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タバコの社会的議論(タバコはどうあるべきか?またはマナーの問題について)は喫煙の記事でお願いいたします。 |
タバコとは
タバコとはナス科タバコ属の植物、およびタバコの葉を加工した嗜好品のことをさす。葉巻、パイプタバコ、刻みタバコ、嗅ぎタバコ、噛みタバコ、紙巻きたばこ等の形態で利用される。
その他の嗜好品(例えばアルコールを含む酒、カフェインを含むコーヒーや紅茶など)と同様に、中枢神経へ薬理作用を及ぼす物質、すなわちニコチンを含んでいる。ニコチンの作用の詳細は該当記事『ニコチン』に記載されているが、要するにニコチンによって「満たされた感じ」「やる気が出た感じ」「落ち着く感じ」などが効果として得られるため、嗜好品として成り立っている。さらに、銘柄や摂取方法によってそれぞれに香りや味、趣が異なることでも楽しみを得ることが出来るとされ、この点についてもその他の嗜好品と同様であり、愛用者も多い。
販売価格のうち約55%が「国たばこ税」「都道府県たばこ税」「市町村たばこ税」「たばこ特別税」という税金でできており、国や地方の税金源の一部ともなっている。高度経済成長期を中心に「たばこは市内で買いましょう」という自治体広告も存在していた。
ただし日常的に摂取していると、摂取できない時にニコチンの離脱症状として逆に「満たされていない感じ」「やる気が出ない感じ」「落ち着かない感じ」などが強く生じるために、依存性も形成する。発がん性も知られており、依存性と発がん性が組み合わさることで問題視されることがある。これによる社会的議論などは『喫煙』の記事を参照。喫煙者の多い時代には、火災の大きな原因の一つにもなっていた。
年齢層が低いと思われるニコニコ動画では喫煙率も低いと予想されるが、生放送などで未成年の生主が喫煙し、「炎上」を巻き起こす事がしばしばある。またアニメ、漫画等ではタバコはキャラクターの一種の記号として用いられており、漫画などでタバコを銘柄つきで登場させると、作者にタバコがどこかから送られてくる事もあり、よく用いられる
歴史
ナス科タバコ属の植物であり、世界において一番生産されているのはニコチアナ・タバカムと言われる品種である。北米先住民にとっては神への供物でもあり、呪術的治療のための薬草や嗜好品として利用されていた。
1492年のコロンブスによって先住民との交流からはじまり世界へと伝播する。禁煙令は1570年代に出ており、特にキリスト教やイスラム教で忌避され破門や死刑が科せられた。日本においては南蛮貿易の織田信長の頃に伝播した。豊臣秀吉は当初は愛煙家だったが体に悪い事から忌避し始め、漢方を学び健康への造詣があった徳川家康はタバコの危険性に気づいた事と、タバコを吸う家来がすぐに仕事をさぼる事に気づき禁止令を出した。江戸幕府は死刑を含む厳しい規制も行ったが、規制は不完全だった。慶長年間ごろには藩の収入として活用できるため、町人たちに定着していくことになった。明治時代には、戦費調達のために国産の紙巻きタバコが愛国のためとして親しまれるようになった。現代においてもタバコと言えば一般には紙巻きたばこの事を表す。
鉄道機関士などの眠気防止として、喫煙が推奨された時期もあった。
喫茶店の紙マッチなど、各種喫煙具は広告媒体としても広く活用された。「今日も元気だたばこがうまい」のコピーに代表されるように、イメージ広告を主体とした各種広告が雑誌、テレビCM、屋外看板などで広く見られた。ただし20世紀末より、規制のため目にする機会は限られてきている。
2020年4月には東京オリンピック開催を前に改正健康増進法が施行され、屋内では原則禁煙(宿泊施設や特定条件を満たす飲食店は除く)、通常の喫煙室では飲食不可となるなど、喫煙に関する法律が厳格化された。
タバコの種類・喫煙の形態
紙巻きタバコ
英語ではCigarette(シガレット)と表記する。17世紀頃にスペインで登場し、一時のブームと言われていた。手巻きによって作られていたが、1876年にジェームス・デュークによってタバコを自動で巻ける機械が発明された。この発明によって驚くべき速度でタバコの製造が可能になり、一時のブームと言われていた紙巻きタバコは、世界で最も売れる形となった。現在のタバコの99%以上は紙巻きである。細かく刻んだタバコ葉を紙で巻いた物であるが、1950~70年頃には製造法が革新され、再構成シートと呼ばれる従来なら使わず捨てていた茎などを使った、粗悪な原材料を使う事で劇的なコストカットを実現した。タバコ全体に対して30%がこの粗悪な再構成シートであり、10%は添加物で構成されるようになった。箱に10本か20本入りの形態で流通、現代ではフィルター付きの物が殆どであるが、ごくわずかながら両切りタバコとよばれるフィルターのない物が存在する。肺喫煙と呼ばれる煙を肺に吸い込む方法で喫煙する。タール値やニコチン量が表記されており一つの目安として利用されているが、測定方法と人の喫煙方法は全く違うので、例えば表記が0.8mgタールのプレイヤーズウルトラマイルドは、実際には28.5mgタールと同じとなる。他のタバコは紙巻きタバコと同じ測定方法が使えないため、また実際の吸引する量と無関係のため表記はされない。
