農林水産省賞典
中山大障害
J・GI・中山競馬場・障害4100m
中山大障害とは、12月下旬に中山競馬場で4100mで行われるJRAの障害レースのJ・GI競走である。
概要
1934年に、年末の中山競馬場において東京優駿に匹敵する名物競走として創設された。英国で開催されているグランドナショナルに範をとった障害競走として「大障害特別競走」の名前で始まり、以降幾度か名称の変遷を経て、78年以降「農林水産省賞典 中山大障害」、通称「中山大障害」として定着する。
1935年以降、基本的に春秋の年2回開催が続いたが、1999年に障害競走へのグレード制導入が決定。これに合わせて春の大障害は廃止となり、「中山グランドジャンプ」として新設。共に「J・GI」として格付けされる。2011年には国際競走となり、現在に至る。
1964年に中山グランプリ(現、有馬記念)が創設されるまで、中山競馬場における最大の古馬競走であり、年末の名物であった。中央競馬における重賞競走としても春秋天皇賞、目黒記念、東京優駿に次ぐ歴史を誇り、創設以来、日本の障害競走における最高峰として位置づけられている。
2002年、ニュージーランドから短期免許で来日していたロシェル・ロケット騎手が、JRAにおいて初めての女性による重賞勝利を収めた。
2003年の開催は降雪により中止になり、第126回は翌年の1月10日に延期された。このため2004年は1月と12月の2回の開催となった。
出走馬資格:3歳以上 除未出走馬および未勝利馬
負担重量:定量(3歳61kg、4歳以上63kg、牝馬2kg減)
出走可能頭数:16頭
1着賞金:6600万
コース
コースは直線芝コース4100m。中山グランドジャンプは芝外周りコースの4250mであるが、中山大障害は昔ながらのオリジナルコースで行われる。
3コーナーの3号坂路を登った先から順回りでスタート。5号生垣障害、1号水濠障害、2号生垣障害、3号生垣障害を飛び、最初の1号坂路(谷)へ。そのまま2号坂路を下り襷コースへ。過去に幾多の波乱を呼んだ日本最難関障害と言われる6号の大竹柵障害を飛越。
そのまま今度は逆回りで4コーナーを抜け、最初に飛んだ5号生垣障害をまた飛越し、スタート地点を通過して3回目の坂路となる3号坂路へ。そのまま2号坂路を通過しまた襷コースへ。7号の大生垣障害(通称赤レンガ)を飛越しまた順回り。2号生垣障害、3号生垣障害、1号坂路、4号竹柵障害、3号坂路を通過し、最後の障害となる5号生垣障害を飛越すると後は平地の足比べとなる。
おおむね半周回ったのち、八の字を描くように回ったあと、さらに半周回るといったほうが分かりやすいか。
このコースの目玉はもともとの地形を生かして作られた、世界を探してもおそらくここしかない坂路。そして日本でここだけの十字襷にそびえたつ2つの大障害であろう。
ダートコースのさらに内側にある障害コースを走り続けるため急カーブが多く、曲がり切れるような速度とコース取りをしなければならない。当然大竹柵、大生垣の飛越能力も問われる難コースである。
春のグランドジャンプと比べると、距離は150m短いものの坂路の通過回数が1回多いため、スタミナが問われる。
障害
以下の障害(と坂路)が出走する馬を待ち構える。データは2023年のもの
名前(記号) | 種類 | 高さ | 幅 | 詳細 |
---|---|---|---|---|
1号障害(①) |
水濠障害 | 120cm 内土台50cm |
370cm 内生垣70cm 内水濠270cm |
スタンド前にある障害。幅が広く、速度をつけて飛び越える必要がある。実は高さは昔より高くなっており、50cmだったものが1999年に100cmに、2014年に120cmになっている。 |
2号障害(②) | 生垣障害 | 140cm 内土台70cm |
240cm 内生垣140cm |
スタンドに並ぶ2つの障害のもう1つ。大昔には大生垣障害がこの障害に平行して置かれていた。あとオジュウチョウサンはこの障害を正しく飛び越えなさい。 |
