パラジクロロベンゼン(p-Dichlorobenzene)とは、芳香族有機化合物の一種。略称はp-DCB。
- パラジクロロベンゼン - オワタPによる鏡音レンオリジナル曲。当該記事参照。
概要
構造と命名法
パラジクロロベンゼンとは、簡単に言えば「パラという位置にジという数のクロロがくっついたベンゼン」である。
パラ(para-, p-)とは、二置換ベンゼンがとりうる3通りの配置のうち、ちょうど反対側となる1位と4位に置換したものにつく接頭辞。なお、隣り合う1位と2位に置換したものにはオルト(ortho-, o-)、さらに隣の1位と3位に置換したものにはメタ(meta-, m-)という接頭辞がつく。
そして、ジ(di-)は2を表し、クロロ(chloro)は塩素の置換基を表す。
つまり、この化合物は「2つの塩素が反対の位置に置換したベンゼン」という意味になる。また、世界標準であるIUPAC命名法に従えば、1,4-ジクロロベンゼン(1,4-Dichlorobenzene)となる。
合成
ベンゼンを基質として、芳香族求電子置換反応の塩素化をFeCl3などのルイス酸(Lewis acid)触媒を用いて行う。
工業的には、触媒のルイス酸を変えて収率のよい方法が行われているようである。
中等教育において
高校では、前述したオルト・メタ・パラという配向性やベンゼンのハロゲン化について学ぶ際に、教材で紹介されているかもしれない。融点の実験によく出てくるらしい。
用途
主な用途として防虫剤があげられる。その際、ほかの防虫剤と併用してはならない! 凝固点降下により溶け出して衣服などにつき、汚す可能性があるため。
化学的性質など
- 昇華性を持つ。
- 脂溶性であり、水には溶けにくい。
- 物理化学的な性質として、クロロベンゼンは塩素原子による双極子モーメントが生じるが、p-ジクロロベンゼンは構造を見ると双極子モーメントのベクトルがちょうど打ち消しあうので0となる。参考:o-クロロベンゼンの双極子モーメントは9.9×10-30Cm。m-クロロベンゼンの双極子モーメントは5.7×10-30Cm。
その他
一時、カップラーメンなどにパラジクロロベンゼンなと防虫剤の成分が混入する事件があった。パラジクロロベンゼンなどがカップを通り抜けての付着したためであった。
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