多い。
一方、社会的損失の試算では、税収の3倍以上の損失を生むとされている。
たばこ税の課税対象は製造たばこである。製造たばこは喫煙用、かみ用、かぎ用の3つに区分され、さらに喫煙用の製造たばこは紙巻たばこ、パイプたばこ、葉巻たばこ、刻みたばこの4つに区分され、それぞれ第一種から第四種とよばれている。たばこの分類については「タバコ」の記事に詳しい。
たばこ税は間接税であり、税金を負担する人と税金を納付する人が違う税金である。具体的にはたばこ税を負担する人が消費者であるのに対し、たばこ税の納税義務者は製造たばこの製造者(JTなど)もしくは輸入者である。製造の場合は製造たばこを製造上から移出したとき、つまり作った場所から製造たばこを持ち出したら課税対象になり、一ヶ月分の税金を翌月末までに税務署に申告して納付する。輸入の場合は保税地域から引き取ったときに課税対象となり、税関に申告して納付する。なお、製造者が他の製造たばこを製造するため、別の倉庫に移動するため、海外に輸出するために製造場から移出した場合などには一定の書類を提出すれば免税になる。逆に、製造場から移出しなくても、製造場に置いて製造たばこを喫煙した場合などには課税対象となる。
たばこにかかる他の税金
たばこにはたばこ税のほかにもたばこ特別税、道府県たばこ税、市町村たばこ税なども課税される。一般的にはこれらをあわせてたばこ税ということもある。
たばこ特別税は旧国鉄等の債務返済のために創設された国税である。ただし、その収入は国債整理基金特別会計に組み込まれており、旧国鉄等の債務に明確に対応しているわけではない。平成20年の税収は約2,000億円である
道府県たばこ税は都道府県の税金であり、いわゆる都たばこ税を含む。市町村たばこ税は市区町村の税金であり、いわゆる特別区たばこ税を含む。どちらも、小売販売業者や消費者等に売り渡した時や消費した時に課税され、製造者だけでなく卸売販売業者等も納税義務者となる。
これらのたばこ特有の税金に加えて、通常の物品と同様に、たばこを売却したときには消費税が課税される。
課税標準と税率
たばこ税の課税標準、つまり税額を計算するための基礎となるものは製造たばこの本数である。なお、ここでいう本数とは紙巻たばこ(第一種)の本数のことであり、これ以外のたばこについては次の重量を紙巻たばこ一本に換算して本数を計算する。
区分 | 重量 |
---|---|
パイプたばこ(第二種) | 1グラム |
葉巻たばこ(第三種) | |
パイプたばこ(第四種) | 2グラム |
かみ用の製造たばこ | |
かぎ用の製造たばこ |
たばこ税の税率は1,000本につき5,302円である。ただし、特定販売業者(輸入した製造たばこを販売するための登録をした業者)以外のものによる輸入の場合は1,000本につき11,424円である。当分の間の経過措置として旧紙巻たばこ三級品(わかば、エコー、しんせい、ゴールデンバット、ウルマ、バイオレットの6銘柄)の税率は1,000本につき2,517円に軽減されている。ほか、特定販売業者以外のものによる輸入の場合でも紙巻たばこを携帯して輸入するなど一定の場合には1,000本につき10,500円になる。
たばこ特別税など他のたばこに関する税金も合わせて税率を表にまとめると次のようになる。1000本ごとに税金がかかるのは全て共通している。
税金 | 通常(1,000本) | 旧三級品(1,000本) | 通常(1箱20本) | 旧三級品(1箱20本) |
---|---|---|---|---|
たばこ税 | 5,302円 | 2,517円 | 106.04円 | 50.34円 |
たばこ特別税 | 820円 | 389円 | 16.40円 | 7.78円 |
道府県たばこ税 | 1,504円 | 716円 | 30.08円 | 14.32円 |
市町村たばこ税 | 4,618円 | 2,190円 | 92.36円 | 43.80円 |
合計 | 12,244円 | 5,812円 | 244.88円 | 116.24円 |
マイルドセブンのような1箱410円のたばこの場合、消費税19.52円を加えた264.40円が税金となり、全体の価格の約64.5%を占める。これは、お酒やガソリンが4割程度であることと比べても高く、物品にかかる税金としては日本で最も高い。ただし、世界的に見ると特別高い税率というわけではなく、先進国の中ではむしろ税率が低い方であるとも言われている。
関連項目
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