株式公開買い付け(かぶしきこうかいかいつけ 英:take-over bid, TOB)とは、企業を買収する時に株式を一定の価格で買い取る旨を公告し、期日までに申し込みを募る制度である。要は企業買収のいち手段である。
テレビや新聞などではTOBと略されることが多いが、これは日本独特の表現であり、アメリカなどでは主にBIDと呼称される。
株式公開買い付けには大きく
の2つのパターンがあるが、大抵の場合は前者である。
概要
上場するなどしていて株主が散っている会社の株券を買い集めようとする時に使われるメジャーな手段として知られる。また実施される頻度も高く、上場企業の場合はそれだけでしばしばニュースになる。
経営権を掌握することなどを目的に、マーケット外で一定の期間・一定の価格・買取上限株数を設定した上で公告を行い、応募する既存株主を募る。この際、買い付けによって実施者が証券取引所に定めのある持株比率を超過する株数を取得する場合、そのまま上場廃止コースになる。
その株券、新株予約権付社債券その他の有価証券で政令で定めるもの(以下この章及び第二十七条の三十の十一(第四項を除く。)において「株券等」という。)について有価証券報告書を提出しなければならない発行者又は特定上場有価証券(流通状況がこれに準ずるものとして政令で定めるものを含み、株券等に限る。)の発行者の株券等につき、当該発行者以外の者が行う買付け等(株券等の買付けその他の有償の譲受けをいい、これに類するものとして政令で定めるものを含む。以下この節において同じ。)であって次のいずれかに該当するものは、公開買付けによらなければならない。ただし、適用除外買付け等(新株予約権(会社法第二百七十七条の規定により割り当てられるものであつて、当該新株予約権が行使されることが確保されることにより公開買付けによらないで取得されても投資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして内閣府令で定めるものを除く。以下この項において同じ。)を有する者が当該新株予約権を行使することにより行う株券等の買付け等、株券等の買付け等を行う者がその者の特別関係者(第七項第一号に掲げる者のうち内閣府令で定めるものに限る。)から行う株券等の買付け等その他政令で定める株券等の買付け等をいう。第四号において同じ。)は、この限りでない。
1. 取引所金融商品市場外における株券等の買付け等(取引所金融商品市場における有価証券の売買等に準ずるものとして政令で定める取引による株券等の買付け等及び著しく少数の者から買付け等を行うものとして政令で定める場合における株券等の買付け等を除く。)の後におけるその者の所有(これに準ずるものとして政令で定める場合を含む。以下この節において同じ。)に係る株券等の株券等所有割合(その者に特別関係者(第七項第一号に掲げる者については、内閣府令で定める者を除く。)がある場合にあつては、その株券等所有割合を加算したもの。以下この項において同じ。)が百分の五を超える場合における当該株券等の買付け等
2. 取引所金融商品市場外における株券等の買付け等(取引所金融商品市場における有価証券の売買等に準ずるものとして政令で定める取引による株券等の買付け等を除く。第四号において同じ。)であって著しく少数の者から株券等の買付け等を行うものとして政令で定める場合における株券等の買付け等の後におけるその者の所有に係る株券等の株券等所有割合が三分の一を超える場合における当該株券等の買付け等
3. 取引所金融商品市場における有価証券の売買等であつて競売買の方法以外の方法による有価証券の売買等として内閣総理大臣が定めるもの(以下この項において「特定売買等」という。)による買付け等による株券等の買付け等の後におけるその者の所有に係る株券等の株券等所有割合が三分の一を超える場合における特定売買等による当該株券等の買付け等
4. 六月を超えない範囲内において政令で定める期間内に政令で定める割合を超える株券等の取得を株券等の買付け等又は新規発行取得(株券等の発行者が新たに発行する株券等の取得をいう。以下この号において同じ。)により行う場合(株券等の買付け等により行う場合にあつては、政令で定める割合を超える株券等の買付け等を特定売買等による株券等の買付け等又は取引所金融商品市場外における株券等の買付け等(公開買付けによるもの及び適用除外買付け等を除く。)により行うときに限る。)であつて、当該買付け等又は新規発行取得の後におけるその者の所有に係る株券等の株券等所有割合が三分の一を超えるときにおける当該株券等の買付け等(前三号に掲げるものを除く。)
5. 当該株券等につき公開買付けが行われている場合において、当該株券等の発行者以外の者(その者の所有に係る株券等の株券等所有割合が三分の一を超える場合に限る。)が六月を超えない範囲内において政令で定める期間内に政令で定める割合を超える株券等の買付け等を行うときにおける当該株券等の買付け等(前各号に掲げるものを除く。)
6. その他前各号に掲げる株券等の買付け等に準ずるものとして政令で定める株券等の買付け等
2 前項本文に規定する公開買付けによる株券等の買付け等は、政令で定める期間の範囲内で買付け等の期間を定めて、行わなければならない。
3 第一項本文に規定する公開買付けによる株券等の買付け等を行う場合には、買付け等の価格(買付け以外の場合にあつては、買付けの価格に準ずるものとして政令で定めるものとする。以下この節において同じ。)については、政令で定めるところにより、均一の条件によらなければならない。