手巻きタバコ
英語ではRYOと表記されるが、メルトの作者ではなくRoll Your Own Tobaccoの略。手もしくは器具等を利用して、専用のシャグと呼ばれる巻きやすいタバコ葉と専用の巻紙を巻いて作るたばこである。
海外諸国では、前述の紙巻きタバコに高額な税金がかけられているので、税率が優遇されていて金額の安さからも幅広い層に利用されているが、日本においては税率は同じであるので製品の保存状態のよさなどから来る、独特の香りなどを好む物好きの趣味扱いであり、よく大麻と勘違いされる。
パイプ
元は土から作った陶器製のパイプを利用していたが、現代ではブライヤーという地中海に生えているツツジの親戚の根っこを削りだして作ったパイプを利用して喫煙する。その他にはメシャムと呼ばれる柔らかい海泡石から作られたパイプも存在、高価であるが彫刻が施され、喫煙と共に親子数世代で飴色に染まっていくものもある。
パイプタバコは紙巻きタバコ3本分程度を数時間程度かけて喫煙する為、コストパフォーマンスに優れるが、安定した喫煙が出来るまでにはそれなりの熟練を要する。なお、当然のことながら専用にパイプ用の葉が存在する。
煙管(キセル)
電車のただ乗りのこともさすが、これは煙管が吸い口と火皿の部分だけ金属で中間は羅宇(らう)竹と呼ばれる物を利用していることから、中間に金(属)がないことを元に語源となった。
その他にも延べ煙管と呼ばれる、金属を延ばして作った煙管も存在するが、その金額は概ね数万円と高額である。
利用には専用の刻みタバコを使用、現在は小粋と呼ばれる刻みタバコだけが存在しており、先端部の火皿に丸めてねじ込み火をつけて喫煙する。江戸時代においては3回程度で吸い終わるのが粋とされたことからも、その喫煙時間はごくごく短時間であるが、勢いよく吸い込むと火種が口に入るので注意が必要。
当時は持ち方一つでも身分を表したり、ファッションや交流のアイテムとして重宝されていたが、現代では茶道や落語、歌舞伎などの古典文化的な場面でのみ伺い知ることが出来る。
また、ジャンプやサンデーの漫画などでは、武器の一種として、武芸に大なり小なり通じている人物が使うこともある。
詳細は該当記事を参照。
水タバコ
hookah(フッカー)、シーシャという呼称で呼ばれるケースが多い。大きな火皿にフレーバーと呼ばれる蜂蜜などで固めた練ったタバコを専用の置き炭で燃焼させ、フィルターとして水の入った容器をくぐらせて喫煙する。
燃焼時間は約1時間ほどで中近東では喫茶店などに設置されており、数人分の吸い口がついている物を多くみかける。水を通すことでマイルドになること、より冷えた煙になることから日中の温度が高い中東における発達がなされた喫煙方法と言える。日本でも下北沢などに水タバコ専門のカフェが出店しており、小規模ながらも国内で器具などを用意せずに体験することが可能になっている。
また、bong(ボング)等の名前で呼称される水パイプ(フッカーなどと異なり、フレーバーを利用せず火皿も小さめ)は一般のタバコを水のフィルターを通すことで吸いやすくする事が目的である。ただし日本においては大麻吸引用のイメージが強く、サブカルチャー的な商品を扱う店舗で販売されていることが殆どであるものの、一部のたばこ屋さんでは紙巻きタバコ専用の水パイプも販売されており入手が可能である。理論的には単純構造なのでペットボトルなどでも作成することは可能。
詳細は該当記事を参照。
葉巻
英語でCigar(シガー)とも呼称される。中から外まで専用に処理されたタバコの葉で作られたタバコ。一番原始的な喫煙方法であり、プレミアムシガーと呼ばれる高額な物はすべて職人による手作り、比較的安価な物は機械によって作られることが多い。形態もタバコをプレスしてシート状にしたものを巻いたもの、フィルター付きの紙巻きタバコ同様な製品(リトルシガー)から、葉巻葉だけを使って巻いた直径十数センチ、長さ20センチ超の太く長い物まで様々である。プレミアムシガーは温度湿度管理が必要で、専用のヒュミドールと呼ばれるケースに保存し喫煙の際には吸い口をカットする必要があるが、対して機械で量産されたドライシガーと呼ばれる物は、基本的に常温での管理でも問題がないとされていたり、吸い口が既にカットされている物が標準である。
