対位法(Counterpoint)とは、作曲・編曲の際に役立つ基本的な手法・理論のひとつである。
ここでは専門的な説明を避け、簡単に紹介する。より詳細な説明はWikipedia等を参照することを勧める。
概要
対位法は、複数の旋律を互いに美しく響かせたいときに用いられる。ポイントはメロディも裏メロも単体で聞いたときに旋律として成立していることである。
習得すると、メロディに対して不協和音にならないように裏メロを付けていくことが容易になる。さらに習熟すると、メロディをより美しく聴かせるためには裏メロの流れがどうあるべきなのかが分かってくる。音大等では半期から通年の授業科目になっていることもある。
組み合わせる旋律の数によって、2声対位法、3声対位法・・・と頭の数字が変わる。しかし基本は2声であり、2声対位法をきっちりマスターしていれば3声以上にもそれなりに対応できる。ちなみに4声くらいを扱えると、弦楽四重奏や混声合唱用の本格的な曲をかなりまともに書けるようになる。
対位法入門
対位法を学ぶにあたっては、厳格対位法もしくはパレストリーナ対位法を学ぶのが王道とされている。今回は厳格対位法をベースに説明をする。
基本となる規則は以下の通り。
- 美しく響く響きは長短3度・完全5度・長短6度・完全8度、もしくはその複音程である
- 順次進行かつ反行が望ましい
- 進行で許容されるのは、長短2度・長短3度・完全4度・完全5度・短6度・完全8度である
- 旋律でアルペジオを作ってはならない。ただし同方向でない進行ならよい(ド→ミ→ソと上がり続けるのはダメだけど、ド→ソ→ミと上がって下がるのはOK)
- 同形反復は避けよ(例えばミ→ド→レ→シなどと進行するとまずい)
- 連続1度・連続5度・連続8度は禁止。連続5度は後続音程が完全5度の場合禁止
- 間接連続5度・間接連続8度は、四分音符4つ分以上離れているならOK。それ以外の場合は複雑な規則に従う
- 並達1度は禁止。並達5度・並達8度は2声では禁止。3声以上では許可される場合あり
- 開始と終了はIの和音の基本形にすること
- 使用可能な和音は長三和音・短三和音の基本形もしくは第一転回形、減三和音の第一転回形である
- 長調と短調(旋律的短音階を用いる)の場合、終了1個前はVの和音の基本形もしくは第一転回形、あるいはVIIの和音の第一転回形にしなければならない。教会旋法(自然短音階含む)の場合この縛りはない
音楽的なギミックとして
前述の通り、対位法でつけた旋律は主旋律も副旋律も単体で旋律として成立する。
このことを利用して、対位法で作った複数のメロディを使って別の曲を作り、同時に演奏したときに1つの曲として成立するような曲を書くこともできる。
映像作品の主題歌や挿入歌、キャラクターソングなどで、対になる二者を象徴するように使われることが多い。
例えば、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』では、2つの対立する戦隊を象徴するために、それぞれの戦隊のテーマとして『ルパンレンジャー、ダイヤルを回せ』と『Chase You Up! パトレンジャー』の2曲を作曲した。両者を同時に演奏することで、OPテーマ『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』になるという仕掛けになっている。このような仕掛けは、「ルパンレンジャー」のメロディと「パトレンジャー」のメロディを対位法によって対になるように作曲することで実現している。
具体例
以下、対位法によって対になるようにメロディが作曲された劇中歌の例を記す。
多くの曲は種明かしとして同時演奏バージョンも発表されている。ただし、オケまで同時演奏すると音が濁ってしまうため、多くの場合オケは新規にアレンジされている。
- ルパンレンジャー、ダイヤルを回せ / Chase You Up! パトレンジャー (快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー)
- 上述の通り。同時に演奏すると『ルパンレンジャーVSパトレンジャー』となる。
- 鏖鋸・シュルシャガナ / 獄鎌・イガリマ ほか (戦姫絶唱シンフォギアシリーズ)
- Despertar del SOL! / Lustro della LUNA (キラッとプリ☆チャン)
関連動画
対位法タグがついている動画の内、特に対位法の効果が分かりやすい作品。
関連項目
親記事
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兄弟記事
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