4 第一項本文に規定する公開買付けによる株券等の買付け等を行う場合には、株券等の管理、買付け等の代金の支払その他の政令で定める事務については、金融商品取引業者(第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業を行う者に限る。第二十七条の十二第三項において同じ。)又は銀行等(銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融機関をいう。第二十七条の十二第三項において同じ。)に行わせなければならない。
5 第一項本文に規定する公開買付けによる株券等の買付け等を行う場合には、前三項の規定その他この節に定めるところによるほか、政令で定める条件及び方法によらなければならない。
6 この条において「公開買付け」とは、不特定かつ多数の者に対し、公告により株券等の買付け等の申込み又は売付け等(売付けその他の有償の譲渡をいう。以下この章において同じ。)の申込みの勧誘を行い、取引所金融商品市場外で株券等の買付け等を行うことをいう。
7 第一項の「特別関係者」とは、次に掲げる者をいう。
1. 株券等の買付け等を行う者と、株式の所有関係、親族関係その他の政令で定める特別の関係にある者
2.株券等の買付け等を行う者との間で、共同して当該株券等を取得し、若しくは譲渡し、若しくは当該株券等の発行者の株主としての議決権その他の権利を行使すること又は当該株券等の買付け等の後に相互に当該株券等を譲渡し、若しくは譲り受けることを合意している者
8 第一項の「株券等所有割合」とは、次に掲げる割合をいう。
1.株券等の買付け等を行う者にあつては、内閣府令で定めるところにより、その者の所有に係る当該株券等(その所有の態様その他の事情を勘案して内閣府令で定めるものを除く。以下この項において同じ。)に係る議決権の数(株券については内閣府令で定めるところにより計算した株式に係る議決権の数を、その他のものについては内閣府令で定める議決権の数をいう。以下この項において同じ。)の合計を、当該発行者の総議決権の数にその者及びその者の特別関係者の所有に係る当該発行者の発行する新株予約権付社債券その他の政令で定める有価証券に係る議決権の数を加算した数で除して得た割合
2.前項の特別関係者(同項第二号に掲げる者で当該株券等の発行者の株券等の買付け等を行うものを除く。)にあつては、内閣府令で定めるところにより、その者の所有に係る当該株券等に係る議決権の数の合計を、当該発行者の総議決権の数にその者及び前号に掲げる株券等の買付け等を行う者の所有に係る当該発行者の発行する新株予約権付社債券その他の政令で定める有価証券に係る議決権の数を加算した数で除して得た割合
上に該当条文の一部を抜き出しで掲載したが、要は株を買い付けようとする勢力が法に定める一定の場合に引っかかった時に、これを強制的にこのシステムに流そうというのがTOBの趣旨である。
なんでこんなことをするのかというと
の3つの為だと一般に説明がなされている。
TOB実施期間中、実施者はこの方法以外で当該企業の株式を購入することができない。また実施の為に新聞へ公告を行ったり、財務局へ届け出の手続きが必要になる。気をつけよう!(ニコ百読者諸兄にどれだけTOB実施者がいるか分からないが・・・)
手続
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この節は、まだ書きかけです。 |
友好的TOB
買収対象の企業から了承を得て実施するTOBのことを友好的TOBという。実施者は買い付け価格を公告するわけだが、この場合は買収対象企業の経営陣から「この買い付け価格は適正です」といった旨の声明が出されるなどして応募を促進させることが多い。
大抵のTOBがこちらになる。平和裏になされることがほとんどであるため、買収に際して特に誰も大して焦っていないことが多い。よって買い付け価格が市場価格に迫っているか下回るかするため、株価を押し上げる要因にはならない。もっとも、実施者が凄腕投資ファンドだったり、その買収によって明らかに企業価値が上がりそうな場合はその限りではない。(でもその場合は噂が出た段階でとっくに株価は上がっていそうな気がする)
友好的TOBの場合、既に大株主になっている企業が連結子会社・完全子会社化を目指して実施することが多い。
敵対的TOB
そうそうお目にかかれないレアケースであり、買収対象企業にとってはあってはならないことである。
買収対象企業の了承を取らずにTOBに突っ走ることを敵対的TOBと言う。この場合、対象企業は対抗策として様々な手段に出る必要に迫られる。買付け価格が不適当である旨を株主に吹聴してまわったり、白馬の騎士(White knights)と呼ばれる友好的な企業に対抗TOBを実施してもらったりする。また会社の資産(クラウンジュエル)を他者に譲渡してしまうことで買収する価値をなくす、いわゆる焦土作戦が行われることもある。
近年、日本国内で買収対象企業と実施者がバチバチに争った事例としては、デサントに対する伊藤忠商事実施のTOB(2019年・成功)や、西武ホールディングスに対する米サーベラス社実施のTOB(2013年・失敗)が著名である。
また白馬の騎士の召喚に成功した事例としては、明星食品に対する米スティールパートナーズ社実施のTOBを日清食品の友好的TOBで潰した事例(2006年・日清TOB成功)が著名である。
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関連項目
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