特にプレミアムシガーはその高価さに加え喫煙の手間や1本の喫煙にかかる時間、ある程度のテクが要求されることや広範かつ重厚な蘊蓄、葉巻そのものの他にヒュミドールやライターにカッター、専用の灰皿など金の掛けどころが多い事などから極めて趣味性が高い物であり、「紙巻きはやらないけど葉巻は吸う」と言う者は葉巻喫煙者の中ではかなりの割合で存在する。
なお、欧米では、普段喫煙習慣が無い人でも何かの記念日やメデタイ日などに葉巻を嗜む習慣がある。
有名な産地はキューバやドミニカ、ホンジュラスなどで、産地により喫味も多種多様。特にキューバ産の葉巻は特に人気が高く、数多いブランドごとに多様なキャラクターが確立している。
詳細は該当記事を参照。
加熱式タバコ
スティックやカプセルに練り込まれたタバコ葉を専用カートリッジで超高温加熱することにより、ニコチンを含むエアロゾルを発生させてその蒸気を吸引する。煙がほとんど出ず火を使わないのが特長。1997年から2007年までJTから発売されていた「エアーズ」が始まり。現在は主に「IQOS(アイコス)」「glo(グロー)」「ploomTECH(プルームテック)」「PULZE(パルズ)」が有名で、いずれもメンソールやアロマなど味の種類は豊富である。ここ数年で若者から中年の男女を中心に幅広い人気がある。
ただし加熱式タバコはヒートスティック、ネオスティック、たばこカプセル、iDスティックといった感じに形式がかなり異なるため、互換性のある機種・銘柄でないと使用できない。
火を使わず副流煙はほとんど発生しないが、吸引する蒸気や副流煙に相当するエアロゾルには通常のタバコ同様の有害物質が含まれる。
ヴェポライザー
タバコを外部から加熱して蒸気を吸引する点は加熱式タバコと同様であるが、専用のスティックを使用しないもの。加熱式タバコと同じくバッテリーに蓄えた電気でタバコ葉を加熱する機種が一般的であるが、一部では直火で加熱する機種も存在する。
使用するタバコ葉は手巻きタバコ用やパイプタバコ用、場合によっては紙巻タバコを分解した物が用いられる。専用タバコを使用する加熱タバコよりはコストパフォーマンスに優れる。また、使用できるタバコの種類が多いことから好みの味のタバコを探す楽しみも多い。あれこれ試すうちに沼ってるひともいる。
嗅ぎタバコと噛みタバコ
基本的に鼻及び口腔粘膜からニコチンを摂取する方法であり、厳密には燃焼を伴わないことから喫煙とはされない。
嗅ぎタバコはSniff(スニッフ)と呼ばれる、微粉末のタバコ葉とオイルや柑橘類、ミントなどの香料を混ぜ合わせてある製品。ニコチンなし製品も存在するが、鼻づまりの時には利用できないこともある。摂取方法から違法薬物と誤解されるケースがあるが、その摂取方法のスニッフ(嗅ぐ)とはこの嗅ぎタバコの方法が語源である。
噛みタバコにはかなり様々な種類がある。「噛み」タバコと言っても実際に「噛む」ことはせず口に入れておくだけのものも多く、またタバコ以外の原料と混ぜるものも多くタバコの分量もまちまちであるので、どこまで「噛みタバコ」に含めるか混乱がある。
代表的なものは主にアメリカなどで作成・消費される、紙タバコと類似の製法で作られる噛みタバコである。唾液により噛みタバコから溶け出す液体が非常に刺激があり、ニコチン酔いを引き起こしたり胃が荒れることから、唾を吐くことが必須で見苦しいのが難点。以前は大リーガーなどが利用していたこともある。
日本で市販ルートから入手出来る物はスウェーデン産のSNUSだが、これは主に塩・タバコ葉・水・リコリスなどと混ぜ合わせて作成されるもので、主に噛まずに上唇の下に置いておく。上記のアメリカのもののように頻繁につばを吐き出す必要が無い。
アジア各国等でも様々な噛みタバコが普及しており、SNUSのようにタバコと他のものを混ぜて製造されるものが多い(檳榔とタバコを混ぜて製造するグトゥカーなど)。
嗅ぎタバコ・噛みタバコの双方とも喫煙環境を必要とせずに利用できる無煙タバコ製品として流通しているが、日本においてはごくわずかな利用者だけにとどまっている。
一部の噛みタバコは口腔癌や舌癌、咽頭癌等のリスクを明らかに高める。ただし上記のようにどこまでを噛みタバコとするかがはっきりしないなど、物自体の定義がやや曖昧であるためか、正確な研究や統計がやや難しいようである。
関連動画
関連項目
- 檳榔
- 喫煙
- 嫌煙
- 愛煙
- 禁煙
- たばこ税
- ヘビースモーカー
- 最後の喫煙者
- 自殺
- 悪性腫瘍(癌)
- ニコチン
- 葉巻
- 水たばこ
- 煙管
- キセル乗車
- 禁煙パイポ
- 日本たばこ産業
- たばこ税
- 日本専売公社
- モータースポーツ(1970年代~2000年代中盤までスポンサーとして一大勢力を築いていたが、現在は広告規制等により殆どが姿を消してしまった)
- taspo
- VAPE
- 加熱式タバコ
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