3号障害(③) | 生垣障害 | 140cm 内土台70cm |
230cm 内生垣130cm |
スタンドから見て左手の向こう正面に向かう走路上にある障害。なぜかここだけ幅が10cm短い。昔高さが150cmだったからか。 |
4号障害(④) | 竹柵障害 | 130cm 内土台65cm |
160cm 内竹柵95cm |
向こう正面に置かれている障害。掻き分けるのが難しいので高さのある飛越が大事になる。なお、上下可動式なので高さを変更することができ、未勝利と平場は高さが120cmになる。 |
5号障害(⑤) | 生垣障害 両面飛越 |
140cm 内土台70cm |
240cm 内生垣140cm |
右手にある障害で合計3回も飛越する。スタート直後にも飛越するときは位置取り争いもあるせいか、ここで落馬してしまう馬も。 |
6号障害(⑥) | 大竹柵障害 | 160cm 内土台85cm |
205cm 内竹柵140cm |
大障害コースにそびえたつ2つの障害の1つ。昔から難易度の高い障害として有名で、ここで何頭もの馬が落馬した。1999年に行われた改革に伴い、踏切の目安となるものが設置された影響か近年ここで落馬する馬は少ない。ちなみにこの影響で昔より10cm幅が増えている。 |
7号障害(⑦) | 大生垣障害 | 160cm 内土台80cm |
240cm 内生垣140cm |
大障害コースにそびえたつ2つの障害のもう1つ。こちらも難易度が高いことで有名。土台の部分から「赤レンガ」とも呼ばれる。昔は「大土塁障害」と言われていたが、昔の大生垣障害の撤去と純粋な生垣障害の消滅に伴い使われなくなった。 |
名前(記号) | 深さ | 全長 | 勾配 | 詳細 |
---|---|---|---|---|
1号坂路(1⃣) | スタンド側3.57m 向こう正面側2.76m |
78m | スタンド側13.2% 向こう正面側5.4% |
2コーナー側にある坂路で最初に越える。馬が一気に地面に消えるので、はじめて見る人は驚くだろう。騎手も初めて乗った時は恐怖を感じるらしい。 |
2号坂路(2⃣) 2コーナー側 |
スタンド側4.60m 向こう正面側5.30m |
113m | スタンド側8.7% 向こう正面側8.8% |
大障害コースとも呼ばれる襷に続く坂路。襷では回る方向が変化するので通過中の位置取りというのが一つ重要になるが、坂路は谷になっているので中からは大障害すら見えない状態になる。なので騎手の実力が問われるところでもある。 |
2号坂路(2⃣) 3コーナー側 |
スタンド側4.30m 向こう正面側3.50m |
100m | スタンド側8.8% 向こう正面側6.9% |
|
3号坂路(3⃣) | スタンド側4.74m 向こう正面側4.53m |
92m | スタンド側12.2% 向こう正面側8.5% |
3コーナー側にある坂路。最後に越えることになるが、ここの上り勾配が一番きつい。それにもかかわらずゴールへ仕掛けていかなければならないため馬の能力が問われる。 |
通過順
⑤→①→②→③→1⃣→2⃣→⑥→⑤→3⃣→2⃣→⑦→②→③→1⃣→④→3⃣→⑤
歴代優勝馬
- 回数についているリンクをクリックすると該当する動画に飛びます。
- レースの個別記事がある回は大百科アイコンをクリックすると該当する記事に飛びます。
- 馬齢表記は現行表記に統一。
- 競走名は第1回が「大障碍特別競走」、第2回が「中山大障碍特別」、第3回から第8回・第20回から第21回が「農林省賞典障碍」、第9回から第18回が「中山農林省賞典障碍」、第19回が「中山農商省賞典障碍」、第22回から第63回が「中山大障碍」、第64回から第99回・第101回以降が「中山大障害」、第100回が「東京大障害」。
出走前のファンファーレ
関連項目
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